2026年7月3日 第7回労働政策審議会労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」 議事録
この発表の要点
- 事業性融資推進法を踏まえた事業譲渡等指針が令和8年5月25日から適用されている。
- 企業価値担保権の設定において労働債権保護や労使コミュニケーションを実施した事例が確認されている。
- 平成26年以降の組織再編に関する裁判例・命令例(17事案)が整理・検討されている。
企業・自治体への影響
企業組織再編やM&Aを検討する企業の法務・人事部門に対し、事業譲渡等指針の遵守や労働債権保護、適切な労使コミュニケーションの実施を促す影響があります。
対応すべきこと
- 公式出典にて事業譲渡等指針および関連資料を確認する
- 自社の組織再編・M&A時における労働関係調整の手続きや労使コミュニケーション体制を見直す
- 最新の裁判例・労働委員会命令例の動向を法務・人事部門で共有する
対象部門: 総務 法務 人事
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 厚生労働省 |
|---|---|
| 業界 | 行政・公務 |
| 発表日 | 2026-07-03 |
| 分類 | 制度・法令改正 |
| 地域 | 東京都 |
発表された内容
令和8年7月3日(金) 14:00~16:00
場所
厚生労働省専用第21会議室(中央合同庁舎5号館17階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)
出席者
公益代表委員
山川部会長、池田委員、石﨑委員、髙橋委員、成田委員
労働者代表委員
小林委員、菅村委員、浜田委員
使用者代表委員
荒川委員、木村委員、鈴木委員、鳥澤委員
事務局
岸本労働基準局長、尾田大臣官房審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、先﨑労働関係法課長、瀧田労働関係法課課長補佐
議題
(1)組織再編に伴う労働関係について
(2)今後の進め方について
議事
○山川部会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第7回「労働政策審議会労働条件分科会組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を開催いたします。
委員の皆様方、大変御多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の部会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で実施いたします。
まず、議事に入ります前に、部会委員の交代がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
○労働関係法課課長補佐 事務局でございます。
本部会委員の交代につきまして、御報告いたします。
御手元の参考資料8として、「労働条件分科会組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会委員名簿」を配布しております。
昨年11月の第6回部会からこれまでの間につきまして、労働者代表の冨髙裕子委員が御退任され、日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長の菅村裕子委員に御就任いただいております。
また、使用者代表の松永恭興委員が御退任され、日立製作所人財統括本部人事勤労本部担当部長の荒川卓也委員に御就任いただいております。
同じく、使用者代表の佐久間一浩委員が御退任され、全国中小企業団体中央会労働政策部審議役の木村恵利子委員に御就任いただいております。
事務局からは以上でございます。
○山川部会長 どうぞよろしくお願いいたします。
本日の委員の御出欠ですが、労働者代表の浜委員が御欠席と伺っております。また、公益代表の池田委員は途中退席と伺っております。
カメラ撮りはここまでといたします。
それでは、本日の議事に入ります。
議題(1)の「組織再編に伴う労働関係について」でございます。
事務局から、御説明をお願いします。
○労働関係法課課長補佐 それでは、資料1を御覧ください。
まず、2ページ目、3ページ目に記載の「組織再編に伴う労働関係に関するこれまでの検討経緯①・②」として、過去の経緯をまとめておりますが、こちらは令和7年3月に開催いたしました第1回組織再編部会でお示しした資料と同様のものでありますので、説明は割愛いたします。
4ページを御覧ください。こちらは、「組織再編部会におけるこれまでの検討経緯」でございます。本部会は事業性融資推進法の附帯決議を踏まえて設置されたところですが、令和7年3月に御議論を開始していただいて以降、委員皆様におかれましては、公労使それぞれの御立場で、事業性融資推進法による企業価値担保権の創設を踏まえた事業譲渡等指針の必要な見直しについて御検討いただきました。その結果を踏まえまして、事業譲渡等指針の改正について令和8年1月20日付で告示し、令和8年5月25日から適用されておりますところ、その経緯を記載しております。
5ページを御覧ください。こちらは、「事業性融資推進法を踏まえた事業譲渡等指針の改正」の概要でございます。令和7年度の本部会における御議論の取りまとめとして、事業性融資推進法を踏まえ、事業譲渡等指針における「事業譲渡に当たって留意すべき事項等」として「企業価値担保権に関する事項」を新たに規定する改正を行っております。
改正事項としましては、企業価値担保権の実行手続開始決定後に関するものとして、「管財人が行うべき事項等」について規定し、企業価値担保権を設定する場合に関するものとして、「会社が行うことが望ましい事項」を規定したものでありますが、事業性融資推進法の施行から1か月以上が経過し、実際に企業価値担保権を設定する事例が出てきているものと承知しております。
