米国務省、資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)の議長国就任を発表
この発表の要点
- 米国務省が重要鉱物サプライチェーン強化を目的とするFORGEの議長国に就任した。
- FORGEは、サプライチェーンの多様化、特定国への依存低減、高水準の基準確立、リサイクル能力拡大を目指す。
- 米国は重要鉱物の中国への依存を背景に、適正な「最低価格」設定の仕組みを検討しており、FORGEを通じた協力が焦点となる。
企業・自治体への影響
重要鉱物に関連する採掘、加工、リサイクル、貿易を行う企業は、国際的なサプライチェーン再編や新たな価格メカニズムの影響を受ける可能性があります。特に、中国からの調達に依存している企業は、供給源の多様化や高水準の基準への対応が求められます。関連する製造業やハイテク産業も、原材料調達コストや安定供給に影響が出る可能性があるため、動向を注視する必要があります。
対応すべきこと
- FORGEの活動内容、特にプロジェクト投資ワーキンググループの動向を継続的に確認する。
- 重要鉱物の最低価格設定に関する議論の進捗を注視し、自社の調達戦略への影響を評価する。
- 重要鉱物サプライチェーンにおける高水準の基準(環境規制、労働基準、透明性など)への対応状況を確認し、必要に応じて改善計画を策定する。
- 自社のサプライチェーンにおける重要鉱物の特定国への依存度を評価し、多様化の可能性を検討する。
対象部門: 経営者 広報 経理 法務 総務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 米国国務省 |
|---|---|
| 業界 | 鉱業・資源 |
| 発表日 | 2026-07-10 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月14日
米国国務省は7月10日、「資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)」の議長国を、韓国から引き継ぐと発表した。同省は、「米国経済を牽引し、安全保障の基盤となる重要鉱物プロジェクトを加速させることで、米国の国家安全保障および経済安全保障を守る取り組みを主導していく」としている。
マルコ・ルビオ国務長官は、2月に開催した重要鉱物閣僚会合にて、鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP、注1)の後継としてFORGEの創設を発表していた(2026年2月5日記事参照)。FORGEは、強靭(きょうじん)な重要鉱物サプライチェーンの構築に向けて協力する、志を同じくする国・地域による連合体で、次の4つに対処することを目的としている。
重要鉱物サプライチェーンを多様化・確保するための措置の調整
重要鉱物の特定国への依存低減を目指す戦略的プロジェクトへの投資促進を通じたリスク軽減
採掘、加工、リサイクルにおける高水準の基準確立の支援と、重要鉱物セクターにおける透明性およびトレーサビリティーの向上
米国内および同盟国における重要鉱物のリサイクルおよび再処理能力の拡大
これらの点に対処するため、FORGEでは次の2つのワーキンググループを設置している。
プロジェクト投資ワーキンググループ:重要鉱物の採掘、加工、リサイクルにおける戦略的投資機会の特定と評価を行う。共同投資や協調融資を促進するため、プロジェクトに関する共有登録簿を保持するとともに、加盟国の開発金融機関(DFI)、輸出信用機関(ECA)、民間セクターと連携する。
政策調整ワーキンググループ:サプライチェーンの多様化を加速するための国際的な取り組み、政策手段、戦略的メッセージの調整を行う。そのほか、サプライチェーンの混乱に関する情報共有も行う。
米国は重要鉱物のサプライチェーンを中国に依存しているため、トランプ政権では供給源を多様化するための取り組みを複数の省庁で進めている(注2)。これら一連の取り組みの中で注目されるのが、重要鉱物に対する最低価格の設定だ。重要鉱物の中国への依存が続く背景には、精錬工程をはじめとするサプライチェーンが同国に集中していることに加え、価格の安さがある。一方、米国などで重要鉱物を生産する場合、環境規制への対応や労働コストの高さなどから、生産コストが上昇しやすい。このため、非市場的政策による価格のゆがみを是正し、不当に低価格となる取引を防ぐため、厳格な基準を満たした重要鉱物に対して適正な「最低価格」を設定する仕組みが検討されている。ただし、この仕組みを機能させるには、高価格であっても安定的に取引が行われる市場の形成が不可欠だ。今後は、米国がFORGEをはじめとする同盟国との協力枠組みを通じて、重要鉱物の最低価格を実現できるかが焦点となる。
(注1)2022年6月に創設された重要鉱物サプライチェーン強靭化に向けた協力枠組み。米国、韓国、日本を含む15カ国・地域が参加し、重要鉱物の採掘・採鉱、加工、回収・リサイクルに関するプロジェクトに取り組んだ(2024年7月1日記事参照)。
(注2)米国輸出入銀行(EXIM)は2月に、最大100億ドルを直接融資し、重要鉱物の戦略的備蓄を行う「プロジェクトボールド」を発表した。同月に国務省が主催した重要鉱物閣僚会合では、J.D.バンス副大統領が「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案した。同省は6月に、有志国間で重要鉱物の強靭なサプライチェーンの構築を目的とする「パックス・シリカ」の第2回サミットを開催した(2026年6月30日記事参照)。また米国通商代表部(USTR)は、重要鉱物に関する複数国間協定を締結するためのパブリックコメントを募集した(2026年3月2日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国)
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米国務省、資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)の議長国就任を発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/7767711d3b4954e2.html
時系列
- 2022-06 鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP)が創設
- 2026-02 重要鉱物閣僚会合にてFORGEの創設が発表される
- 2026-02 米国輸出入銀行(EXIM)が最大100億ドルの直接融資を行う「プロジェクトボールド」を発表
- 2026-02 J.D.バンス副大統領が「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案
- 2026-03-02 米国通商代表部(USTR)が重要鉱物に関する複数国間協定締結のためのパブリックコメントを募集
- 2026-06 米国務省が「パックス・シリカ」の第2回サミットを開催
- 2026-07-10 米国国務省がFORGEの議長国就任を発表
主な数値
| MSP参加国・地域数 | 15カ国・地域 |
|---|---|
| プロジェクトボールド融資上限額 | 100億ドル |
この事例から確認すべきポイント
この発表は、米国が重要鉱物サプライチェーンの確保に積極的に取り組む姿勢を示しており、特に中国への過度な依存を解消する意図がうかがえます。FORGEは、鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP)の後継として国際的な協調を促し、戦略的投資や高水準の基準確立を通じてサプライチェーンの強靭化を目指すものです。重要鉱物に対する「最低価格」設定の検討は、非市場的政策による価格歪みを是正し、安定供給を確保するための重要な政策転換を示唆しており、世界の鉱物市場や価格構造に影響を与える可能性があります。関連企業は、FORGEの活動、特にプロジェクト投資ワーキンググループの動向や最低価格メカニズムの進展を注視し、サプライチェーンの多様化、高水準の基準への対応、および調達戦略の見直しを検討すべきです。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-14
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