米税関、IEEPA関税の還付進捗を報告、1,000億ドル超を処理
この発表の要点
- 米国税関・国境警備局(CBP)によるIEEPA関税還付の進捗が報告され、還付承認額が1,000億ドル超、財務省での手続きが710億ドルに達した。
- CAPE申請のエラーや却下理由として、輸入者・申告者の不一致、申告番号の不一致、HTSコードの未記載などが具体的に示された。
- 一部の還付金は、自動決済機関(ACH)への銀行口座情報未登録により支払い手続きが停滞している。
企業・自治体への影響
米国から輸入を行う製造業、小売業、貿易・物流関連企業は、IEEPA関税の還付状況を注視する必要があります。特に、過去にIEEPA関税を支払った企業は、還付申請の進捗や却下理由を確認し、自社の申請状況と照らし合わせることで、還付金受領の可能性や課題を把握できます。経理部門や法務部門は、還付金の会計処理や申請内容の適正性を確認する責任を負います。
対応すべきこと
- 自社のIEEPA関税還付申請状況をCBPの報告内容と照合し、進捗や課題を確認する。
- CBPが指摘する申請エラーや却下理由(輸入者・申告者不一致、申告番号不一致、HTSコード未記載など)に自社の申請が該当しないか確認し、必要に応じて修正や再申請を検討する。
- 自動決済機関(ACH)への関税還付用銀行口座情報が正確に登録されているか確認し、未登録の場合は速やかに手続きを行う。
- 事後清算の「調整対象」としてフラグが付された輸入申告がある場合、還付申請の要件を確認し、対応を検討する。
対象部門: 経理 法務 総務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 米国税関・国境警備局(CBP) |
|---|---|
| 業界 | 貿易・物流 |
| 発表日 | 2026-07-03 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | 米国 |
発表された内容
2026年07月03日
米国税関・国境警備局(CBP)は7月1日、米国国際貿易裁判所(CIT)に対して、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき徴収した関税を還付する「統合通関管理・処理システム(CAPE)」の進捗状況を報告した。還付が認められた金額は1,000億ドルを超え、財務省による還付手続きに進んだ金額は、前回報告分から3倍以上の710億ドルに達した。
CAPEでは、(1)電子通関システム(ACE)にIEEPA関税の還付を請求する輸入申告番号(Entry Number)をまとめたCSVファイルをアップロードする「CAPE申請」、(2)IEEPA関税に該当する米国関税分類番号(HTSコード)を削除し、IEEPA関税を申告しなかったものとして還付金額を再計算する「一括処理」、(3)「審査および清算・再清算」、(4)財務省による「還付」の4段階を経る(2026年4月14日記事参照)。
今回のCBPの報告によれば、米国東部時間6月29日午後3時時点で、21万3,939件(前回6月5日時点:18万1,155件)のCAPE申告が提出され、そのうち14万9,840件(前回:12万5,576件)がエラーなくシステムにアップロードされた。今回CBPが指摘したエラーの主な理由は、これまでとまったく同様の(1)記録上の輸入者(IOR)または申告者が一致していないこと(注1)、(2)輸入申告番号が一致していないこと(例:桁数が不適切、番号が存在しない)、(3)CSVファイルがACEで公開されているテンプレートに準拠していないこと、だった(2026年5月28日記事参照)。
アップロードされたCAPE申請のうち、輸入申告ベースでは1,810万件(前回:1,674万件)についてIEEPA関税の還付が承認された。このうち1,592万件(前回:1,060万件)は、清算・再清算を終えた。一方、CBPは436万件(前回:399万件)の輸入申告について還付申請を却下した。その主な理由もこれまで同様、(1)輸入日がCBPによる90日間の再清算権限期間を過ぎていること(注2)、(2)輸入申告書類にIEEPA関税の算定に使用するHTSコード99類の番号が記載されていないこと(注3)、(3)異なるCAPE申請で既に申告済みであること、だった。
CBPによれば、還付が認められた金額は約1,042億9,000万ドル(前回:949億4,000万ドル)に達した。IEEPA関税の徴収額は約1,660億ドルのため、金額ベースでは60%超の還付にめどがついた計算となる(注4)。このうち、利子を含めた約710億6,000万ドル(前回:236億8,000万ドル)については、財務省において還付金の支払い手続きが進められている。前回から3倍以上の金額が、実際に還付される手続きに入ったこととなる。なお、8,384件(前回:5,535件)については、自動決済機関(ACH)に関税還付用の銀行口座情報が登録されていないとの理由から、支払い手続きが進まなかった(注5)。
