英国・インド自由貿易協定(FTA)が7月15日に発効
この発表の要点
- 英国・インド自由貿易協定(FTA)が2026年7月15日に発効し、両国間の貿易障壁が削減される。
- ウイスキー、自動車、美容・化粧品、スポーツ用品などの関税が段階的に引き下げまたは撤廃される。
- 二重拠出防止協定(DCC)も同日発効し、英国・インド間の一時派遣労働者の社会保障拠出金支払いが調整される。
企業・自治体への影響
英国とインド間で輸出入を行う製造業、小売業、食品・飲料業、自動車産業、美容・化粧品業界、スポーツ用品業界などの企業は、関税コストの削減や市場アクセス改善の恩恵を受ける可能性があります。また、両国間で従業員を派遣する企業の人事・経理部門は、社会保障費用の最適化や手続きの簡素化が期待されます。
対応すべきこと
- 自社が取り扱う製品の関税率がどのように変更されるか、公式出典で詳細を確認する。
- 二重拠出防止協定(DCC)の適用条件を確認し、英国・インドへの一時派遣従業員がいる場合は社会保障手続きを見直す。
- FTA発効によるコスト削減効果や市場機会を評価し、貿易戦略やサプライチェーンの最適化を検討する。
- 関係部門(経理、人事、法務、貿易担当)へ協定内容を共有し、対応体制を構築する。
対象部門: 経営者 経理 人事 法務
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 英国政府 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-06-17 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年06月24日
英国政府は6月17日、インドとの自由貿易協定(FTA)が7月15日に発効すると発表した。
本協定は2022年1月に交渉開始、2025年5月に署名された(2025年5月7日記事参照)。企業に課せられている関税や非関税措置など、英国とインド間の貿易障壁を削減することを目的としている。
英国からインドへの輸出については、ウイスキーの関税率が150%から75%に引き下げられ、その後10年かけて段階的に40%に引き下げられる。自動車は割当枠内分に対しては、現在の100%超から30~50%に引き下げられ、5年目からは10%に引き下げられる。また、英国の美容・化粧品やスポーツ用品に対する10~20%の関税は撤廃または引き下げられる。一方、英国は衣類、履物、一部の食品など、インドから輸入される99%の物品に対する関税を撤廃する。
英国国家統計局によると、2025年9月までの1年間で、英国のインドに対する物品やサービスの輸出額は190億ポンド(約4兆470億円、1ポンド=約213円)相当となり、英国の総輸出額の2.0%を占めた。一方、英国のインドからの輸入額は280億ポンドとなり、総輸入額の3.0%を占めた。
政府の推計によると、本協定の発効は長期的に見ると、年間で英国のGDPを0.13%(48億ポンド相当)、労働者の賃金を22億ポンド、2国間貿易額を255億ポンドそれぞれ押し上げる効果があると見込まれている。インドのGDPも年間で0.06%(51億ポンド相当)押し上げるとみられる。また、英国からインドへの輸出時の関税負担額が年間最大4億ポンド削減されるとみられ、10年後には9億ポンドの削減効果が見込まれる。
本協定と同日に、「英国・インド二重拠出防止協定(Double Contributions Convention Agreement:DCC、注)」が発効する。本協定では、インドへ一時的に派遣され就労する英国国民に対し、英国の国民年金の受給資格を継続して積み立てることができる優遇措置の対象期間を、最長60カ月へと延長する。当該期間中、引き続き英国の国民保険料(NICs)を支払う必要がある一方、インドでの社会保険料の支払いは不要となる。同様の原則は、インドから最長60カ月間、英国での勤務のために派遣されるインド国民にも適用される。インド国民が英国へ一時的に派遣され就労している間、インドの社会保障制度であるインド従業員積立基金制度に納付する保険料は、英国の国民保険料として納付する場合の金額と同程度となる。
(注)社会保障拠出金の支払いを調整するための社会保障協定(SSA)の一種。
(バリオ純枝)
(英国、インド)
ビジネス短信 4371ddbc33978fa7
関連情報
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EPA/FTA、WTO
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英国・インド自由貿易協定(FTA)が7月15日に発効
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/4371ddbc33978fa7.html
時系列
- 2022-01 英国・インド自由貿易協定(FTA)の交渉開始
- 2025-05 英国・インド自由貿易協定(FTA)の署名
- 2026-06-17 英国政府がインドとの自由貿易協定(FTA)が7月15日に発効すると発表
- 2026-07-15 英国・インド自由貿易協定(FTA)および英国・インド二重拠出防止協定(DCC)が発効
主な数値
| ウイスキー関税率引き下げ(初期) | 150%から75% |
|---|---|
| ウイスキー関税率引き下げ(最終) | 40% |
| 自動車関税率引き下げ(初期) | 100%超から30~50% |
| 自動車関税率引き下げ(最終) | 10% |
| 英国の美容・化粧品やスポーツ用品に対する関税 | 10~20% |
| 英国がインドから輸入される物品に対する関税撤廃割合 | 99% |
| 英国のインドに対する物品やサービスの輸出額(2025年9月までの1年間) | 190億ポンド |
| 英国の総輸出額に占める割合 | 2.0% |
| 英国のインドからの輸入額(2025年9月までの1年間) | 280億ポンド |
| 英国の総輸入額に占める割合 | 3.0% |
| 英国GDP押し上げ効果(長期、年間) | 0.13%(48億ポンド相当) |
| 英国労働者の賃金押し上げ効果(長期、年間) | 22億ポンド |
| 2国間貿易額押し上げ効果(長期、年間) | 255億ポンド |
| インドGDP押し上げ効果(長期、年間) | 0.06%(51億ポンド相当) |
| 英国からインドへの輸出時の関税負担削減額(年間最大) | 4億ポンド |
| 英国からインドへの輸出時の関税負担削減額(10年後) | 9億ポンド |
| DCC優遇措置対象期間(最長) | 60カ月 |
この事例から確認すべきポイント
英国とインド間の自由貿易協定(FTA)および二重拠出防止協定(DCC)の発効は、両国間で貿易を行う企業や、従業員を相互に派遣する企業にとって重要な変化をもたらします。FTAによる関税の段階的な引き下げや撤廃は、特定の品目(ウイスキー、自動車、美容・化粧品、スポーツ用品、衣類、履物、一部食品など)の輸出入コストに直接影響し、サプライチェーンや価格戦略の見直しを促す可能性があります。また、DCCは、一時的に派遣される従業員の社会保障負担を調整し、二重払いを回避することで、国際的な人材配置におけるコストと手続きの効率化に寄与します。企業はこれらの協定内容を詳細に確認し、自社の事業戦略や人事戦略にどのように組み込むかを検討する必要があります。特に、関税率の変更は競争力に直結するため、発効日以降の具体的な影響を速やかに評価することが求められます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-24
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