EUなど、デザイン重視の消費傾向と模倣品リスク示す、サッカーW杯控え違法視聴防止も呼びかけ
この発表の要点
- EU消費者の7割以上が商品購入時にデザインを重視し、より良いデザインには追加費用を支払う意向がある。
- 模倣品による年間売上損失は衣料分野で約120億ユーロ、ハンドバッグ等で約27億ユーロに上り、若年層を中心に故意の購入経験者が多い。
- 知的財産機関が模倣品リスク増大に警鐘を鳴らし、特にFIFAワールドカップの違法視聴防止を呼びかけている。
企業・自治体への影響
消費財メーカー、小売業者、コンテンツ配信事業者、および知的財産権を保有する企業は、模倣品による売上損失やブランド価値毀損のリスクに直面しています。特にデザインを重視する製品やブランドを展開する企業は、意匠権の保護強化と模倣品対策の徹底が求められます。メディア・エンターテイメント業界は、スポーツイベントなどのデジタルコンテンツにおける著作権侵害への対策を強化する必要があります。
対応すべきこと
- 自社の製品デザインやブランドが模倣品の対象となっていないか、市場調査や監視を強化する。
- 意匠権や商標権などの知的財産権の取得状況を確認し、未登録の重要なデザインがあれば登録を検討する。
- 模倣品対策に関する社内教育を強化し、関係部門(開発、製造、販売、法務、広報など)と連携して対応体制を構築する。
- 消費者に模倣品のリスクや正規製品の価値を啓発する情報発信を検討する。
対応優先度: 中 模倣品による経済的損失が大きく、知的財産権保護の重要性が高まっているため、企業は対策を強化する必要がある。
対象部門: 経営者 法務 広報 経理 総務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 消費財・小売 |
| 発表日 | 2026-06-17 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月17日
EU知的財産庁(EUIPO)は6月10日、EUの消費者動向に関する調査結果を公表し、商品購入時にデザインを重視する消費者が72%に達し、73%がより優れたデザインに対し追加で支払う意思を示したとした(プレスリリース)。同調査によると「(デザインは)非常に重要」と回答した消費者の割合は31%に達した。若年層でその傾向が強く、製品のデザインがEUの消費者の購買決定に顕著な影響を与えていると分析した。特に家具(76%)や衣料・アクセサリー(66%)分野で「(デザインは)重要」と考えている消費者の割合が高い。
一方、EUIPOのデータによると、衣料分野では模倣品により年間約120億ユーロ、ハンドバッグ・宝飾・時計で年間約27億ユーロの売上損失が発生している。今回の調査でも、消費者の13%が故意に模倣品を購入した経験があり、15~24歳では26%に達することがわかった。EUの意匠関連産業は約2,800万人を雇用し、EUのGDPの16%超を占めるなど、経済において大きな役割を担っており、意匠権の保護の重要性は高い。しかし、意匠登録を行う中小企業はわずか約1%にとどまっている。
ギリシャ工業所有権機関(OBI)もEUIPOデータを引用し、「デザイン重視の消費傾向の高まりに伴い、模倣品・模倣リスクも増大している」と警鐘を鳴らした。
クロアチア知的財産庁(DZIV)は6月10日の世界模倣品対策デーに合わせ、模倣品やオンライン海賊版のリスクを指摘した。特に6月11日に開幕した2026FIFAワールドカップ(W杯)について、違法視聴防止のため正規配信の利用を視聴者に呼びかけた。また、ラトビア特許庁も6月11日に偽造玩具の危険性に焦点を当てたキャンペーンを開催し、啓発活動を実施している。
(吉森晃)
(EU、クロアチア、ラトビア、ギリシャ)
関連情報
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ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
EUなど、デザイン重視の消費傾向と模倣品リスク示す、サッカーW杯控え違法視聴防止も呼びかけ
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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/2313eeb6de1d3ae5.html
時系列
- 2026-06-10 EU知的財産庁(EUIPO)がEUの消費者動向に関する調査結果を公表
- 2026-06-10 クロアチア知的財産庁(DZIV)が世界模倣品対策デーに合わせ、模倣品やオンライン海賊版のリスクを指摘
- 2026-06-11 2026FIFAワールドカップが開幕
- 2026-06-11 ラトビア特許庁が偽造玩具の危険性に焦点を当てたキャンペーンを開催
主な数値
| 商品購入時にデザインを重視する消費者割合 | 72% |
|---|---|
| より優れたデザインに対し追加で支払う意思を示した消費者割合 | 73% |
| デザインを「非常に重要」と回答した消費者割合 | 31% |
| 家具分野でデザインを「重要」と考える消費者割合 | 76% |
| 衣料・アクセサリー分野でデザインを「重要」と考える消費者割合 | 66% |
| 衣料分野における模倣品による年間売上損失 | 120億ユーロ |
| ハンドバッグ・宝飾・時計分野における模倣品による年間売上損失 | 27億ユーロ |
| 故意に模倣品を購入した経験のある消費者割合 | 13% |
| 15~24歳で故意に模倣品を購入した経験のある消費者割合 | 26% |
| EUの意匠関連産業の雇用者数 | 2800万人 |
| EUの意匠関連産業が占めるGDP割合 | 16%超 |
| 意匠登録を行う中小企業の割合 | 1%程度 |
この事例から確認すべきポイント
この発表は、EUにおける消費者のデザイン重視傾向と、それに伴う模倣品リスクの増大という二つの側面を明確に示しています。消費者がデザインに価値を見出し、追加費用を支払う意欲がある一方で、模倣品による経済的損失が甚大であることは、企業にとって知的財産保護の重要性を再認識させるものです。特に若年層における模倣品購入経験の高さは、将来的な市場における模倣品対策の難しさを示唆しており、啓発活動の必要性を浮き彫りにします。また、意匠関連産業がEU経済に大きく貢献しているにもかかわらず、中小企業の意匠登録率が低い現状は、知的財産権の活用促進に向けた支援策の検討が求められます。FIFAワールドカップの違法視聴防止の呼びかけは、デジタルコンテンツにおける著作権侵害への対応も喫緊の課題であることを示しており、企業は自社のブランド価値と知的財産を保護するための戦略を強化し、消費者への啓発活動にも積極的に取り組むべきです。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-17
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