経済・産業トレンド

韓国の李大統領、半導体投資拡大など3大メガプロジェクトを発表

韓国の李在明大統領は6月29日、「大韓民国の大飛躍3大メガプロジェクト国民報告会」を開催し、半導体、フィジカルAI、AIデータセンターの3分野における大規模な投資計画とインフラ拡充策を発表しました。半導体分野では「3S+1F戦略」に基づき、龍仁国家産業団地などのファブ完成時期短縮、西南圏に800兆ウォン規模の半導体工場建設、次世代半導体支援に15年間で30兆ウォン以上を投入する計画です。フィジカルAIではM.AXアライアンスを中心にロボット開発・投入を加速させ、AIデータセンターではSK、GS、ネイバーと協力し550兆ウォンを投資し8.4GW規模の施設を構築します。大統領府直属の担当官を設置し、プロジェクトを統括する方針も示されました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

半導体、AI、ロボット、データセンター関連産業の企業は、韓国市場における大規模な投資機会や競争環境の変化に直面する可能性があります。特に、韓国への進出を検討している企業や、サプライチェーンに韓国企業が関わる企業は、これらの政策動向が事業戦略に与える影響を評価する必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 広報 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 韓国政府
業界 半導体 / AI / ロボット / データセンター
発表日 2026-07-02
分類 経済・産業トレンド
地域 韓国

発表された内容

2026年07月02日

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は6月29日、「大韓民国の大飛躍3大メガプロジェクト国民報告会」を開催した。産業通商部や科学技術情報通信部などの関係省庁に加え、サムスン電子、SKグループ、HD現代ロボティクスなどの企業、ソウル大学、漢陽大学、成均館大学、韓国科学技術院などの学術界から約90人が参加した。報告会では、(1)半導体、(2)フィジカルAI(人工知能)、(3)AIデータセンターの3分野における大規模な投資計画とともに、電力・用水などインフラ拡充策について議論が行われた。

3大メガプロジェクトの主な内容は次のとおり。

(1)半導体:「3S+1F戦略」による代替不可能なK-半導体強国への大飛躍

「スピード戦(Speed)」:龍仁(ヨンイン)国家産業団地(サムスン電子)および一般産業団地(SKハイニックス)(注1)の最終ファブ完成時期をそれぞれ7年、12年短縮し、5年以内にメモリ生産能力を2倍に拡大する。

「拠点戦(Stronghold)」:西南圏(注2)に総額800兆ウォン(約84兆円、1ウォン=約0.105円)規模の半導体工場(注3)を建設するため、人材確保や許認可、用地確保などで官民が協力する。忠清圏に約81兆ウォンを投資し、HBMパッケージング拠点として育成するほか、東南圏と大慶圏(大邱広域市と慶尚北道に相当)は「素材・部品・装置革新拠点」として整備する。

「先導戦略(Spearhead)」:次世代メモリ、AI半導体、国防半導体などの支援に今後15年間で30兆ウォン以上の財源を投入する。

「総力支援体制(Full-Support)」:「半導体特別法」(2026年2月3日記事参照)に基づく半導体競争力強化特別委員会、半導体特別会計、半導体革新支援団(注4)などによる支援を行う。

(2)フィジカルAI:代替不可能な国家戦略産業として育成

製造業のAI転換を加速させるため、M.AXアライアンス(注5)を中心に業種別のロボットを開発し、毎年1,000台以上を現場に投入する。

現代自動車グループの投資を中心にセマングム地域にロボット工場と部品クラスターを造成し、大慶圏の自動車・家電部品企業の転換を技術面で支援する。

今後3年以内に世界最高水準の独自フィジカルAI基盤モデルを開発する。

(3)AIデータセンター:大規模施設の構築による成長基盤の確保

SK、GS、ネイバーと協力し、第1段階として8.4ギガワット(GW)(SK:5GW、GS:2.4GW、ネイバー:1GW)規模のAIデータセンターを構築する。3社合計で約550兆ウォンを投資する。

また、各プロジェクトを推進するためのインフラ整備も行う。再生可能エネルギーや原子力発電を活用して電力供給体制を強化するとともに、多様な代替水資源を活用して用水を供給する。

李大統領は国民報告会において、「3大メガプロジェクトの成果が、今後20年、30年の大韓民国を担う」と韓国型AIエコシステム構築の重要性を強調するとともに、大統領府直属の担当官を設置し、プロジェクトを自ら統括すると考えを示した。

(注1)ソウル特別市南部の京畿道龍仁(ヨンイン)市において、サムスン電子は6基、SKハイニックスは4基の半導体工場を建設する計画。
(注2)全南光州統合特別市(7月1日に全羅南道と光州広域市が合併し発足)を指す。
(注3)サムスン電子が2基、SKハイニックスが2基のメモリ半導体工場を建設予定。
(注4)「3S+1F戦略」の履行、現場の課題に対応するための専任組織として、産業通商部内に設置。
(注5)製造業のAIトランスフォーメーション(AX)を推進する産学官の協議体、ロボット、AI、製造業など関連分野の約1,500機関が参画。

(橋爪直輝)

(韓国)

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/c7a47041c648ac99.html

時系列

主な数値

半導体工場建設規模(西南圏) 800兆ウォン
半導体工場建設規模(西南圏) 84兆円
HBMパッケージング拠点投資(忠清圏) 81兆ウォン
次世代半導体等支援財源(15年間) 30兆ウォン以上
ロボット現場投入数(毎年) 1000台以上
AIデータセンター構築規模(第1段階) 8.4ギガワット
AIデータセンター投資額(3社合計) 550兆ウォン
M.AXアライアンス参画機関数 1500機関

この事例から確認すべきポイント

韓国政府が国家の将来を担う主要産業として半導体、フィジカルAI、AIデータセンターを位置づけ、大規模な官民連携投資を推進する姿勢が明確である。特に半導体分野では、生産能力の倍増、大規模工場建設、次世代技術への巨額投資を通じて「K-半導体強国」を目指す具体的な戦略が示されている。フィジカルAIとAIデータセンターにおいても、ロボットの現場投入加速や独自基盤モデルの開発、大規模データセンターの構築を通じて、AIエコシステムの確立と製造業のAI転換を強力に後押しする計画である。大統領府直属の担当官設置やインフラ拡充策の言及は、これらのプロジェクトに対する政府の強いコミットメントと実行力を示唆しており、関連産業の企業は今後の動向を注視し、韓国市場での事業機会や競争環境の変化を評価する必要がある。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-02

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