CBPは、事後清算の「調整(reconciliation)対象」としてフラグが付された輸入申告に対する還付申請の受け付けを6月29日に開始した(2026年6月25日記事参照)。当該還付手続きが申請された輸入申告は、6月30日午後5時時点で160万件だった。
(注1)CAPE申請が可能なのは、IOR、またはIORに代わって輸入概要書を提出した通関業者に限られる。
(注2)「フェーズ1」のCAPE申請は、関税が未清算、または清算後80日までの輸入申告を対象としている。
(注3)IEEPA関税などの追加関税が賦課される際は、本来のHTSコードに加え、追加関税対象であることを指すHTSコードが新たに99類に作成される。輸入申告時には、このHTSコードも併せて申告する必要がある。
(注4)還付金には利子が含まれる。そのため、仮に全てのIEEPA関税が還付される場合、還付額は1,660億ドルを超える。
(注5)ACHは米国の電子送金システムを指す。還付は電子的に行われるため、電子還付プログラムへの登録手続きを行っておく必要がある(2026年1月8日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国)
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米税関、IEEPA関税の還付進捗を報告、1,000億ドル超を処理
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/dc7fcfdf553139f0.html
時系列
- 2026-07-01 米国税関・国境警備局(CBP)が米国国際貿易裁判所(CIT)に対して、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき徴収した関税を還付する「統合通関管理・処理システム(CAPE)」の進捗状況を報告。
- 2026-06-30 午後5時時点で、事後清算の「調整(reconciliation)対象」としてフラグが付された輸入申告に対する還付申請が160万件に達した。
- 2026-06-29 米国東部時間午後3時時点で、21万3,939件のCAPE申告が提出され、そのうち14万9,840件がエラーなくシステムにアップロードされた。
- 2026-06-29 CBPが事後清算の「調整(reconciliation)対象」としてフラグが付された輸入申告に対する還付申請の受け付けを開始した。
- 2026-06-05 前回報告時点でのCAPE申告件数が18万1,155件、エラーなくアップロードされた件数が12万5,576件だった。
主な数値
| 還付が認められた金額 | 1042.9億ドル |
|---|---|
| 財務省による還付手続きに進んだ金額 | 710.6億ドル |
| IEEPA関税の徴収額 | 1660億ドル |
| CAPE申告提出件数(6月29日時点) | 213939件 |
| エラーなくシステムにアップロードされたCAPE申告件数(6月29日時点) | 149840件 |
| IEEPA関税の還付が承認された輸入申告件数 | 1810万件 |
| 清算・再清算を終えた輸入申告件数 | 1592万件 |
| 還付申請が却下された輸入申告件数 | 436万件 |
| ACHに関税還付用銀行口座情報が未登録のため支払い手続きが進まなかった件数 | 8384件 |
| 事後清算の「調整対象」還付申請件数(6月30日時点) | 160万件 |
この事例から確認すべきポイント
米国税関・国境警備局(CBP)によるIEEPA関税還付の進捗報告は、米国との貿易を行う企業にとって重要な情報源です。還付承認額が1,000億ドルを超え、実際に財務省での支払い手続きに進んだ金額も大幅に増加していることから、還付プロセスが着実に進行していることが伺えます。一方で、申請エラーや却下理由として「記録上の輸入者または申告者の不一致」「輸入申告番号の不一致」「CSVファイルのテンプレート不準拠」「輸入日がCBPの再清算権限期間を過ぎている」「HTSコード99類の未記載」「異なるCAPE申請で既に申告済み」などが具体的に挙げられており、これらの要因が還付手続きの遅延や却下につながっている実態が示されています。また、ACHへの銀行口座情報未登録による支払い手続きの停滞も指摘されており、還付を確実に受けるためには、申請内容の正確性だけでなく、支払い受領体制の整備も不可欠であることが強調されています。企業はこれらの情報を踏まえ、自社の還付申請状況を再確認し、適切な対応を取る必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-03
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