経済・産業トレンド 係争中

米19州と首都ワシントンの司法長官、連邦契約業者のDEI活動禁止の大統領令を巡り、連邦政府を提訴

米国19州およびコロンビア特別区の司法長官が、連邦契約におけるDEI(多様性・公平性・包摂性)活動を禁止する大統領令を巡り、連邦政府を提訴しました。原告は、この大統領令が行政手続き法(APA)に違反し、内容の曖昧さやパブリックコメントの省略が問題であると主張。連邦契約業者に過度な負担とリスクを強いるとして、契約条項の適用差し止めと違法性認定を求めています。本訴訟は、今後の連邦調達政策およびDEI関連施策に大きな影響を及ぼす可能性があります。

この発表の要点

企業・自治体への影響

連邦契約を締結している企業は、DEI関連の契約条項の解釈や遵守に関して、法務・コンプライアンス部門を中心に直接的な影響を受けます。本訴訟の行方によっては、契約内容の見直しや社内DEIプログラムの調整が必要となる可能性があり、広範な業界の連邦請負業者に影響が及ぶでしょう。

対応すべきこと

対応優先度:  法令違反の主張、行政処分リスク、契約への直接的な影響、および広範な企業へのコンプライアンス負担に関わるため。

対象部門: 経営者 総務 法務 広報 経理

対応期限:適用期限あり

基本データ

発表日 2026-06-15
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年06月15日

米国19州およびコロンビア特別区(首都ワシントン)の司法長官は6月10日、DEI(多様性・公平性・包摂性)に関する大統領令を巡り、連邦政府を提訴した。本訴訟はメリーランド州の連邦地方裁判所に提出された。原告は、連邦契約への追加が命じられた「人種的に差別的なDEI活動を禁止する条項」を設けた大統領令が、行政手続き法(APA)に違反すると主張している。

3月に発令された同大統領令は、連邦機関に対し、州政府や州機関を含むすべての請負業者と契約する際、DEIに関連する特定の活動を禁止する契約条項を導入するよう求めている(2026年3月31日記事参照)。同条項は、2026年4月27日までに新規契約へ、7月24日までに既存契約へ適用するよう指示している。契約数では元請けと下請けを合わせ、全米で最大64万件、請負業者数では3万4,000社以上に影響が及ぶ可能性がある。マサチューセッツ州によると、同州だけでも3億ドル超の契約が対象となり得る。

州側は、この新たな契約条項について、内容が曖昧で混乱を招きかねず、既存の反差別法との関係も不明確なまま厳しい罰則が科され得る点を問題視している。また、違反と判断された場合、契約解除や将来の連邦契約からの排除、さらには虚偽請求法に基づく訴訟リスクが生じる可能性があると指摘している。こうした不確実性は、請負業者に過度なコンプライアンス負担を強いるだけでなく、合法的な差別防止や是正の取り組みを萎縮させる恐れがあるとしている。

さらに、連邦機関が大統領令を実施する過程で、連邦調達規則(FAR)で義務付けられるパブリックコメントの実施を省略した点も重大な争点となっている。州側は、連邦機関が法的権限を逸脱し、必要な説明や正当化を欠いたまま規制を導入したとして、APA違反を主張している。

マサチューセッツ州のアンドレア・ジョイ・キャンベル司法長官は声明で、今回の措置について「明確な指針を示さず、混乱と威圧を招く場当たり的な行動だ」と批判し、DEI排除を優先するあまり法的手続きを軽視していると述べた。本訴訟は、裁判所に対し新たな契約条項の適用差し止めと、連邦機関の行為の違法性認定を求めており、今後の連邦調達政策およびDEI関連施策に大きな影響を及ぼす可能性がある。

マサチューセッツ州のほか、提訴に参加したのは、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、コロンビア特別区、ハワイ州、イリノイ州、メーン州、メリーランド州、ミシガン州、ミネソタ州、ネバダ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州、バージニア州、ワシントン州、ウィスコンシン州となっている。

(久峨喜美子)

(米国)

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米19州と首都ワシントンの司法長官、連邦契約業者のDEI活動禁止の大統領令を巡り、連邦政府を提訴

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出典: JETRO ビジネス短信
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/1c3c05139aee02c6.html

時系列

主な数値

提訴に参加した州・地域数 20地域
影響を受ける可能性のある連邦契約数 640000件
影響を受ける可能性のある連邦請負業者数 34000社以上
マサチューセッツ州における対象契約金額 300000000ドル超

この事例から確認すべきポイント

本事例は、DEI(多様性・公平性・包摂性)のような社会的に影響の大きい政策が、明確な指針や適切な行政手続き(パブリックコメントなど)を経ずに導入された場合に生じる法的・実務的課題を示しています。連邦契約業者は、曖昧な規制内容、契約解除や将来の契約からの排除、虚偽請求法に基づく訴訟といった厳しい罰則リスクに直面し、過度なコンプライアンス負担を強いられる可能性があります。また、合法的な差別防止・是正の取り組みが萎縮する恐れも指摘されています。企業は、政府の政策変更が自社の事業に与える影響を評価し、法的リスクを管理するための体制を強化する必要があります。特に、連邦調達規則(FAR)の遵守や、規制変更プロセスにおける透明性の確保は、今後の政策立案において重要な論点となるでしょう。本訴訟の行方は、連邦調達政策およびDEI関連施策の方向性に大きな影響を与えるため、関連企業は動向を注視する必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-06-15

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