第114回ILO総会結果(概要)
この発表の要点
- 日本政府はILOの職業上の安全及び健康に関する第155号条約の批准書を寄託した。
- プラットフォーム経済におけるディーセント・ワークに関する新しい国際労働基準の条約が採択された。
- 日本政府はAIの労働分野での活用促進とジェンダー平等推進への貢献を表明した。
企業・自治体への影響
国際労働基準の動向は、国内の労働法制や企業の労働環境整備に影響を与える可能性があります。特に、プラットフォーム経済に関する新条約は、ギグワーカーを雇用する企業や、サプライチェーンにおける労働環境改善に取り組む製造業・小売業などに影響を及ぼす可能性があります。人事・法務部門は、これらの国際的な動きを注視し、将来的な法改正や企業方針への影響を評価する必要があります。
対応すべきこと
- 国際労働機関(ILO)の公式発表や関連資料を確認し、採択された条約や結論文書の詳細を把握する。
- 特にプラットフォーム経済における新しい国際労働基準について、自社の事業活動への影響を評価する。
- 職業上の安全及び健康に関する第155号条約の批准が国内の労働安全衛生法規に与える影響について情報収集を行う。
- AIの労働分野での活用やジェンダー平等推進に関する国際的な議論の動向を関係部門へ共有する。
対応優先度: 中 国際的な労働基準の動向や日本政府の国際的なコミットメントに関する情報であり、将来的に国内法制や企業活動に影響を与える可能性があるため。
対象部門: 経営者 総務 法務 人事
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 厚生労働省 |
|---|---|
| 分類 | 企業プレスリリース |
発表された内容
令和8年6月1日(月)~6月12日(金)
場所:スイス国ジュネーブ
出席者等:
政府側:長坂厚生労働副大臣、秋山大臣官房総括審議官(国際担当) 他
労働者側:神保日本労働組合総連合会(連合)事務局長、齋藤連合総合国際政策局長他
使用者側:安藤日本経済団体連合会(経団連)労働法規委員会国際労働部会長、長澤経団連労働法制本部参事他
本総会では、日本政府からは長坂厚生労働副大臣が代表演説を行った。その他、条約・勧告の適用状況、社会対話と三者構成主義に関する周期的討議、プラットフォーム経済におけるディーセント・ワークに関する基準設定討議、仕事の世界におけるジェンダー平等の変革的アジェンダの推進に関する一般討議等について議論が行われ、今後の対応策等をまとめた各議題の結論文書等が採択された。
2.本会議
ウングボ事務局長から「AIを活用したディーセント・ワークの実現」をテーマとした事務局長報告が行われ、これを受けて各国政労使による演説が行われた。日本政府からは長坂厚生労働副大臣が代表演説を行い、以下の内容等を発言した。
ILOが厳しい財政状況に直面する中、ILOの中核的マンデートの実現に焦点を当てながら効率的な組織を目指すというILO改革を支持し、支えていく。
基本条約である第155号条約 (職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)の批准書をILOに寄託した。国内における労働災害の一層の防止と国際的な労働安全衛生規範の普及に努めていく。
日本はアジア・太平洋地域における最大の任意拠出国として、これまで50年以上にわたり、アジアの国々を中心に、その国々の実態やニーズに合わせ、労働安全衛生水準の向上や社会保険制度整備、サプライチェーンの労働環境改善などの様々な開発協力を行ってきた。
日本は、AIに関する基本法を制定し、内閣総理大臣をトップに全省庁が参画してAIの開発・活用を促進していく体制を構築した。また、国家戦略として、AIに関する基本計画を閣議決定した。労働分野では、AIリ・スキリング支援の支援やハローワークにおけるAIの活用に取り組んでいる。
社会的パートナーとの対話を大切にしながら、仕事の世界における永続的な課題に取り組むためのあらゆる努力を行う。
別添1 政府代表演説(日本語)[84KB]
別添2 政府代表演説(英語)[41KB]
3.主要議題
財政委員会:財政委員会において、2025年の財政報告書及び連結財務務諸表等の報告や2024-25年の「純利益」の取扱いに関する決議案等が承認され、当該決議案等が総会本会議において採択された。
