米国で第2回「パックス・シリカ・サミット」開催、AIサプライチェーン安全性確保のための規制構築など連携へ
この発表の要点
- 「パックス・シリカ」枠組みはAI関連の経済安全保障連携を強化し、参加国・地域が計24に拡大した。
- AIサプライチェーンの安全性確保とイノベーション促進のための規制構築を目指す共同声明に35カ国・地域が署名した。
- 人材育成イニシアチブ「ファウンドリー・スクール」と、AI関連製品・インフラ出荷迅速化のための「AI支援パイロット・プロジェクト」が発表された。
企業・自治体への影響
AI、半導体、重要鉱物関連のサプライチェーンに関わる製造業、IT企業、商社などは、国際的な規制動向や調達先の多様化、技術保護の動きを注視し、事業戦略やリスク管理体制を見直す必要があります。特に、国際的な連携強化は新たなビジネス機会や市場アクセスに影響を与える可能性があります。
対応すべきこと
- 自社の事業がAI、半導体、重要鉱物関連のサプライチェーンにどのように関わるかを確認する。
- 「パックス・シリカ」枠組みの参加国・地域や共同声明署名国・地域との取引関係における影響を評価する。
- AI関連の規制構築動向や人材育成イニシアチブについて情報収集し、自社の事業戦略や人材戦略に反映させる。
- 米国国務省による「AI支援パイロット・プロジェクト」の資金提供公告など、具体的なプロジェクトの進捗を継続的に確認する。
対象部門: 経営者 法務 広報 経理 情シス
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 米国国務省 |
|---|---|
| 業界 | IT・ソフトウェア / 製造 |
| 発表日 | 2026-06-30 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月30日
米国国務省は6月25~26日、首都ワシントンで第2回「パックス・シリカ・サミット」を開催した。
「パックス・シリカ」は2025年12月に米国国務省が立ち上げた、同盟・パートナー国の経済安全保障上の連携のための枠組み。人工知能(AI)の進化によって重要鉱物や関連インフラなどの需要が増加し、サプライチェーン再編が進むとの認識の下、敵対国への依存軽減や新技術の確保、機密度の高い技術の保護といった領域での連携を目標としている。
第2回サミット後の6月26日に国務省が発表したファクトシートによると、枠組みに新たに10カ国・地域(注1)が正式に参加し、計24カ国・地域へと拡大した。そのほかの主な合意事項は次のとおり。
(1)「AIの機会に関する共同声明」への署名:共同声明はサミット期間中の6月25日に発表。AI関連のサプライチェーンの安全性を確保しつつ、同分野における成長やイノベーションを促進する規制を協力して構築するための取り組み。35カ国・地域(注2)が署名した。
(2)米国とスタンフォード大学による「ファウンドリー・スクール」イニシアチブの立ち上げ:同イニシアチブは「パックス・シリカ」加盟国の教育機関向けに提供する、人材育成のための取り組み。先端製造分野において経済的成長と国家安全保障の双方を支えるための教育を行うもので、技術者や政策立案者などを対象とする。
(3)パナマにおける「パックス・シリカ」AI支援パイロット・プロジェクトの発表:半導体や重要鉱物など、AIに関連する製品やインフラの出荷を迅速化するためのプラットフォームを開発するためのプロジェクト。今後、国務省がプロジェクトに関する資金提供のための公告をする予定。
トランプ政権は、「パックス・シリカ」などを通じて、AI、半導体、重要鉱物など、政権が重視する分野において同盟国らと協力し、調達先の多様化を通じたサプライチェーンの強靭(きょうじん)化を図っている(2026年2月6日付地域・分析レポート参照)。2026年3月には半導体サプライチェーンを支える重要鉱物の採掘・加工、重要インフラ、および製造設備向けの「パックス・シリカ(Pax Silica)基金」を設立すると発表した(2026年3月31日記事参照)。このほか、トランプ政権は同分野における米国内での研究開発強化や産業育成も図っている(注3)。
(注1)アルゼンチン、チリ、コスタリカ、エルサルバドル、EU、ドイツ、ギリシャ、カザフスタン、オランダ、パナマの10カ国・地域。これまでに参加している国は、日本、米国、オーストラリア、フィンランド、インド、イスラエル、ノルウェー、カタール、韓国、シンガポール、スウェーデン、フィリピン、アラブ首長国連邦(UAE)、英国の14カ国。別途、台湾は1月に、「パックス・シリカ宣言」および米台経済安全保障協力に関する共同声明を米国と発表して、同宣言の原則を支持している。
(注2)日本、米国、アルゼンチン、アルメニア、オーストラリア、バーレーン、チリ、コスタリカ、デンマーク、エルサルバドル、エストニア、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、インド、イスラエル、イタリア、カザフスタン、ラトビア、リトアニア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、パラグアイ、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、カタール、韓国、シンガポール、スウェーデン、トルコ、UAE、英国。
(注3)例えば、バイデン政権下で成立したCHIPSプラス法に基づく助成はトランプ政権でも継続されている(2026年6月19日記事参照)。
(滝本慎一郎)
(米国、日本)
ビジネス短信 b53fd264201293ec
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米国で第2回「パックス・シリカ・サミット」開催、AIサプライチェーン安全性確保のための規制構築など連携へ
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/b53fd264201293ec.html
時系列
- 2025-12 米国国務省が「パックス・シリカ」を立ち上げ
- 2026-02-06 トランプ政権のサプライチェーン強靭化に関する地域・分析レポートが参照される
- 2026-03 「パックス・シリカ基金」設立が発表される
- 2026-03-31 「パックス・シリカ基金」設立発表に関する記事が参照される
- 2026-06-19 CHIPSプラス法に基づく助成継続に関する記事が参照される
- 2026-06-25 第2回「パックス・シリカ・サミット」開催開始。「AIの機会に関する共同声明」が発表される
- 2026-06-26 第2回「パックス・シリカ・サミット」終了。国務省がファクトシートを発表
- 2026-06-30 本発表が公開される
主な数値
| 「パックス・シリカ」新規参加国・地域数 | 10カ国・地域 |
|---|---|
| 「パックス・シリカ」合計参加国・地域数 | 24カ国・地域 |
| 「AIの機会に関する共同声明」署名国・地域数 | 35カ国・地域 |
この事例から確認すべきポイント
AI技術の急速な発展に伴い、重要鉱物や関連インフラの需要が増加し、サプライチェーンの再編が国際的な課題となっています。米国主導の「パックス・シリカ」枠組みは、同盟・パートナー国との経済安全保障上の連携を強化し、敵対国への依存軽減、新技術確保、機密技術保護を目指すものです。第2回サミットでは、参加国の拡大、AIサプライチェーンの安全性確保とイノベーション促進のための規制構築に向けた共同声明、人材育成、AI関連製品・インフラ出荷迅速化プロジェクトなど、具体的な取り組みが発表されました。これは、AI、半導体、重要鉱物といった戦略的分野における国際的な協力体制の構築と、サプライチェーンの強靭化を加速させる動きとして注目されます。企業は、これらの国際的な規制動向やサプライチェーン再編の動きを注視し、自社の事業戦略や調達戦略に与える影響を評価する必要があります。特に、AI関連技術や重要鉱物を取り扱う企業は、新たな国際協力の機会や規制要件に対応できるよう準備を進めることが求められます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-30
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