日本のスタートアップEco-Pork、スペイン食肉加工大手との養豚DX実証実験の進捗を確認
この発表の要点
- 日本のAgTechスタートアップEco-Porkとスペインの食肉加工大手FACCSAが、AIカメラによる養豚DX実証実験を進めている。
- ジェトロが両社を訪問し進捗を確認、FACCSA施設では搬入口へのAIカメラ設置準備中である。
- Eco-Porkの技術は、スペインでのアフリカ豚熱発生による輸出停止下で、管理コスト削減に貢献すると期待されている。
企業・自治体への影響
日本の農業技術企業にとっては、海外市場でのDXソリューション提供の成功事例として、新たなビジネス機会創出の参考となる。スペインの食肉加工・養豚業界にとっては、AI技術導入による生産性向上とコスト削減、特にアフリカ豚熱による影響下での事業継続性強化に繋がる可能性がある。関係する業種は「農業技術」「食肉加工」「IT・ソフトウェア」、部門は「経営企画」「海外事業」「研究開発」。
対応すべきこと
- 自社の海外展開を検討している企業は、ジェトロ等の公的機関による支援プログラムの活用可能性を調査する。
- 農業・食品関連企業は、AIやIoTを活用したDX推進事例として、本発表の内容を参考に自社の生産性向上策を検討する。
- 海外事業部門は、対象国の産業課題(例: 疾病、規制)と、それに対応する技術ソリューションの市場ニーズを分析する。
対象部門: 経営者 情シス 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | 農業技術 / 食肉加工 |
| 発表日 | 2026-07-02 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月02日
日本の農業技術(AgTech)スタートアップ、Eco-Porkは、スペイン南部の食肉加工企業FACCSA(Frigoríficos Andaluces de Conservas de Carne)と、人工知能(AI)カメラを活用した養豚管理システムの実証実験を進めている。ジェトロはEco-PorkとFACCSAを6月10日に訪問、その状況を確認した。FACCSAの施設では現在、搬入口でのAIカメラ設置に向けた準備が進められている。スペインでは2025年11月にアフリカ豚熱(ASF)の発生が確認され、日本向け豚肉の輸出が停止している(2025年12月8日記事参照)。輸出の再開を待つ中、Eco-Porkの技術は、スペイン養豚生産者の管理コスト削減につながるとして期待されており、今回の訪問において実証実験の進捗を確認した。
Eco-Porkは2017年に設立。AIカメラとハードウエア、ソフトウエアを組み合わせ、養豚の飼育から出荷までのデータ管理・最適化を手掛け、データカンパニーとして養豚DXを推進する。2026年2月発行の会社資料によれば、クラウド管理プラットフォーム「Porker」は日本国内の養豚農場で市場シェア約15%を持ち、農場の生産性を年7%向上させており、農家の売り上げ改善効果は約79億3,000万円にのぼるという。
Eco-Porkの製品とAIカメラ画像(Eco-Pork提供)
FACCSAは1941年創業の食肉加工企業で、マラガ県に本拠を置く。週2万5,000頭の豚を処理し、生産の55%を主にアジア市場に輸出している。両社の接点は、ジェトロが実施したJ-StarX Climate Techコース(欧州)で、バレンシア大学のメンターがEco-PorkとFACCSAを引き合わせたことだった。
Eco-Porkの沼澤祐介氏、リカルド・フロッチャー氏とメンターのイスマエル・バレス氏(左から沼澤氏、バレス氏、フロッチャー氏)(Eco-Pork提供)
今回の実証実験では、FACCSA施設の搬入口における頭数カウント作業を対象とする。FACCSAでは現在、搬入トラックごとに作業員が目視で頭数を確認し、計量器での計測値と照合する体制をとっている。Eco-PorkのAIカメラは、この人手によるカウント作業の事前照合チェックとして機能する設計だ。カメラがトラック搬入時に頭数を自動集計することで、その後の処理ライン上での頭数のずれや問題の早期発見につながり、管理コストの削減が見込めるという。日本国内の実証事業では、同様のシステム導入により出荷日数の短縮や飼料要求率の改善などの効果も確認されている。
FACCSAは自社施設に加えて契約農場約50社を持ち、Eco-Porkのシステムをこれら契約農場へ展開する可能性にも関心を示している。対日本市場はFACCSAにとって豚肉の重要な輸出先で、同社責任者は、DXの文脈で日本とビジネスを継続できる非常に重要なプロジェクトだとの考えを示した。
FACSSAにて(ジェトロ撮影)
Eco-Porkはまた、スペイン白豚生産加工者協会(INTERPORC)と在スペイン日本大使館主催のセミナーにも参加し、製品・サービスを紹介した。同セミナーを通じて、セゴビア市を拠点とする養豚関連企業との新たな接点なども生まれており、スペイン北部での導入可能性についても今後協議が見込まれている。
在スペイン日本大使館でのイベント風景(ジェトロ撮影)
(加賀悠介)
(スペイン、日本)
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ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
日本のスタートアップEco-Pork、スペイン食肉加工大手との養豚DX実証実験の進捗を確認
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/7a7704fb1d1d6b2e.html
時系列
- 1941 FACCSAが創業
- 2017 Eco-Porkが設立
- 2025-11 スペインでアフリカ豚熱(ASF)の発生を確認
- 2025-11 スペインからの日本向け豚肉の輸出が停止
- 2026-02 Eco-Porkの会社資料が発行される
- 2026-06-10 ジェトロがEco-PorkとFACCSAを訪問し、実証実験の状況を確認
- 2026-07-02 本発表が公開される
主な数値
| Eco-Pork設立年 | 2017年 |
|---|---|
| FACCSA創業年 | 1941年 |
| Eco-Porkクラウド管理プラットフォーム「Porker」の日本国内市場シェア | 15% |
| 農場の生産性向上率 | 7% |
| 農家の売り上げ改善効果 | 7930000000円 |
| FACCSAの週処理豚頭数 | 25000頭 |
| FACCSAの生産輸出割合 | 55% |
| FACCSAの契約農場数 | 50社 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、日本のAgTechスタートアップEco-Porkが、スペインの食肉加工大手FACCSAとの間で進める養豚DX実証実験の進捗を報告するものである。アフリカ豚熱(ASF)の発生により豚肉輸出が停止しているスペインにおいて、Eco-PorkのAIカメラ技術が管理コスト削減に貢献する可能性を示しており、現地産業の喫緊の課題解決に資する。ジェトロが両社を引き合わせた経緯は、公的機関を通じた国際的なビジネスマッチングの有効性を示す事例となる。AIカメラによる搬入口での頭数カウント自動化は、人手作業の効率化とデータ精度向上に繋がり、サプライチェーン全体の最適化に寄与する。FACCSAが契約農場へのシステム展開に関心を示している点は、技術の横展開と市場拡大の可能性を示唆しており、今後の進展が注目される。企業は、国際展開において現地の具体的な課題解決に焦点を当てた技術提供と、ジェトロのような支援機関の活用が重要であることを認識すべきである。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-02
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