チェコの「ウクライナ基金」プログラムの貿易保険案件100件達成、累計取引総額は約157億円
この発表の要点
- チェコの輸出信用機関EGAPは、「ウクライナ基金」プログラムを通じてウクライナ向け貿易保険案件100件を達成し、累計取引総額は約157億円に達した。
- プログラム導入以来、保険引き受け案件数は堅調に増加しており、特に農業機械分野が取引総額の78%を占める。
- チェコ政府は、ウクライナ復興へのチェコ企業参画を積極的に支援しており、輸出支援や融資などの可能性を協議している。
企業・自治体への影響
本発表は、ウクライナ市場への進出や復興支援に関心を持つ製造業(特に農業機械、食品、エネルギー、窯業)、商社、および貿易金融機関にとって、チェコ政府の支援策や市場動向を理解する上で重要な情報となります。紛争下における貿易保険の活用事例として、同様のリスクを抱える地域での事業展開を検討する企業に参考となる可能性があります。
対応すべきこと
- ウクライナ市場への事業展開を検討している企業は、チェコ政府やEGAPの支援プログラムの詳細を公式出典で確認する。
- 貿易保険の活用を検討する際、紛争下における保険制度の適用要件や実績について情報収集を行う。
- 関連する業界団体や商工会議所を通じて、ウクライナ復興支援に関する最新の動向やビジネス機会を把握する。
- 国際情勢の変化が貿易保険や輸出支援制度に与える影響について、継続的に情報収集を行う。
対象部門: 経営者 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 輸出保証・保険公社(EGAP) |
|---|---|
| 業界 | 金融 |
| 発表日 | 2026-07-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | チェコ |
発表された内容
2026年07月16日
チェコの輸出信用機関である輸出保証・保険公社(EGAP)は7月7日、「ウクライナ基金」プログラムを通じて引き受けた同国向け貿易保険案件が、2023年7月の本プログラム導入以降2026年6月30日までに合計100件に達したと発表した。保険引き受け案件の累計取引総額は20億6,900万コルナ(約157億2,440万円、1コルナ=約7.6円)となっている。現在までに保険金請求は発生していない。
保険引き受け案件数は2023年の9件(取引額合計3億600万コルナ)から、1バイヤー当たりの保険価額の上限引き上げが行われた2024年には32件(同6億4,400万コルナ)に急増した。2025年も39件(同7億3,300万コルナ)、2026年上半期(1~6月)も20件(同3億8,600万コルナ)と堅調な伸びを示している。2026年3月には、保険対象期間の18カ月から24カ月への延長などの適用要件が緩和された(2026年4月14日記事参照)。
保険引き受け案件を輸出部門分野別にみると、耕運機など農業機械が最も多く、全100件中75件、取引総額は16億500万コルナで全体の78%を占めた。取引総額では以下、食品(8%)、エネルギー(7%)、窯業(4%)が続く。うち食品は長期保存が可能なもの、窯業は釉薬(ゆうやく、注)が中心となっている。
EGAPのダビット・ハブリーチェック取締役会長は、ロシアのウクライナ侵攻による紛争状態が継続しているにもかかわらず、保険引き受け案件の輸出総額が同侵攻前の2021年の半分以上を上回り、今後も増加傾向にあると強調し、「チェコ企業がウクライナ市場で紛争下においても事業を展開している事実は、同国の戦後復興にチェコ企業が参画するための決定的な要素の1つとなる」と指摘している。
ウクライナ復興へのチェコ企業参画について、チェコ政府は積極的に支援する姿勢をみせている。アンドレイ・バビシュ首相、カレル・ハブリーチェック産業貿易相、ズザナ・ムラーゾバー地方開発相は7月2日、ウクライナ=チェコ商工会議所と協議し、EGAPの輸出支援のほか、EUの「ウクライナ・ファシリティー」(2024年2月6日記事参照)へのチェコの参加と国家開発銀行(NRB)による融資などの可能性を中心に意見交換を行った。また同商工会議所が準備中の、ハブリーチェック産業貿易相のウクライナ訪問およびこれに同行するビジネスミッションも議題の1つとして取り上げられた。
(注)陶磁器などの表面を覆うガラス質の層を形成するために用いられる材料。陶磁器などの製作時に成形した器に施して焼成し、装飾性や耐久性を高める。
(中川圭子)
(チェコ、ウクライナ)
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チェコの「ウクライナ基金」プログラムの貿易保険案件100件達成、累計取引総額は約157億円
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/4d18dda6e1def962.html
時系列
- 2023-07 「ウクライナ基金」プログラム導入
- 2023 保険引き受け案件9件(取引額合計3億600万コルナ)
- 2024 1バイヤー当たりの保険価額上限引き上げ、案件32件(取引額合計6億4,400万コルナ)
- 2025 案件39件(取引額合計7億3,300万コルナ)
- 2026-03 保険対象期間の延長など適用要件緩和
- 2026-06-30 累計貿易保険案件100件達成
- 2026-07-02 チェコ政府関係者とウクライナ=チェコ商工会議所が輸出支援や融資の可能性について協議
- 2026-07-07 EGAPが「ウクライナ基金」プログラムを通じた貿易保険案件100件達成を発表
主な数値
| 累計貿易保険案件数 | 100件 |
|---|---|
| 累計取引総額(コルナ) | 20億6,900万コルナ |
| 累計取引総額(日本円) | 157億2,440万円 |
| 為替レート | 7.6円/コルナ |
| 保険金請求件数 | 0件 |
| 農業機械分野の案件数 | 75件 |
| 農業機械分野の取引総額割合 | 78% |
| 食品分野の取引総額割合 | 8% |
| エネルギー分野の取引総額割合 | 7% |
| 窯業分野の取引総額割合 | 4% |
この事例から確認すべきポイント
チェコの輸出信用機関EGAPによる「ウクライナ基金」プログラムの進捗は、紛争下における貿易支援の成功事例として注目されます。プログラム導入から約3年で100件の貿易保険案件を達成し、累計取引総額は約157億円に上ることは、チェコ企業がウクライナ市場で事業を継続・拡大している事実を示しています。特に農業機械分野が全体の78%を占めることは、ウクライナの復興需要とチェコ企業の強みが合致していることを示唆します。保険価額上限引き上げや適用要件緩和といった制度改善が案件数増加に寄与しており、政府の積極的な支援姿勢も背景にあると推察されます。現在まで保険金請求がゼロであることは、リスク管理の有効性、または紛争下での貿易活動が一定の安定性を持って行われていることを示唆しており、地政学的リスクが高い地域での貿易・投資を促進するための公的支援の重要性を示す事例と言えます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-16
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