経済・産業トレンド 大統領令

非友好国の個人と支店・駐在員事務所の定期預金を払い戻し規制対象から除外

ロシアのプーチン大統領は、非友好国・地域の企業のロシア支店・駐在員事務所および非友好国出身の個人を、定期預金の払い戻し規制の適用対象から除外する大統領令第550号に署名しました。これにより、2026年6月1日から8月4日までに特別決済口座「C口座」に振り替えられた資金の払い戻しが可能となります。ただし、外国法人名義の定期預金は引き続き規制の適用対象です。この措置は、規制導入後の現場の混乱や、中央銀行への明確化・除外要望を受けて行われました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

ロシアに支店・駐在員事務所を持つ非友好国の企業や、非友好国出身の個人は、ロシア国内での定期預金払い戻しが可能となり、資金流動性が改善する可能性があります。特に、ロシアで事業を展開する日本企業やその駐在員にとって、資産管理の選択肢が広がる可能性があります。一方で、外国法人名義の定期預金は引き続き規制対象であるため、企業は自社の預金形態を確認し、影響を評価する必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 総務 法務 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-08-14
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月14日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8月4日、非友好国・地域(注1)の企業のロシア支店・駐在員事務所および非友好国出身の個人を定期預金の払い戻し規制(2026年7月9日記事参照)の適用対象から除外する大統領令第550号に署名した。同規制に基づいて6月1日から8月4日までの間に定期預金の元本と利息が特別決済口座「C口座」(注2)に振り替えられていた場合、今回の大統領令により、規制の対象外となった支店・駐在員事務所および個人は、当該資金を払い戻すことができる。外国法人名義の定期預金は、引き続き規制の適用対象となる。

6月の大統領令以降、現場は混乱
ロシア中央銀行は7月14日、大統領令377号で導入された規制の適用範囲を明確化する公式解釈を発表していた。これにより、定期預金の払戻額について、元本と利息の合計で月間1,000万ルーブル(約1,900万円、1ルーブル=約1.9円)までとする上限は、銀行ごとの定期預金の総額ではなく、銀行の顧客ごとに適用されることが明確になった。その一方で、定期預金の元本と利息の合計額が上限を超過した場合、銀行は、超過分のみならず、合計額をC口座にルーブルで振り替える義務を負うことが明らかになった。

また、中央銀行の公式解釈は、今回の規制が定期預金のみを対象とし、貯蓄口座や決済口座などの残高には適用されないことを明確化した。ロシアの民法上、定期預金口座は銀行預金の契約に、貯蓄口座は銀行口座の契約に基づくものであり、今回の規制は前者のみを対象とする。

中央銀行が公式解釈を発表した背景には、定期預金口座のみならず貯蓄口座までも銀行からの事前通知なく凍結されたとして、顧客からの苦情が相次いでいたことがある。各銀行は、大統領令の文言や中央銀行による非公式な説明を基に対応していたが、各行が異なる解釈をする事態を避け、全銀行が同令を統一的に運用できるよう、中央銀行に対して公式的な見解の公表を求めていた。在ロシア外国経済団体なども、制度の解釈に関する明確化に加え、支店・駐在員事務所および個人の定期預金を規制対象から除外するよう財務省に要望していた。このためには大統領令の改正が必要だった。

(注1)欧米諸国や日本など、ロシア政府やロシアの個人、法人に対して非友好的行為を行う国・地域。連邦政府指示第430-r号(2022年3月5日付)で規定し、その後数度にわたって改定(追加)している。
(注2)非友好国からの融資・貸し付けへの返済、配当などの振り込み(月額1,000万ルーブルを超えるもの)などに利用目的を限定して使用される特別口座。

(欧州課)

(ロシア)

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非友好国の個人と支店・駐在員事務所の定期預金を払い戻し規制対象から除外

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/fb8e3e491f4a9c50.html

時系列

主な数値

月間払い戻し上限額(ルーブル) 10000000ルーブル
月間払い戻し上限額(円) 19000000円
ルーブル円換算レート 1.9円/ルーブル

この事例から確認すべきポイント

本件は、ロシアが非友好国と指定する国・地域の企業支店・駐在員事務所および個人に対する金融規制の一部緩和を示すものです。当初の規制導入後、現場での混乱や顧客からの苦情、銀行間の解釈の相違が生じたため、中央銀行による公式解釈の発表や、最終的には大統領令の改正に至った経緯が示されています。これは、国際情勢に起因する経済制裁や対抗措置が、実務レベルで予期せぬ混乱を招きやすいことを浮き彫りにします。特に、金融規制の適用範囲や解釈の曖昧さは、企業や個人の資産管理に直接的な影響を与えるため、当局による迅速かつ明確な情報提供の重要性が再確認されます。また、外国経済団体からの要望が大統領令改正につながった点は、ロビー活動や意見表明の有効性を示す事例とも言えます。企業は、国際的な事業展開において、現地の法規制の変更動向を常に注視し、不明点があれば当局や専門家への確認を怠らない体制を構築する必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-14

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