この点、企業価値担保権の設定時における労使コミュニケーションの状況に関する事例について金融庁に確認したところ、取組事例として、ある金融機関が行った企業価値担保権を活用した融資において、金融機関等から担保権設定者である個別企業に対しては、労働債権等の保護に関する内容を含む独自資料を作成して説明を実施し、さらに、経営者から労働者に対して説明を行った事例が確認されているとのことでありました。また、その他の金融機関につきましても、改正後の事業譲渡等指針を含め、関係指針の内容を御理解いただいているケースがあるとのことでありました。
厚生労働省としましても、引き続き金融庁と連携し、事業譲渡等指針の周知等に取り組んでまいります。
6ページを御覧ください。こちらにつきましては、企業組織の再編に関する主な類型として、合併、事業譲渡、会社分割における法令の規定を比較したものでありまして、7ページには、「事業譲渡等指針」の概要を、8ページには、「労働契約承継法」の概要に加えて、「労働契約承継法指針」等の概要について、それぞれ記載しております。
続きまして、資料2を御覧ください。こちらの資料2から4につきましては、企業組織の再編に関する裁判例、労働委員会の命令例を法形式ごとにまとめたものでございます。
これまでに開催してまいりました「組織の変動に伴う労働関係に関する研究会」や「組織の変動に伴う労働関係に関する対応方策検討会」において、企業組織の再編の類型ごとに、裁判例・命令例につき御議論いただいておりましたが、前回の検討会で取り扱った最新の裁判例が平成26年の事例だったことを踏まえまして、本資料では、およそ平成26年以降の事例を集積することを目的として、平成26年以降に判例雑誌等に掲載された主な事案について、合計で17事案ほど資料を作成しておりますので、御説明いたします。
なお、各資料において、労働条件の変更等の個別的労働関係に関する事例、不当労働行為等の集団的労使関係に関する事例等にそれぞれ区分した上で、テーマごとに事例を掲載しているところです。
まず、合併に伴う労働関係に関する主な裁判例・命令例です。
まずは、個別的労働関係に関する事例から御紹介します。
1つ目は、山梨県民信用組合事件です。労働条件の変更に関するものでございます。
本件は、信用組合の職員が、同組合と山梨県民信用組合との合併により、その労働契約上の地位を承継した山梨県民信用組合に対し、退職金の支払いを求める事案です。
裁判所の判断としては、就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきであるとされました。
また、差戻し後の控訴審判決においては、退職金に関する労働条件の変更に対する本件同意書への署名押印に際し、変更によって生ずる具体的な不利益の内容や程度についての情報提供や説明を受けていなかったと判断され、本件同意書への署名押印はその自由な意思に基づいてされたものとはいえないと判断されました。
ここからは、集団的労働関係に関する事例を御紹介します。
2つ目は、ユナイテッド・エアーラインズ事件です。団体交渉に応ずべき使用者に関するものでございます。
本件は、会社が、組合員の解雇の撤回や復職についての団体交渉を、組合員の使用者ではないことなどを理由として拒否したことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案です。
労働委員会の判断としては、消滅会社が行った本件解雇に関する交渉事項については、存続会社が消滅会社を合併したことにより会社が交渉すべき地位を引き継いでいるのであるから、存続会社が、本件団交申入れに対応すべき使用者に当たらないとして拒否することは、正当な理由であると評価することはできないとされました。
その上で、本件においては、組合は、存続会社に対し、改めて交渉の進展が望める事情の変化がある旨は何ら示さずに、行き詰まりとなっていた団交の申入れを再度行ったというものであるから、これに応じても合意の可能性がないとして拒否した存続会社の対応には正当な理由があると認められるとされました。
3つ目は、日本コンベヤほか2社事件です。団体交渉応諾義務に関するものでございます。
本件は、ユニオンショップ制を定める条項を含む労働協約の改定に関する会社側の対応が不誠実である、会社側が有効期間満了後に労働協約を解約すると通知したことが不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事案です。
労働委員会の判断としては、吸収合併に先立って、ユニオンショップ制を定める条項を含む労働協約の改定を議題とする団体交渉につき、組合が一切受諾できないとして交渉するに値しない内容であるとの態度を取っているとはいえ、労使関係の根幹にかかわる事項の改正を求めるもので、合理的な理由を示し、相手方の理解が得られるように説明を尽くすべきであるとした上で、合併の当時会社による説明は、ユニオンショップ制の破棄といった労使
出典: 厚生労働省
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75551.html
時系列
- 2025-03 第1回組織再編部会を開催し議論を開始
- 2026-01-20 事業譲渡等指針の改正について告示
- 2026-05-25 改正された事業譲渡等指針が適用開始
- 2026-07-03 第7回組織再編部会を開催し議事録を公開
主な数値
| 裁判例・命令例の集積事案数 | 17事案 |
|---|
この事例から確認すべきポイント
本会議では、企業価値担保権の設定における労使コミュニケーションの実際の取組事例が報告され、金融機関による労働債権保護や従業員説明の重要性が示されています。また、平成26年以降の組織再編に関する裁判例・命令例(合併や労働条件変更、団体交渉等)の集積が議論されており、M&Aや組織再編を行う企業にとっては、最新の司法判断や行政解釈の動向を把握し、労働条件の不利益変更や労使協議の手続きにおける法的な適正性を確保することが実務上極めて重要となります。現時点で取得できた本文からは、詳細な個別裁判例の結論等の全容を網羅することはできませんが、今後の指針運用や法改正の動向に引き続き注視する必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-17
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