経済・産業トレンド

ゼロカーボン化に取り組む中国・ドイツ合弁の工業団地、中徳園管理委員会に聞く

中国・ドイツ合弁の工業団地である中徳(瀋陽)高端装備製造産業園は、2025年12月に国家級ゼロカーボン産業園区に選定され、2026年3月より関連プロジェクトを本格開始しました。同園は2027年までに単位エネルギー消費当たりの炭素排出量を0.18トンに低減し、再生可能エネルギー比率を90%以上に引き上げる目標を掲げています。具体的には、総出力100メガワットの風力発電機設置とグリーン電力専用送電線の新設により、園内でのゼロカーボン製造実現を目指します。BMWなどの入居企業はグリーン電力利用でESG要件を満たし、将来的に周辺日系企業への供給も視野に入れています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

中国に事業展開する製造業、特にハイエンド設備製造分野の企業は、ゼロカーボン化の動向と政策を注視する必要があるでしょう。EU CBAMの対象となるセクターの企業は、サプライチェーンにおける排出量削減とトレーサビリティー確保が国際競争力に直結します。将来的に、中徳園周辺の日系企業もグリーン電力供給の恩恵を受ける可能性があります。

対応すべきこと

対応優先度:  中国の主要な工業団地におけるゼロカーボン化の具体的な取り組みと、EU CBAMへの対応が示されており、関連企業にとって中長期的な事業戦略に影響を与える可能性があるため。

対象部門: 経営者 広報 経理 法務 情シス

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 JETRO
業界 製造業
発表日 2026-06-18
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月18日

中徳(瀋陽)高端装備製造産業園(以下、中徳園)は2015年12月に中国国務院の承認を受けて設立された工業団地で、中国とドイツによるハイエンド設備製造分野の協力をテーマとする戦略的プラットフォームだ。瀋陽市南西部の鉄西区に位置し、計画面積は48平方キロメートルあり、団地内にはドイツ自動車大手のBMWをはじめ120社の外資系企業が集積している(「瀋陽日報」2025年12月24日)。2025年12月には、国家級ゼロカーボン産業園区(工業団地)の1つとして選定され、遼寧省では唯一の事例となった。2026年3月からゼロカーボン関連の重点プロジェクトを本格的に開始している。

ジェトロは6月2日、同産業園の国家級ゼロカーボン産業園区としての役割や具体的な取り組みについて、中徳園の運営管理を担う中徳園管理委員会産業発展部の陳卓主任に話を聞いた。

(問)国家級ゼロカーボン産業園区政策が導入された背景は。
(答)中国は「2030年までのカーボンピークアウト・2060年までのカーボンニュートラルを目指す」と表明しており、工業団地は排出削減の重点対象と位置付けられている。EU炭素国境調整メカニズム(CBAM、注1)への対応や、再生可能エネルギーの余剰電力の域内活用(地産地消)の必要性も、政策導入の背景にある。

国家発展改革委員会などは2025年6月、「ゼロカーボン産業園区建設に関する通知」を発表し、基本方針と評価基準を示した。同年12月には「国家級ゼロカーボン産業園区建設リスト(第1次)」を公表し、全国52の工業団地が選定された。さらに、2026年1月には「ゼロカーボン産業園区建設に関する指導意見」を公表し、具体的な実務ガイドラインを示している。

(問)中徳園の排出削減目標や具体的な取り組みは。
(答)2027年までに、単位エネルギー消費当たりの炭素排出量を0.18トン(二酸化炭素換算)まで低減(注2)し、再生可能エネルギー比率を90%以上に引き上げることを目標としている。具体的な取り組みとして、遠景能源科技(エンビジョン・エナジー)が主体となり、中徳園周辺約1キロメートルの範囲に総出力100メガワットの風力発電機を設置する。併せて「グリーン電力専用の送電線」を新設し、風力発電機などで発電した再生可能エネルギーを中徳園内に直接供給することで、園内におけるゼロカーボン製造の実現を図る。

(問)中徳園入居企業や周辺日系企業への影響は。
(答)BMWおよびそのサプライヤーにとって、トレーサビリティーを確保したグリーン電力の利用は、ブランドイメージや国際競争力の向上に加え、本社が求めるESG要件を満たす上でも重要な要素となっている。将来的には、中徳園周辺に立地した日系企業に対しても、グリーン電力の直接供給が可能となる見込みだ。

(注1)EU域外から域内への輸入品について、その製造過程で生じたGHG排出量に応じたコストを課す仕組み。2026年より本格適用されており、2026年6月時点では鉄、アルミニウム、セメント、肥料、電力、水素の6つのセクターの製品を対象としている。2025年10月に施行したCBAM簡素化規則の詳細は、調査レポート「EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)の簡素化規則の解説(2026年2月)」を参照。
(注2)標準石炭1トンが完全燃焼した際に発生する二酸化炭素排出量を示す指標。国家発展改革委員会などが2025年6月に発表した「ゼロカーボン産業園区建設に関する通知」では、年間総合エネルギー消費量が100万トン以上のゼロカーボン産業園区については、単位エネルギー消費当たりの炭素排出量を0.3トン以下と目標設定している。

(李莉)

(中国、ドイツ)

ビジネス短信 9e7787cd1b3e080a

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ゼロカーボン化に取り組む中国・ドイツ合弁の工業団地、中徳園管理委員会に聞く

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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/9e7787cd1b3e080a.html

時系列

主な数値

中徳園の計画面積 48平方キロメートル
中徳園に集積する外資系企業数 120社
国家級ゼロカーボン産業園区(第1次)選定数 52工業団地
中徳園の2027年までの単位エネルギー消費当たり炭素排出量低減目標 0.18トン(二酸化炭素換算)
中徳園の2027年までの再生可能エネルギー比率目標 90%以上
中徳園周辺に設置される風力発電機の総出力 100メガワット
EU CBAMの2026年6月時点での対象セクター数 6セクター
年間総合エネルギー消費量100万トン以上のゼロカーボン産業園区の単位エネルギー消費当たり炭素排出量目標 0.3トン以下

この事例から確認すべきポイント

本発表は、中国が「2030年までのカーボンピークアウト・2060年までのカーボンニュートラル」目標達成に向け、工業団地のゼロカーボン化を国家戦略として推進している現状を示しています。特に、EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)への対応が政策導入の背景にあることは、国際的な環境規制が中国国内の産業政策に与える影響の大きさを浮き彫りにしています。中徳園の事例では、具体的な排出削減目標と再生可能エネルギー導入計画が示されており、風力発電と専用送電線によるグリーン電力の直接供給は、入居企業にとってESG要件の充足やブランドイメージ向上、国際競争力強化に直結する重要な要素となります。また、政策が「通知」「リスト」「指導意見」と段階的に具体化されている点も注目に値します。将来的には、周辺の日系企業にもグリーン電力供給の可能性が示されており、中国に進出する企業は、現地のゼロカーボン化動向とサプライチェーンへの影響を継続的に監視し、対応を検討する必要があるでしょう。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-18

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