経済・産業トレンド 政策通知

中国、2026年度の人型ロボットとエンボディドAIに係る実地訓練特別行動に関する通知を発表

中国の工業情報化部と国務院国有資産監督管理委員会は、2026年度の人型ロボットおよびエンボディドAI(EAI)に係る実地訓練特別行動に関する通知を発表しました。この通知では、工業、サービス、特殊用途の重点活用シーンで実地訓練を通じて、EAIモデルのアルゴリズム最適化、高品質な実機データ蓄積、本体主要部品の性能向上を図る方針です。2026年末までに、100件以上の高付加価値応用シーン創出と1万台規模の導入能力形成を目指し、実地訓練スペース構築やイノベーション応用コンソーシアム設立など6つの具体的な取り組みが盛り込まれています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

中国市場で人型ロボットやエンボディドAI関連事業を展開する企業は、新たな需要創出と産業育成の機会を享受できる可能性があります。特に、ロボット完成機メーカー、AIアルゴリズム開発企業、サーボモーター・センサーなどの主要部品サプライヤー、および関連する研究機関は、コンソーシアムへの参加や技術連携を通じて事業拡大のチャンスがあります。中国の政策動向は、世界のロボット・AI産業のサプライチェーンや技術標準化にも影響を与える可能性があるため、関連業界の企業は注視が必要です。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 法務 情シス 広報 人事 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 中国の工業情報化部と国務院国有資産監督管理委員会
業界 ロボット・AI / 製造 / サービス
発表日 2026-06-08
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年07月01日

中国の工業情報化部と国務院国有資産監督管理委員会は6月8日、「2026年度の人型ロボットおよびエンボディドAI(EAI)に係る実地訓練特別行動の共同実施に関する通知」を発表した。

同通知では、工業、サービス、特殊用途などの重点活用シーンで、実地訓練を通じて、EAIモデルのアルゴリズムの最適化、高品質な実機データの蓄積、本体主要部品の性能向上を図るとしている。また、2026年末までに、人型ロボットなどの重点製品について、一部の代表的なシーンで先行して応用検証と継続的な導入を進め、100件以上の高付加価値の応用シーンを創出するとともに、1万台規模の導入能力を形成する方針としている。

通知では、(1)実地訓練スペースの構築、(2)イノベーション応用コンソーシアムの設立、(3)実用的な作業技能の開発、(4)実環境での応用検証と継続的な配備の強化、(5)重要分野の基盤整備の強化(標準化の推進、人材育成、金融支援などを含む)、(6)蓄積された知見の整理・普及といった6つの側面の具体的な取り組みが盛り込まれた。

(1)では、工業、サービス、特殊用途分野を中心に、製造、検査分析、保守・メンテナンス、倉庫・物流、飲食・小売り、医療・介護、安全生産、緊急救援、防災・減災といった主要シーンにおける人型・4足ロボットの応用ニーズを踏まえ、目的や作業内容が明確で、標準化レベルが高く、経済性を備えた具体的な活用シーン(注1)を選定し、実地訓練スペースの基盤とする。

(2)では、ユーザー企業、ロボット完成機メーカー(またはアプリケーションサービスプロバイダー)を主体とし、モデルアルゴリズムや部品などを提供するサプライヤー企業や研究機関と連携し、シーンごとにイノベーション応用コンソーシアムの設立を支援するとした(注2)。

(3)では、イノベーション応用コンソーシアムに対し、実際の職務要件に対応した作業スキルパッケージを構築し、完成機として実装可能で広く展開できるソリューションの形成を促すとした。

中国信息通信研究院・人工知能研究所の魏凱所長は、今回の措置について、短期的にはモデルケースとなるシーンの創出と大規模実装によって人型ロボットやEAIの需要を喚起し、サーボモーターや減速機、センサーなどの主要部品の国産化やソフトウエア・ハードウエア製品の実環境での実証と改良を加速させると指摘した。また、中期的には、膨大な実環境データを基にEAIの大規模モデルのトレーニング基盤を整備し、コンソーシアムモデルにより産業チェーンの中核企業や専精特新企業(注3)を育成し、展開可能な商用化モデルの確立が期待されるとの見方を示した(「経済参考報」6月10日)。

(注1)生産作業拠点、サービス提供拠点、緊急対応拠点などを含むが、これらに限定されない。同通知では、北京市、天津市、上海市、江蘇省、浙江省、山東省、湖北省、湖南省、広東省、四川省の10地域に対し、具体的な活用シーンを20件以上(工業・サービス・特殊用途分野のうち少なくとも2分野を含む)選定するよう求めている。また、中央国有企業に対しては、自社の業種分野に応じて10件以上の活用シーンを選定するよう求めている。
(注2)ユーザー企業は実地訓練スペースを提供し、目標設定や活用シーン要件の具体化、データ提供、実証・評価に協力する。ロボット完成機メーカーはその環境を活用し、タスク計画や操作の実行、人とロボットの協働といった課題の解決に取り組み、製品をシーン要件に適合させる。サプライヤー企業や研究機関は、主要部品の高度化や共通技術の研究開発を進め、実証と大規模展開を支える役割を担う。
(注3)専門性を有し、精密な技術力を持ち、独自性のある革新的な中小企業。

(張敏)

(中国)

ビジネス短信 d17df8127c38f0b9

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中国、2026年度の人型ロボットとエンボディドAIに係る実地訓練特別行動に関する通知を発表

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/d17df8127c38f0b9.html

時系列

主な数値

創出目標シーン数 100件
導入能力目標台数 10000台
実地訓練スペース選定地域数 10地域
地域別活用シーン選定件数(最低) 20件
中央国有企業活用シーン選定件数(最低) 10件

この事例から確認すべきポイント

この通知は、中国が人型ロボットとエンボディドAI(EAI)分野における技術革新と産業応用を国家戦略として強力に推進する姿勢を示すものです。実地訓練を通じたアルゴリズム最適化や実機データ蓄積、部品性能向上といった具体的な目標設定は、技術開発と実用化を一体的に進める意図が明確です。特に、2026年末までに100件以上の高付加価値応用シーン創出と1万台規模の導入能力形成という数値目標は、短期間での市場形成と産業育成への強いコミットメントを示唆しています。イノベーション応用コンソーシアムの設立支援や、ユーザー企業、ロボットメーカー、サプライヤー、研究機関の連携を促す枠組みは、産業チェーン全体での協業を重視し、技術開発から社会実装までを一貫して加速させる狙いがあると考えられます。魏凱所長の指摘にあるように、短期的には需要喚起と部品の国産化・実証加速、中期的には大規模モデルのトレーニング基盤整備と商用化モデル確立を目指すことで、中国がこの分野で国際的な主導権を握ろうとしていることがうかがえます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-07-01

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