ブラジルのペトロブラスとメキシコのPEMEXが戦略的協力に関する覚書を締結
この発表の要点
- ブラジルのペトロブラスとメキシコのPEMEXが炭化水素分野での戦略的協力覚書を締結した。
- MOUは探鉱・生産から精製・石油化学、エネルギー転換まで幅広い分野での技術的・制度的協力を目指す。
- 本覚書に法的拘束力はなく、具体的なJV設立や投資は今後の個別検討事項である。
企業・自治体への影響
エネルギー関連企業、特に石油・ガス開発、精製、石油化学、肥料、エネルギー転換技術に関わる企業は、ブラジルとメキシコ市場における新たな事業機会や競争環境の変化に注目する必要があります。両国の国営企業間の協力進展は、サプライチェーンや技術提携の可能性に影響を与える可能性があります。
対応すべきこと
- 公式出典(ジェトロ)で本件の詳細を確認し、関連する事業分野への影響を評価する。
- 自社の事業がブラジルまたはメキシコのエネルギー市場と関連する場合、両国政府および国営企業の動向を継続的に監視する。
- エネルギー転換技術や深海開発技術など、協力分野における自社の技術優位性や提携可能性を検討する。
- 関係部門(経営企画、海外事業、技術開発、広報など)へ本情報を共有し、今後の戦略立案に役立てる。
対象部門: 経営者 広報 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 石油・ガス / エネルギー |
| 発表日 | 2026-06-29 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月29日
ブラジルの国営石油会社ペトロブラスは6月23日、メキシコ国営石油公社(PEMEX)と戦略的協力に関する覚書(MOU)を締結した。ペトロブラスが公式サイトを通じて明らかにした。
両者は、炭化水素分野における共同プロジェクトの検討、開発、実施に向け、技術面および制度面での協力を目指す。具体的には、探鉱・生産などの上流分野では、メキシコ湾を中心とした深海・超深海開発や成熟油田の再活性化、下流分野では、精製、ガス処理、石油化学、肥料などのほか、エネルギー転換を含む幅広い分野での協力を見込む。MOUの有効期間は2年間で、双方の合意により延長が可能。なお、法的拘束力はなく、ジョイントベンチャー(JV)の設立や投資の実行については今後の検討事項としており、個別案件ごとにあらためて契約締結と事業性評価を行う。
ペトロブラスのマグダ・シャンブリアール最高経営責任者(CEO)は、「本覚書はペトロブラスにとって大きな可能性を有する戦略的協力の枠組みである」と述べ、同社は「メキシコ湾における探鉱や既存油田の生産拡大に関心を示している」とした。PEMEXのフアン・カルロス・カルピオ・フラゴソ総裁は、「メキシコ湾における深海、重質・超重質油エリア、プレソルト(注1)などでの生産の最適化や拡大が狙いだ」と期待を示した。
PEMEXは4月にも、エネルギーの国内自給率向上を目的に天然ガス開発を強化する方針を発表している(2026年4月10日記事参照)。一方、同社は資金力や技術・開発経験面での課題を抱えており、リオデジャネイロ沖のプレソルト開発で原油生産を拡大してきたペトロブラスの技術力への期待が高まっている。ブラジルの2025年の原油生産量は日量465万5,000バレルで世界第8位。他方、メキシコの原油生産量(2025年)は日量186万9,000バレルにとどまる(注2)。6月24日付のメキシコの現地紙「エル・フィナンシエロ」は、同国における原油開発の遅れや生産量の低迷について、「メキシコ政府の政策によりPEMEXの財務および技術基盤が弱体化したことが要因」と報じ、同社の構造的問題を指摘している。
(注1)プレソルトは、海底下約3,000~4,000メートルに位置する、岩塩層の下にある海底油田の一部のこと。
(注2)出所は、米国エネルギー情報局(EIA)。
(辻本希世)
(ブラジル、メキシコ)
ビジネス短信 abb42ae42d0f9326
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ブラジルのペトロブラスとメキシコのPEMEXが戦略的協力に関する覚書を締結
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/abb42ae42d0f9326.html
時系列
- 2026-04-10 PEMEXがエネルギーの国内自給率向上を目的に天然ガス開発を強化する方針を発表
- 2026-06-23 ブラジルのペトロブラスとメキシコのPEMEXが戦略的協力に関する覚書(MOU)を締結
- 2026-06-24 メキシコの現地紙「エル・フィナンシエロ」が、メキシコの原油開発の遅れや生産量の低迷について報じる
- 2026-06-29 日本貿易振興機構(ジェトロ)が本件に関するビジネス短信を公開
主な数値
| MOU有効期間 | 2年間 |
|---|---|
| ブラジルの2025年原油生産量 | 4655000バレル/日 |
| ブラジルの2025年原油生産量世界順位 | 8位 |
| メキシコの2025年原油生産量 | 1869000バレル/日 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、ブラジルのペトロブラスとメキシコのPEMEXという二つの国営石油会社が、炭化水素分野における技術的・制度的協力を目指す戦略的覚書を締結したことを伝えています。このMOUは法的拘束力を持たず、具体的なプロジェクトや投資は今後の検討事項とされているため、現時点では両社の協力関係構築に向けた第一歩と位置付けられます。特に、資金力や技術・開発経験に課題を抱えるPEMEXが、深海・超深海開発やプレソルト開発で実績を持つペトロブラスの技術力に期待を寄せている点が注目されます。これは、メキシコのエネルギー自給率向上と原油生産量拡大への意欲を示すものであり、今後の具体的な事業展開が両国のエネルギー戦略に与える影響を注視する必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-29
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