ラオス、原子力発電の導入に向けロシアとの協力を拡大
この発表の要点
- ラオスとロシアは、平和目的の原子力利用に関する政府間協定を締結した。
- 協定に基づき、ラオスへの原子力発電導入に向けた予備的な実現可能性調査が開始される。
- ラオスはエネルギー源の多様化を目指し、小型モジュール炉(SMR)の導入を有力な選択肢として検討している。
企業・自治体への影響
電力・エネルギー関連企業は、ラオスにおける原子力発電導入の動向を注視する必要があるでしょう。特に、SMR技術や関連インフラ、安全管理システムを提供する企業にとっては、将来的なビジネス機会につながる可能性があります。国際協力やインフラ開発に関わる企業は、新興国におけるエネルギープロジェクトの進展に注目すべきです。
対応すべきこと
- ラオスおよびロシアのエネルギー政策・原子力開発計画に関する最新情報を継続的に収集する。
- 小型モジュール炉(SMR)技術の動向と、関連するサプライチェーンへの影響を調査する。
- 原子力安全規制や使用済み核燃料管理に関する国際的な動向を把握し、自社の事業への関連性を評価する。
- ラオス市場への参入や協力に関心がある場合、現地の法規制やビジネス環境について情報収集を開始する。
対象部門: 経営者 広報 経理 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | 電力・エネルギー |
| 発表日 | 2026-06-30 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月30日
ロシアで6月15日、モスクワを公式訪問したラオスのソーンサイ・シーパンドン首相とロシアのミハイル・ミシュスチン首相の立ち会いの下、ロシア国営原子力企業ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長とラオスのマライトーン・コンマシット商工相が、「平和目的の原子力利用に関する政府間協定」に署名した。
同協定に基づき、第1段階として原子力発電の導入に向けた予備的な実現可能性調査(プレFS)が実施される。調査では、原子力発電をラオスの電力システムへ統合する手法や、建設候補地の選定などを検討する。現時点では原子力発電所の建設は正式決定しておらず、導入可能性を評価する段階にある。
ロスアトムとラオス政府は、2015年ごろから原子力協力に向けた協議を進めてきた。当初は出力1,000〜1,200メガワット級の大型原発が検討されていた。2016年4月には、ラオス・エネルギー鉱山省(当時)とロスアトムが、原子力発電所および研究施設の設計・建設・運営などを目的とする「平和目的の原子力利用に関する協力覚書」を締結した。さらに、2025年7月にはトンルン・シースリット国家主席のロシア公式訪問に合わせ、原子力分野の協力ロードマップに調印した。現在、ロシア製RITM-200を用いた陸上設置型小型モジュール炉(SMR、注)の導入が有力な選択肢として検討されている。
なお、ラオス政府が策定した「第10期社会経済開発5カ年計画(2026~2030年)」および「国家グリーン成長戦略2030」では、持続可能な経済成長の実現に向けてエネルギー源の多様化を推進しており、原子力は、水力、太陽光、風力、バイオマスと並び、「クリーンエネルギー/代替エネルギー」に位置付けられている。ただし、原発の導入は、公務員や専門人材の能力強化やFSを地域・国際協力の枠組みで進める段階にとどまっており、現時点では、将来の低コスト・低炭素電源として調査研究や人材育成を進める方針が示されている。
ロシアとラオスの原子力分野での協力は、ラオスの産業高度化やエネルギー源の多様化を促進する可能性がある。一方、原子力安全規制体制の整備、使用済み核燃料の管理、巨額の建設資金の確保などが、今後解決すべき重要課題が残されている。
(注)陸上設置型小型モジュール炉は、従来の大型原子力発電所よりも出力が小さく、工場で製造した原子炉モジュールを現地で組み立てる方式の原子炉のこと。従来の原子炉に比べて、安全性や建設コストで優位性があるとされる。
(山田健一郎)
(ラオス、ロシア)
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/abda116666e54900.html
時系列
- 2015年ごろ ロスアトムとラオス政府が原子力協力に向けた協議を開始
- 2016年04月 ラオス・エネルギー鉱山省(当時)とロスアトムが「平和目的の原子力利用に関する協力覚書」を締結
- 2025年07月 トンルン・シースリット国家主席のロシア公式訪問に合わせ、原子力分野の協力ロードマップに調印
- 2026年06月15日 ロシアで「平和目的の原子力利用に関する政府間協定」に署名
主な数値
| 当初検討された大型原発の出力 | 1000〜1200メガワット級 |
|---|---|
| ラオス第10期社会経済開発5カ年計画の期間 | 2026~2030年 |
この事例から確認すべきポイント
この事例は、新興国におけるエネルギー安全保障と持続可能な開発目標達成に向けた原子力利用の動向を示しています。ラオスが「第10期社会経済開発5カ年計画」でエネルギー源の多様化を掲げ、原子力を持続可能なエネルギー源と位置付けている点は、他国にとっても参考となるでしょう。ロシアとの協力は、技術供与や資金調達の面で新興国が直面する課題解決の一助となる可能性があります。しかし、原子力発電導入には、安全規制体制の確立、使用済み核燃料の管理、巨額の建設資金確保といった重要課題が伴います。特に、小型モジュール炉(SMR)の導入検討は、従来の大型原発に比べて安全性や建設コストで優位性があるとされるため、今後の国際的な原子力開発のトレンドを占う上で注目されます。現時点では予備的な実現可能性調査の段階であり、具体的な建設決定には至っていないため、今後の進捗を注視する必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-30
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