経済・産業トレンド

6月のカナダ消費者物価指数、前年同月比2.8%上昇

カナダ統計局が2026年7月20日に発表した2026年6月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.8%の上昇となり、5月の3.2%から0.4ポイント鈍化しました。主な上昇要因はFIFAワールドカップ開催に伴う旅行関連サービスや航空運賃の上昇で、抑制要因はガソリン価格の伸びの鈍化、乗用車価格、店頭食品価格の上昇率低下です。エコノミストはインフレが穏やかでピークを過ぎたとの見方を示し、カナダ中央銀行は政策金利を据え置く可能性を指摘しています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

カナダと取引のある企業、特に旅行・観光業、運輸業、小売業、および金融機関は、カナダの経済動向や金融政策の方向性を把握し、事業戦略や投資判断に影響を及ぼす可能性があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-07-28
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月28日

添付資料(237 KB)

カナダ統計局が7月20日に発表した2026年6月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比2.8%の上昇となり、5月(3.2%、2026年6月29日記事参照)から0.4ポイント鈍化した(添付資料表参照)。

統計局は上昇の主な要因として、サッカーのFIFAワールドカップ開催などに伴う旅行関連サービスの価格上昇を挙げている。特に開催都市となったトロントとバンクーバーにおいて、旅行者向け宿泊施設の顕著な価格上昇がみられ、オンタリオ州で前年同月比19.4%増、ブリティッシュコロンビア州で20%増となった。これを受けて、旅行者向け宿泊施設の価格上昇率は全体で5月の2.5%から6月は10.1%となった。また、旅行ツアーの価格は5月の0.7%増から6月は6.8%増へと上昇幅が拡大した。ジェット燃料価格の上昇と国内旅行需要の増加により、航空運賃も9.6%上昇し、2023年2月以来最大の伸びとなった。

一方、上昇を抑制した要因としてガソリン価格を挙げている。6月のガソリン価格は前年同月比20.5%上昇と、5月の33.2%から伸びが鈍化した。中東情勢の影響で依然として高水準にあるものの、世界的に原油価格が下落し、ガソリン価格は前月比で10.2%低下した。これは連邦炭素税の撤廃に伴い価格が下落した2025年4月以来、最大の前月比下落幅となった。また、その他の抑制要因として、乗用車価格は前年同月比1.9%増と、5月(2.5%増)から伸びが鈍化し、2025年3月以降で最も低い上昇率となった。さらに、店頭の食品価格(注)も6月は3.9%増と、5月(4.3%増)から鈍化した。ブドウ価格の下落(0.6%減)により、生鮮果物の上昇率は、1.7%増にとどまった。しかし、こうした鈍化もあるものの、食料品価格は17カ月連続でCPIの伸び率を上回った。

発表を受けて、トロント・ドミニオン銀行のマネージングディレクター兼シニアエコノミスト、レスリー・プレストン氏は「カナダのインフレは依然として非常に穏やかで、今年のピークはすでに過ぎたと考える。需要環境が比較的弱いため、企業も価格を引き上げにくい状況にある」と指摘した。その上で、カナダ中央銀行(中銀)は当面、政策金利を据え置き、しばらく様子見する姿勢を維持するとの見方を示した(「TDエコノミクス」7月20日)。

(注)この食品価格には外食を含まない。添付表の項目「食料品」が外食を含むのと異なる

(幡野裕一)

(カナダ)

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6月のカナダ消費者物価指数、前年同月比2.8%上昇

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/a3c400fd69a9f6a2.html

時系列

主な数値

2026年6月の消費者物価指数(CPI)上昇率 2.8%
2026年5月の消費者物価指数(CPI)上昇率 3.2%
CPI鈍化幅 0.4ポイント
オンタリオ州の旅行者向け宿泊施設価格上昇率 19.4%増
ブリティッシュコロンビア州の旅行者向け宿泊施設価格上昇率 20%増
旅行者向け宿泊施設全体の価格上昇率(2026年6月) 10.1%
旅行者向け宿泊施設全体の価格上昇率(2026年5月) 2.5%
旅行ツアー価格上昇率(2026年6月) 6.8%増
旅行ツアー価格上昇率(2026年5月) 0.7%増
航空運賃上昇率 9.6%
ガソリン価格上昇率(2026年6月) 20.5%上昇
ガソリン価格上昇率(2026年5月) 33.2%
ガソリン価格低下率(前月比) 10.2%
乗用車価格上昇率(2026年6月) 1.9%増
乗用車価格上昇率(2026年5月) 2.5%増
店頭の食品価格上昇率(2026年6月) 3.9%増
店頭の食品価格上昇率(2026年5月) 4.3%増
ブドウ価格下落率 0.6%減
生鮮果物上昇率 1.7%増
食料品価格がCPIの伸び率を上回った連続月数 17カ月

この事例から確認すべきポイント

2026年6月のカナダ消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.8%上昇と、5月から鈍化傾向を示しました。これは、ガソリン価格の伸びの鈍化や乗用車、店頭食品価格の上昇率低下が主な要因です。一方で、FIFAワールドカップ開催に伴う旅行関連サービスや航空運賃は顕著な上昇を見せており、特定の需要が物価を押し上げている状況がうかがえます。エコノミストの見解では、カナダのインフレはピークを過ぎ、需要環境の弱さから企業が価格を引き上げにくい状況にあると分析されており、カナダ中央銀行の政策金利据え置きの可能性が示唆されています。企業は、カナダ市場における物価変動要因、特にエネルギー価格や特定のサービス需要の動向を注視し、事業戦略や価格設定に反映させる必要があります。また、金融政策の動向も今後の経済活動に影響を与えるため、継続的な情報収集が求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-28

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