中国、外資誘致強化に向けた15項目のアクションプラン発表
この発表の要点
- 中国政府が外資誘致強化のため5分野15項目のアクションプランを発表した。
- 金融業の開放推進、医薬品の分段生産制度整備、データ越境管理の最適化などが含まれる。
- 外資系企業への内資企業と同等待遇の保証、政府調達・入札での公平競争確保を目指す。
企業・自治体への影響
中国で事業を展開する、または展開を検討している多業種(特に金融、医薬、IT、製造業)の企業に影響があります。市場アクセス拡大、事業運営の利便性向上、公平な競争環境の整備が期待される一方で、データ越境管理などの新たな規制への対応も求められます。関係部門は、中国事業戦略の見直しやコンプライアンス体制の強化が必要となる可能性があります。
対応すべきこと
- 発表されたアクションプランの詳細(添付資料等)を公式出典で確認する。
- 自社の事業が関連する金融、医薬、データ越境管理、政府調達などの分野における具体的な変更点を把握する。
- 中国事業に関わる法務、経理、情報システム、経営企画などの関係部門へ本発表を共有し、対応方針を検討する。
- データ越境管理のネガティブリストや重要データ分類目録の国家標準策定の動向を継続的に注視する。
対象部門: 経営者 総務 法務 情シス 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 中国商務部、国家発展改革委員会、財政部 |
|---|---|
| 業界 | 多業種 |
| 発表日 | 2026-06-25 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月25日
添付資料(112 KB)
中国の商務部、国家発展改革委員会、財政部は6月16日、「外資利用の安定維持・質の向上アクションプラン」(商資発[2026]97号)を発表した(商務部ウェブサイトへの掲載日は6月22日)。外国資本活用の安定の確保と質の向上を推進するため、5分野、計15項目のプランを策定した(添付資料表参照)。
「市場アクセスの拡大」の分野では、金融業の開放を推進するとして、外資系金融機関によるファンド投資顧問業務の実施を支援するとした。また、越境業務管理を最適化し、重点外資系企業にクロスボーダー融資の利便化枠(注1)を提供するとした。医薬分野については、医薬品の「分段生産」制度(注2)を整備し、海外の「医薬品上市許可」(「上市」は市場投入の意)保有者によるバイオ製品・化学薬品の越境分段生産を促進するとした(注3)。また、保険会社による保障範囲拡大を支援し、革新的な医薬品や医療機器の市場参入を促すとしている。さらに、外資系企業の医薬品が小売りチャンネルにて円滑に流通できるよう、業界協働プラットフォームを整備するとした。
「外商投資の利便性向上」の分野では、外国投資者による中国国内企業買収規定の改定を進め、監督管理における部門間連携を強化するとした。また、データ越境管理について、自由貿易試験区などでより多くの分野で利用シーン別のデータ越境ネガティブリスト(注4)策定を模索し、工業、電気通信、地理情報、自動車、医薬、宇宙、航空などの産業分野で重要データ分類目録の国家標準を策定するとした。
「投資促進水準の高度化」の分野では、地方政府の外資誘致活動における奨励・禁止事項リストを策定し、政策執行の一貫性を高めるとした。さらに、「外商投資サービス保障体系の整備」の分野では、法律で定めのある分野や国家安全に係る領域を除き、各分野で策定する企業支援政策では外資系企業には内資企業と同等の扱いを保証し、政府調達や入札でも公平競争を確保するとしている(注5、6)。
国務院新聞弁公室は6月22日、記者会見を開き、同アクションプランは第15次5カ年規画期間(2026~2030年)において外資誘致の新たな利点を形成するため、外資系企業の共通の問題に焦点を当てて策定したと解説した。また、これらの問題の多くは、毎月開催している外資系企業座談会、重点外資系企業プロジェクト専門チーム、多国間・2国間の経済貿易協力メカニズムを通じて収集し整理したものだと述べた。さらに、製造業においては、今後重点的に解決すべきは「参入」後の「営業許可」の問題であり、「大きな門は開いているが小さな門が開いていない」といった具体的問題の解決に力を入れていくと述べた。
(注1)クロスボーダー融資利便化とは、一定の条件を満たす企業が純資産規模に関わらず、外貨管理局が認定する枠内で自主的に外債を借り入れられる制度。2022年5月に一部地域で試行が始まり、以降、対象地域が拡大されてきた。
(注2)医薬品の分段生産制度とは、医薬品の製造プロセスを複数の工程(段階)に分け、それぞれを異なる製造拠点や企業で分担して行う仕組み。
(注3)中国日本商会が6月11日に発刊した「中国経済と日本企業2026年白書」(2026年6月15日記事参照)では、海外医薬品市販承認取得者(MAH)制度に関する内外格差の是正として、海外MAHの上市許可を中国国内企業へ円滑に譲渡できる仕組みの実現を要望している。なお、医薬品市販承認取得者(MAH)制度とは、実施対象地域の企業・研究機関が、医薬品市販承認を申請・取得した場合、医薬品の品質・安全性に責任を持ちつつ、他の企業に委託生産することが可能となる制度。
(注4)各自由貿易試験区では、データ越境ネガティブリストが順次策定されている(2024年9月11日記事、2025年4月8日記事参照)。
(注5)国務院新聞弁公室による記者会見では政府調達に関して次の4点を挙げている。
政府調達に関する法制度の整備
政府調達における国産品基準(2025年10月3日記事参照)の明確化
政府調達に対する監督管理の強化
政府調達に関する行政裁決メカニズムの継続的整備
(注6)「中国経済と日本企業2026年白書」では、政府調達分野における外資系企業と中国企業による公平な競争の保障を要望している。
(亀山達也)
(中国)
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中国、外資誘致強化に向けた15項目のアクションプラン発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/47c42a3342d1f8c6.html
時系列
- 2026-06-16 中国の商務部、国家発展改革委員会、財政部が「外資利用の安定維持・質の向上アクションプラン」を発表
- 2026-06-22 商務部ウェブサイトにアクションプランが掲載。国務院新聞弁公室が記者会見を開催し、アクションプランについて解説
- 2026-06-25 ジェトロが本記事を公開
主な数値
| アクションプランの分野数 | 5分野 |
|---|---|
| アクションプランの項目数 | 15項目 |
| 第15次5カ年規画期間 | 2026~2030年 |
この事例から確認すべきポイント
中国政府が外資誘致強化のため、金融業の開放、医薬品分野の制度整備、データ越境管理の最適化など多岐にわたる施策を打ち出したことは、外資系企業にとって事業環境の改善が期待されます。特に、外資系企業への内資企業と同等待遇の保証や政府調達・入札における公平競争の確保は、長年の懸念事項に対する具体的な対応と見られます。しかし、「大きな門は開いているが小さな門が開いていない」といった実務上の課題解決に力を入れるとの言及は、政策と実態の乖離が存在する可能性を示唆しており、今後の運用状況を注視する必要があります。自由貿易試験区でのデータ越境ネガティブリスト策定や重要データ分類目録の国家標準策定は、データガバナンスの透明性向上に寄与する可能性がある一方で、企業にとっては新たなコンプライアンス要件となるため、詳細な内容の確認が不可欠です。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-25
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