経済・産業トレンド

欧州鉄鋼業界、生産と投資に好転の兆し、新貿易措置導入を評価

最終確認日: 2026-10-27

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分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年10月28日

欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は10月13日、2026年1月以降に約1,000万トンの粗鋼生産能力が回復したと発表した(プレスリリース)。生産回復を受け、欧州鉄鋼業界では投資再開の動きも広がっている。現時点で34億ユーロの欧州企業による投資が発表されているが、年末までにさらに24億ユーロの投資が見込まれ、バリューチェーン全体で最大8万人の雇用維持につながるとした。包括的な評価は時期尚早としつつも、7月に適用開始となったEUの新たな鉄鋼貿易措置(2026年9月4日記事参照)導入の効果が現れ始めているとの認識を述べた。

しかし、欧州鉄鋼産業を取り巻く環境は引き続き厳しい。2026年第1四半期(1~3月)までのデータを基にしたEUROFERの「経済・鉄鋼市場見通し」(10月1日発表)によると、EUの2026年の鉄鋼需要は前年比0.1%増にとどまる見込みだ。さらに、2026年上半期(1~6月)の輸出は、米国(29%減)をはじめ、インド(24%減)、トルコ(21%減)、中国(18%減)などで大幅減となり、全体では前年同期比20%減だった。同期間の輸入はやや減少したが、大幅な輸入超過が続いている。

EUROFERのヘールト・ファン・プールボールデ会長(アルセロール・ミタル・ヨーロッパ・スチール取締役会長)は、新貿易措置は欧州鉄鋼業界の安定化に向けた重要な一歩と評価した上で、EUに対し、迂回輸出の抑止策や炭素国境調整メカニズム(CBAM)の実効性向上、EU産鉄鋼の需要喚起に向けた市場創出策など、さらなる支援策の展開を要請した。

理事会・議会のCBAM対象製品の大幅拡大案に、鉄鋼業界は支持するもユーザー業界は懸念
鉄鋼などを使用する川下製品を2028年1月からCBAMの対象に追加する法案(2025年12月19日記事参照)については、EU理事会(閣僚理事会)は6月、欧州議会は9月に立場(修正案)を採択し、成立に向けた両機関の協議が始まった。対象製品数については、欧州委員会案の180品目に対し、EU理事会案は約200品目、議会案は約450品目まで拡大する内容となっている。EUROFERは、現行制度では第三国の事業者が鋼材を最終製品に加工して輸出することにより、CBAMに伴う炭素コストを回避・軽減可能だと主張し、対象品目の拡大を支持している。

一方、鉄鋼を使用する業界からは懸念の声が上がっている。欧州自動車工業会(ACEA)、欧州自動車部品工業会(CLEPA)と欧州タイヤ製造協会(タイヤ・ヨーロッパ)は10月5日付のEU宛て共同書簡で、企業の業務・財政面の負担増に強い懸念を示し、CBAMの適用対象はカーボンリーケージ(炭素漏出)のリスクが実証された製品に限定すべきと主張した。また、関連データの入手可能性や検証方法の確立を適用拡大の前提条件とし、適用開始時期の見直しも訴えた。また、排出量算定に利用可能なデフォルト値や報告要件の簡素化を通じた負担軽減に加え、緩和措置の設計にあたっては、川下産業への影響を考慮すべきと提言した。

(滝澤祥子)

(EU)

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公開日: 2026-10-28 / 最終確認: 2026-10-27

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編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-10-27

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