基準適用委員会: 条約勧告適用専門家委員会の報告書に関する一般討議、各加盟国における既批准条約の適用状況に関する個別案件(全23件。日本案件はなし)の審議並びにミャンマー及びベラルーシに関する特別会合が行われた。
社会対話と三者構成主義に関する周期的討議(※):社会対話の強化に向けた取組等について議論が行われ、日本はDX、GX、ビジネスと人権等における社会対話の事例や、アジア地域での技術支援の取組を紹介し、議論に貢献した。委員会で、加盟国及びILOが取り組むべきこと等を内容とする結論文書が取りまとめられ、本会議において採択された。
※ILO総会では、(1)雇用の促進、(2)社会的保護、(3)社会対話と三者構成主義、(4)労働における基本的原則及び権利の4つの目標に関してILOや加盟国の取組について周期的に議論を行っているところ、今回は上記(3)について議論が行われた。
プラットフォーム経済におけるディーセント・ワークに関する基準設定討議:プラットフォーム経済におけるディーセント・ワークに関する新しい国際労働基準について、2回の討議のうち、2回目の討議が行われ、条約が採択された。また、本年11月のILO理事会において条約のフォローアップを行うこと等を内容とする決議文書が採択された。
仕事の世界におけるジェンダー平等の変革的アジェンダの推進に関する一般討議:仕事の世界におけるジェンダー平等の達成に向けたアプローチ等について議論が行われ、日本は、仕事の世界におけるジェンダー平等に係る施策やILO拠出金事業等を紹介し、議論に貢献した。委員会で、政府、使用者団体及び労働者団体が行うべき取組等を内容とする結論文書が取りまとめられ、本会議において採択された。
4.二国間会談(長坂厚生労働副大臣)
ウングボ事務局長との会談:ILOの価値観を共有しながら、引き続き財政面・人材面でILOに貢献していくことを強調するとともに、日本とILOとの間での人的交流を一層深めていくことを確認した。また、AIの進展を踏まえたディーセント・ワークの実現に向けて、国際社会と協力して取り組んでいくことを発言した。
各国代表との会談:EUのムンザトゥ欧州委員会執行副委員長との会談では、労働分野におけるAIの影響や活用等について意見交換を行った。ネパールのヤダブ青年・労働・雇用大臣との会談では、育成就労制度に関する今後の協力等について意見交換を行った。
さらに詳しい内容についてはこちらをご参照ください。
ILO本部ホームページ:第114回ILO総会(英語)
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出典: 厚生労働省
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kokusai/ilo/ilo_soukai2026.html
時系列
- 2026-06-01 第114回ILO総会開催(~6月12日)
- 2026-06-12 第114回ILO総会閉幕
- 2026-11-XX ILO理事会においてプラットフォーム経済に関する条約のフォローアップを実施予定
主な数値
| 総会開催期間 | 12日間 |
|---|---|
| 基準適用委員会における個別案件数 | 23件 |
| 日本によるアジア・太平洋地域への開発協力期間 | 50年以上 |
この事例から確認すべきポイント
第114回ILO総会の結果概要は、国際的な労働環境の変化とそれに対する各国の取り組みを示す重要な情報源です。特に、プラットフォーム経済における新しい国際労働基準の採択は、ギグワーカーなど多様な働き方に対応するための国際的な枠組みが形成されつつあることを示唆します。日本政府が職業上の安全及び健康に関する条約を批准したことは、国内の労働安全衛生水準の向上と国際規範への適合を推進する姿勢を明確にしています。また、AIの活用促進とジェンダー平等推進への言及は、技術革新と社会変革が労働市場に与える影響を認識し、それに対応するための政策的努力が国際的に求められていることを示しています。企業は、これらの国際的な動向が将来的に国内法制や企業活動に与える影響を注視し、労働環境の整備や多様な人材の活躍推進に向けた準備を進める必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-26
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