米NHTSA、完全自動運転車の手動ブレーキ操作装置搭載義務撤廃へ規則案を公表
この発表の要点
- NHTSAが完全自動運転車の手動ブレーキ操作装置搭載義務撤廃の規則案を公表した。
- 人による運転を想定しない車両から手動ブレーキ要件を撤廃するが、制動性能要件は維持される。
- この見直しは、NHTSAが進める自動運転車(AV)の枠組みに基づくFMVSS見直しの5件目である。
企業・自治体への影響
自動車メーカーや自動運転技術開発企業は、米国市場における完全自動運転車の設計・開発において、手動ブレーキ操作装置の搭載義務が撤廃される可能性を考慮する必要があります。これにより、車両内部の設計自由度が高まり、新たな車両コンセプトの実現が期待されます。関連部品サプライヤーも影響を受ける可能性があります。
対応すべきこと
- NHTSAの公式発表(連邦官報)で規則案の詳細を確認し、自社の製品開発への影響を評価する。
- 自動運転技術開発部門や車両設計部門へ本規則案の情報を共有し、今後の開発計画に反映させる。
- 制動性能要件の維持と代替試験手順について、技術的な適合性評価を開始する。
- 米国における自動運転関連法案(セルフ・ドライブ法案など)の動向を継続的に監視する。
対象部門: 経営者 法務 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 米運輸省道路交通安全局(NHTSA) |
|---|---|
| 業界 | 自動車・自動運転技術 |
| 発表日 | 2026-06-25 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | 米国 |
発表された内容
2026年07月08日
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は6月25日、自動運転システム(ADS)のみで運転されるよう設計された車両について、手または足で操作するブレーキ制御装置搭載義務を撤廃する規則案を発表した(6月26日付連邦官報に掲載)。今回の見直しの対象は、車両総重量(GVWR)が3,500キログラム以下の車両に搭載されたブレーキシステムを規定する連邦自動車安全基準(FMVSS)第135号である。NHTSAは2025年4月に発表した「自動運転車(AV)の枠組み(Automated Vehicle Framework)(2025年4月30日記事参照)」を基に、AVの実装に向けた取り組みを進めている。
規則案の骨子は次の2点。(1)人による運転を想定しない設計の車両について、手または足で操作するブレーキ制御装置の要件を撤廃する。ただし、手動運転装置を備えるADS搭載車には既存の要件を引き続き適用する、(2)制動距離基準をはじめとする制動性能要件(注1)は維持され、対象車両は代替の試験手順に従い現行と同一の基準への適合が求められる。
AVの枠組みに基づくFMVSSの見直しは、AV化で不要となる機能の撤廃など今回で5件目となる(注2)。NHTSAはこのほかにも、FMVSSの適用免除手続きの簡素化(2025年6月24日記事参照)や、将来のガイダンス策定に向けた、業界・安全専門家による初の「全米AV安全フォーラム」の開催など、実用化に向けた既存の規制見直しを進めている。
政府はAV政策の目的として、交通安全上の利点に加え、中国とのイノベーション競争への対応に言及した。なおAVを巡っては、下院共和・民主党議員が超党派で検討を進めた「セルフ・ドライブ法案(H.R.7390)」が現在連邦議会に提出され、委員会で検討されている。2026年1月22日に首都ワシントンDCで開催された専門家会議である「Public Policy Day」では、本草案作成に関わったデビー・ディンゲル下院議員(民主党、ミシガン州)とボブ・ラッタ下院議員(共和党、オハイオ州)が、グローバル競争が激化する中での米国の技術開発を推進する重要性について議論するなど、超党派の協力体制をアピールした。
(注1)一定速度から安全かつ安定した状態で完全に停止するまでの距離など制動能力に関する基準。
(注2)NHTSAはこれまでに、トランスミッションのシフトポジション表示(FMVSS第102号)、フロントガラスの曇りや霧を取り除くデフロスタ・デフォッガー(同第103号)や、ワイパー・ウォッシャー(同第104号)、タイヤの仕様や適正空気圧などを表示するタイヤ情報プラカード(同第110号)に関する4基準の改定を求める規則案を公表した(第102号、第103号・第104号は2026年3月16日、第110号は4月1日に官報掲載)。
(大原典子)
(米国)
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米NHTSA、完全自動運転車の手動ブレーキ操作装置搭載義務撤廃へ規則案を公表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/01ce886f63ee4b05.html
時系列
- 2025-04 NHTSAが「自動運転車(AV)の枠組み(Automated Vehicle Framework)」を発表
- 2025-06-24 NHTSAがFMVSSの適用免除手続きの簡素化を公表
- 2026-01-22 専門家会議「Public Policy Day」が首都ワシントンDCで開催
- 2026-03-16 FMVSS第102号、第103号・第104号の改定規則案が官報掲載
- 2026-04-01 FMVSS第110号の改定規則案が官報掲載
- 2026-06-25 NHTSAが自動運転システム(ADS)のみで運転されるよう設計された車両について、手または足で操作するブレーキ制御装置搭載義務を撤廃する規則案を発表
- 2026-06-26 上記規則案が連邦官報に掲載
- 2026-07-08 本記事が公開
主な数値
| 規則案の対象車両総重量 | 3500キログラム以下 |
|---|---|
| AVの枠組みに基づくFMVSS見直しの件数 | 5件目 |
この事例から確認すべきポイント
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)による自動運転車(AV)の規制見直しは、技術進化と実用化を促進する上で重要な動きです。特に、人による運転を想定しない車両から手動ブレーキ操作装置の義務を撤廃しつつ、制動性能要件は維持するという方針は、安全性を確保しつつAV特有の設計自由度を高めるバランスの取れたアプローチと言えます。これは、AVの枠組みに基づくFMVSS見直しの5件目であり、NHTSAが包括的に規制環境を整備していることを示唆します。また、政府が交通安全上の利点に加え、中国とのイノベーション競争への対応を政策目的として挙げている点は、AV開発が国家戦略レベルで推進されていることを示しており、関連企業は今後の動向を注視する必要があるでしょう。超党派での法案検討も進んでおり、米国におけるAV関連規制の整備は加速すると見られます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-08
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