経済・産業トレンド

英政府、公共調達で雇用創出と地域社会支援を重視する方針を発表

英国政府は2026年8月5日、年間900億ポンド規模の公共調達において、雇用創出と地域社会支援を従来以上に重視する方針を発表しました。2027年1月1日から施行されるこの方針では、500万ポンド以上の契約で地域社会への利益評価点の比重を10%から20%に引き上げ、法定最低賃金以上の雇用創出や研修機会提供を評価します。中小企業の負担軽減や、主要契約におけるKPI設定と年次報告書の公表も盛り込まれています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

英国の公共調達市場に参入する企業は、事業戦略において雇用創出や地域社会への貢献をより具体的に計画し、実行する必要がある。特に、製造業、建設業、サービス業など、政府契約を主要な収益源とする企業は、入札戦略やCSR活動の見直しが求められる。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 広報 人事 経理

対応期限:施行日まで

基本データ

企業・団体 英国政府
発表日 2026-08-12
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月12日

英国政府は8月5日、中央政府が行う年間総額900億ポンド(約19兆1,700億円、1ポンド=約213円)規模の公共調達で、雇用創出と地域社会支援を従来以上に重視する方針を発表した。詳細な実務ガイダンスは2026年の秋に発表し、2027年1月1日から施行するとしている。
同方針によると、500万ポンド以上の国内外からの公共調達契約について、地域社会へ利益をもたらすことに対する評価点の比重を従来の10%から20%に引き上げる。これにより、入札者による法定最低賃金以上の雇用の創出や、45日間の就業体験などの研修機会の提供に対して、これまで以上に評価する。また、規則を簡素化し中小企業の要件負担を軽減するとともに、適用基準を100万ポンド以上の契約に引き上げることで、小規模企業や市民社会組織を入札対象とする業務には、これらの規則は適用されず、参加を容易にする。加えて、企業が公約を確実に履行するよう、主要な契約について、政府各省庁が重要業績評価指標(KPI)を設定し、年次進捗報告書を公表する。
英国では若年層を中心に教育、就労、職業訓練のいずれにも従事していないニート(NEET)が増加しており、キア・スターマー前政権においても政府主導で職業体験・研修枠を設置するなど、就労支援を行っていた(2026年6月4日記事参照)。また、7月20日に就任したアンディ・バーナム首相は就任演説で若者の就労支援に言及している(2026年7月22日記事参照)ほか、同政権は政府発表などにおいて「あらゆる郵便番号(地域)で成長を実現する」という表現を多用するなど、地域経済の成長を重視している。
8月5日付BBCによると、今回の見直しでは、新たに追加される評価点の10%分について、これまで平等・ダイバーシティー推進や、ネットゼロ、新型コロナ禍からの復興といった企業の取り組みによる社会的価値の創出を評価していた項目の配分を縮小して充てるという。同報道によると、環境団体グリーンピースUKは、「環境保護と若者の就労支援は互いに利益をもたらすものであり、一方が他方の犠牲になるべきではない」として、政府の方針を批判している。また、8月4日付「ガーディアン」は、人身売買反対や平等を求める活動家たちの間でも懸念が生じる可能性が高いと報じている。
(齊藤圭)

(英国)

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英政府、公共調達で雇用創出と地域社会支援を重視する方針を発表

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/da4416ee1d4e7e9f.html

時系列

主な数値

公共調達年間総額 900億ポンド
公共調達年間総額(円換算) 19兆1,700億円
ポンド円換算レート 213円
地域社会への利益評価点の比重(変更前) 10%
地域社会への利益評価点の比重(変更後) 20%
評価点比重変更の対象契約額 500万ポンド
就業体験期間 45日間
中小企業向け規則適用基準(変更後) 100万ポンド
新たに追加される評価点の割合 10%

この事例から確認すべきポイント

英国政府が公共調達において雇用創出と地域社会支援を重視する方針は、単なる経済効率性だけでなく、社会的価値の創出を行政の重要な評価軸と位置づける動きを示している。特に、500万ポンド以上の契約における地域社会への利益評価点の比重を倍増させることは、企業が入札に参加する上で、法定最低賃金以上の雇用創出や研修機会の提供といった具体的な社会貢献策を事業計画に組み込む必要性が高まることを意味する。また、中小企業の要件負担軽減や適用基準の引き上げは、より多様な企業や市民社会組織の参入を促し、地域経済への波及効果を狙うものと解釈できる。一方で、環境保護や平等・ダイバーシティ推進といった既存の社会的価値評価項目の配分が縮小されることに対する批判も存在し、政府は異なる社会的価値間のバランスをどのように取るかという課題に直面している。企業は、この方針転換を理解し、自社の事業戦略と社会貢献活動を整合させることで、英国市場での競争力を維持・向上させる必要がある。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-12

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