経済・産業トレンド 登録拒絶決定を支持する判決

CJEU一般裁判所、オープンAIの文字商標「OPENAI」の登録認めず

EU司法裁判所(CJEU)の一般裁判所は7月15日、オープンAIが出願したEU文字商標「OPENAI」について、EU知的財産庁(EUIPO)の登録拒絶決定を支持する判決を下しました。EUIPOは「OPENAI」が「開かれた人工知能」を意味する記述的な表現であり、本来的な識別力を欠くと判断。一般裁判所もこれを支持しました。ただし、今回の判決は「使用による識別力」に関する審査を否定するものではなく、今後EUIPOがこの点について審査する見通しです。

この発表の要点

企業・自治体への影響

AI関連企業や、グローバル展開を検討する企業は、商標出願において、名称の記述性と識別力の判断基準を再確認する必要があるでしょう。特に、技術分野の一般的な用語を組み合わせた商標は、各国・地域の知的財産当局で識別力が認められない可能性があるため、法務部門や事業開発部門は注意が必要です。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
業界 IT・ソフトウェア
発表日 2026-07-28
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月28日

EU司法裁判所(CJEU)の一般裁判所(下級審に相当)は7月15日、米国の生成人工知能(AI)のオープンAIが出願したEU文字商標「OPENAI」について、EU知的財産庁(EUIPO)の登録拒絶決定を支持する判決を下した。今回争われたのは「OPENAI」という文字商標(ワードマーク)であり、同社のロゴなど図形商標の登録可否を直接判断したものではない。

EUIPOの審査官は2024年12月、「OPENAI」の文字商標について、本来的な識別力(注)を欠くとして出願の一部を拒絶した。これを不服としてオープンAIが審判を請求したが、EUIPO審判部は2025年6月、「OPENAI」は「OPEN」と「AI」から成る語であり、英語話者には「開かれた人工知能」や「自由に利用可能な人工知能」を意味する記述的な表現として理解されるとして、拒絶を維持した。

一般裁判所もこれを支持し、出願対象となったソフトウエアやAI関連サービスとの関係では、機能や特徴を直接示す表現であり、特定企業の商品・サービスであることを示す識別力を欠くと判断した。

オープンAI側は、同社名称が広く認知されていることや、英国など30超の国・地域で登録されていることも主張したが、一般裁判所はEU商標制度の下では決定的な要素ではないと退けた。

もっとも、今回の判決は「OPENAI」が本来的に識別力を有するかどうかに関する判断であり、商標登録の可能性が完全に否定されたわけではない。EUIPOは、オープンAIが予備的に主張している「使用による識別力」については別途審査するとしており、今回の手続きの対象から切り離している。今後は、「OPENAI」が実際の使用を通じて需要者の間で特定企業を示す標識として認識されるようになったかが審査される見通しだ。

今回の判決は、企業の知名度や市場での評価と、商標としての本来的な識別力の判断は必ずしも一致しないことを示した。他方で、本件では使用を通じて識別力を獲得したかどうかの審査がなお残されており、「OPENAI」のEUにおける商標保護の可否についてEUIPOが今後どのような判断を示すかが注目される。

(注)商標登録には、需要者がその表示を見て特定企業の商品・サービスであると認識できる「識別力」が原則として必要となる。他方、商品やサービスの品質、用途、機能などを説明するだけの表示は、一般に「記述的」として識別力が認められない。なお、EU商標制度では、本来的な識別力がない場合でも、長年の使用により需要者が特定企業の表示として認識するようになった場合には、「使用による識別力」が認められる可能性がある。

(吉森晃)

(EU、米国)

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/c8afc5ea19c3022d.html

時系列

主な数値

登録済み国・地域数 30超

この事例から確認すべきポイント

本件は、企業の知名度や市場での評価が必ずしも商標としての「本来的な識別力」に直結しないことを明確に示した事例です。特に、技術分野における一般的な用語やその組み合わせ(例:「OPEN」と「AI」)は、その機能や特徴を直接的に示すと判断されやすく、識別力の獲得が困難となる傾向があります。しかし、EU商標制度には「使用による識別力」という例外規定が存在し、長年の使用を通じて需要者が特定の企業を示す標識として認識するようになった場合には登録が認められる可能性があります。このため、企業は商標出願戦略において、単なる造語だけでなく、その商標が市場でどのように認知され、使用されているかという実態を重視する必要があるでしょう。特に、グローバル展開を目指す企業は、各国の商標制度における識別力の判断基準の違いを理解し、多角的な視点から商標戦略を構築することが求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-28

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