経済・産業トレンド

日本の5月のナフサ輸入量、中東からは前年同月比95.3%減も、代替輸入で全世界からは9.1%減

日本の2026年5月のナフサ輸入量は、中東情勢悪化とホルムズ海峡の事実上の封鎖により、中東からは前年同月比95.3%減となりました。しかし、米国、アルジェリア、ペルー、スペインなどからの代替輸入が増加した結果、全世界からのナフサ輸入量全体では前年同月比9.1%減の143万kLに留まりました。輸入金額は78.8%増の1,774億円。揮発油全体の輸入量は13.7%減の183万kL。原油および粗油の輸入も中東からの減少が見られるものの、米国などからの調達増加により、今後の調達めどが立っています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

石油化学製品を製造する企業や、その原料であるナフサを輸入・利用する企業は、中東情勢の変動によるサプライチェーンリスクと調達コストの増加に直面する可能性があります。特に、特定の地域に依存した調達戦略を持つ企業は、代替調達先の確保や契約条件の見直しを検討する必要があるでしょう。エネルギー関連企業は、原油・粗油の調達先の多角化と価格変動リスクへの対応が引き続き重要となります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
業界 石油化学・エネルギー
発表日 2026-07-08
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月08日

日本の財務省が6月26日に発表した2026年5月の貿易統計(輸出確報、輸入速報)によると、5月の世界からの揮発油(石油製品)の輸入量は前年同月比13.7%減の183万キロリットル(kL)だった。揮発油のうち、プラスチックなどの原料となるナフサ(HS271012181「揮発油のうち石油化学製品の製造に使用するもの」)は9.1%減の143万kL、金額は78.8%増の1,774億円だった。

中東(注1)からのナフサ輸入量は、中東情勢悪化に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、前年同月比95.3%減となった。一方、米国(約7倍)のほか、アルジェリア、ペルー、スペインなどからの輸入が増加したかたちだ。なお、アラブ首長国連邦(UAE)では輸送量は限定的だが、ホルムズ海峡を通らない代替ルートもあり(2026年5月21日記事参照)、日本はUAEから13万kL輸入した。

5月の日本のナフサ(HS271012181)の国別輸入量と前年同月比増減率は次のとおり。

米国:49万9,076kL、前年同月比609.6%増

アルジェリア:26万6,843kL、全増

UAE:13万2,624kL、71.9%減

ペルー:9万9,863kL、51.6%増

スペイン:8万2,758kL、64.9%増

インド:7万2,104kL、全増

オーストラリア:5万798kL、全増

ポルトガル:5万43kL、全増

イタリア:4万9,311kL、全増

シンガポール:3万5,449kL、全増

オランダ:3万4,469kL、全増

タイ:3万2,398kL、全増

マレーシア:1万7,263kL、240.8%増

韓国:8,464kL、94.0%減

なお、アルジェリアは2025年に輸入実績はなかったが、インド、オーストラリア、イタリア、シンガポール、オランダ、タイは2025年に5月以外の月で輸入実績がある。

また、石油化学工業協会は5月の石油化学製品生産は前月から増加したと発表した(2026年6月22日記事参照)。

日本の5月の「原油および粗油」の輸入量をみると、前年同月比57.3%減少の473万kLだった。このうち、中東から同品目の輸入量は前年同月比61.9%減少の397万kLだった(2026年6月26日記事参照)。「中東情勢に関する関係閣僚会議(第10回)」の資料によると、日本の6月分の原油輸入は米国などからの調達増加により、前年平月比(注2)8割相当、7月分は10割相当の調達のめどが立ったという。

中東情勢と世界各国の動きは「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、ホルムズ海峡や代替ルートなどの状況は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」も参照。

(注1)財務省貿易統計での中東の定義は、イラン、イラク、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、イスラエル、ヨルダン、シリア、レバノン、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、ヨルダン川西岸とガザを含む。
(注2)「前年同月比」とほぼ同義。季節変動が大きい品目などのデータ系列との比較で用いられることがある。

(井澤壌士)

(中東、アラブ首長国連邦、米国、日本、世界)

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日本の5月のナフサ輸入量、中東からは前年同月比95.3%減も、代替輸入で全世界からは9.1%減

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/d8e8cb62fae71abf.html

時系列

主な数値

全世界からの揮発油輸入量(2026年5月) 183万kL
全世界からのナフサ輸入量(2026年5月) 143万kL
全世界からのナフサ輸入金額(2026年5月) 1,774億円
中東からのナフサ輸入量(2026年5月) 95.3%減
米国からのナフサ輸入量(2026年5月) 499,076kL

この事例から確認すべきポイント

中東情勢の不安定化が日本のエネルギー・資源調達に直接的な影響を与えていることが明確に示されています。特にナフサ輸入において、中東からの供給が激減したにもかかわらず、米国をはじめとする多様な国からの代替調達が迅速に進められ、全体の輸入量減少を最小限に抑えられている点は注目に値します。これは、サプライチェーンの多角化とリスク分散の重要性を示唆しています。輸入金額が大幅に増加していることから、代替調達に伴うコスト増大が企業経営に与える影響も考慮する必要があるでしょう。原油についても同様に代替調達のめどが立っていますが、継続的な情勢監視と調達戦略の柔軟性が求められます。石油化学製品生産が増加していることから、原料調達の努力が生産活動を維持していることが伺えます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-08

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