経済・産業トレンド

スペイン政府、2026年成長率見通しを2.6%に上方修正、中銀はインフレ率3.6%を予測

スペイン政府は6月29日、2026年の実質GDP成長率見通しを2.6%に上方修正し、雇用拡大や個人消費の底堅さを背景にユーロ圏平均を上回る成長を見込みました。一方、スペイン中央銀行は6月18日、2026年のインフレ率見通しを3.6%に引き上げ、物価面の上振れリスクを強調。政府は同日、物価高対策として家計向け炭化水素税減税の段階的縮小と、一次産業・輸送セクター向け燃料支援、肥料補助の積み増し、電力生産税の段階的廃止を含む総額18億2,500万ユーロ規模の緊急経済対策第2弾を閣議承認しました。

この発表の要点

企業・自治体への影響

スペインの経済見通しと物価対策は、同国に進出している企業や貿易を行う企業に直接的な影響を与えます。特に、エネルギー・輸送・一次産業・建設業に関わる企業は、燃料支援や税制変更、EU復興計画の推進による投資動向を注視する必要があります。また、インフレ率の上昇は、企業のコスト構造や価格設定、消費者の購買力に影響を及ぼすため、幅広い業種の企業が事業戦略を見直すきっかけとなるでしょう。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 経理 広報 人事

対応期限:期限あり

基本データ

企業・団体 スペイン政府, スペイン中央銀行
発表日 2026-07-07
分類 経済・産業トレンド
地域 スペイン

発表された内容

2026年07月07日

添付資料(207 KB)

スペイン政府は6月29日に発表したマクロ経済見通しで、2026年の実質GDP成長率の見通しを2.6%とした。2025年11月の前回予測から0.4ポイントの上方修正。中東情勢の不確実性が残る中でも、雇用拡大、個人消費の底堅さ、企業投資の持続を背景に、引き続きユーロ圏平均を上回る成長を見込む。特に総固定資本形成は5.0%増と高く、これは主に「EU復興計画(注)」の推進と建設投資によって支えられている。一方、輸出は1.6%増にとどまる。物価指標はGDPデフレーター(2.9%)のみで、消費者物価指数(CPI)の見通しは示していない。今回の見通しは2027年予算案編成の土台となる。

一方、スペイン中央銀行が6月18日に公表した予測は、物価面の上振れリスクを強調する。中銀は2026年のインフレ率見通しを3.6%、2027年を2.6%とし、前回3月予測から0.6ポイント、0.1ポイント上方修正した。エネルギー価格の上昇は幅広い財・サービス価格に波及しつつあり、2026年のインフレ率見通しは前回予測の悪化シナリオに近い水準へ修正された。エネルギー・食品を除くコアインフレは、サービス価格の高止まりや労働コスト上昇を背景に、2026年、2027年とも3.2%と、ユーロ圏見通し(両年とも2.5%)を大きく上回り、基調としては物価圧力がなお強いとの見方だ。

尚、スペイン中央銀行によるGDP成長率予測は2026年2.3%、2027年1.7%と、国際環境の悪化にもかかわらず前回予測から据え置いた(添付資料表参照)。2026年第2四半期の経済活動の上振れと、2027年の移民流入による人口増が、悪要因による下押しを相殺すると説明している。

緊急経済対策第2弾を閣議承認
政府は物価高への対応を継続すべく、3月の50億ユーロ規模の緊急経済対策(2026年4月14日記事参照)に続く第2弾の措置を6月29日に閣議承認した。家計向けの炭化水素税減税は、減税幅を1リットル当たり15セント(7月)、10セント(8月)、5セント(9月)と段階的に縮小し、9月末で撤廃する。ただし、燃料物価が前年同月比15%を超えて上昇した場合には、減税幅を従来の20セントに戻す自動復帰条項を設けた。一次産業・輸送セクター向け燃料支援は維持し、肥料補助は既存の5億ユーロに1億6,500万ユーロを積み増す。併せて、電力生産税は税率を2028年にかけて現行7%から段階的に廃止する。第2弾の措置は2026年に18億2,500万ユーロ規模となり、電力生産税廃止により、2027~2028年にはさらに27億ユーロの税負担軽減が見込まれる。

(注)EU復興基金を活用したスペイン政府の復興・変革・強靭(きょうじん)化計画

(伊藤裕規子)

(スペイン)

ビジネス短信 3a76677788cb5069

関連情報

dummy

もっと見る

ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

スペイン政府、2026年成長率見通しを2.6%に上方修正、中銀はインフレ率3.6%を予測

ジェトロ公式SNSアカウント

出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/3a76677788cb5069.html

時系列

主な数値

2026年実質GDP成長率見通し(スペイン政府) 2.6%
前回予測からの上方修正幅(スペイン政府GDP成長率) 0.4ポイント
総固定資本形成増加率見込み(スペイン政府) 5.0%
輸出増加率見込み(スペイン政府) 1.6%
GDPデフレーター見通し(スペイン政府) 2.9%
2026年インフレ率見通し(スペイン中央銀行) 3.6%
2027年インフレ率見通し(スペイン中央銀行) 2.6%
前回予測からの上方修正幅(中銀2026年インフレ率) 0.6ポイント
前回予測からの上方修正幅(中銀2027年インフレ率) 0.1ポイント
2026年コアインフレ率見通し(スペイン中央銀行) 3.2%
2027年コアインフレ率見通し(スペイン中央銀行) 3.2%
ユーロ圏コアインフレ率見通し 2.5%
2026年GDP成長率予測(スペイン中央銀行) 2.3%
2027年GDP成長率予測(スペイン中央銀行) 1.7%
緊急経済対策第1弾規模 50億ユーロ
炭化水素税減税幅(7月) 15セント/リットル
炭化水素税減税幅(8月) 10セント/リットル
炭化水素税減税幅(9月) 5セント/リットル
炭化水素税減税自動復帰条項の減税幅 20セント
既存肥料補助額 5億ユーロ
追加肥料補助額 1.65億ユーロ
電力生産税現行税率 7%
緊急経済対策第2弾規模(2026年) 18.25億ユーロ
電力生産税廃止による税負担軽減見込み(2027-2028年) 27億ユーロ

この事例から確認すべきポイント

本発表は、スペイン経済の今後の動向を理解する上で重要な複数の要素を含んでいる。政府は雇用拡大や個人消費の底堅さを背景にGDP成長率の上方修正を行う一方、中央銀行はエネルギー価格上昇やサービス価格の高止まり、労働コスト上昇を要因としてインフレ率の上振れリスクを強調しており、両者の見解には物価に対する認識の差が見られる。特に、コアインフレ率がユーロ圏平均を大きく上回るとの予測は、スペイン国内の物価圧力が根強いことを示唆している。また、政府が承認した緊急経済対策第2弾は、家計や特定の産業セクターへの支援を継続しつつ、一部減税措置の段階的縮小と、電力生産税の廃止による中長期的な税負担軽減を打ち出しており、物価高対策と経済構造改革の両面を意識した政策運営がうかがえる。企業はこれらの経済見通しと政策動向を注視し、事業計画や価格戦略に反映させる必要がある。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-07

関連事例

自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?

無料でプレスリリースを掲載する