トランプ米大統領、232条に基づき風力タービンに関する各国との交渉を指示、追加関税は指示せず
最終確認日: 2026-10-26
基本データ
| 分類 | 経済・産業トレンド |
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発表された内容
2026年10月26日
米国のドナルド・トランプ大統領は10月22日、1962年通商拡大法232条に基づき、風力タービン・部品の輸入について、安全保障上の懸念を解消するため各国との交渉を指示する大統領布告を発表した。同日時点で、追加関税措置などの具体的な輸入制限措置は盛り込まれなかった。
232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税などの輸入制限措置を発動する権限を大統領に認めている。商務省は2025年8月に、風力タービンなどの輸入に関する232条調査を開始していた(2025年8月22日記事参照)。
今回発表された大統領布告によれば、商務長官は、風力タービンなどの輸入が、米国の国家安全保障を損なう恐れがあると認定した(注1)。具体的には、外国製部品に依存する風力タービンは遠隔操作されるリスクがあり、それによって停電が引き起こされるというサイバーセキュリティー上の懸念があることなどを例示した。また、過去10年間で風力タービンの部品の輸入が増加しているとも指摘した。
これを受け、トランプ氏は、風力タービンなどの輸入が引き起こす国家安全保障上の懸念を解消するため、商務長官および米国通商代表部(USTR)代表に対して、各国と交渉するよう命じた(注2)。その上で、本布告の日付から180日以内に、少なくとも1回、進捗を報告するよう命じた。また商務長官に対しては、風力タービンなどの輸入動向を継続的に監視し、232条に基づくさらなる措置が必要な場合には、大統領に報告するよう指示した。
今回の大統領布告では追加関税措置は指示しなかったが、トランプ政権は232条に基づき、鉄鋼・アルミニウムおよびそれらの派生品に対して原則15~50%の追加関税を課しており、特定の風力タービンの部品は追加関税の対象となっている(2026年4月3日記事参照、注3)。
トランプ政権2期目では、発足から現在に至るまで、13件の232条調査が行われ、調査が終了したのは今回の風力タービンを含めて10件ある。このうち7件は何らかのかたちで関税を課す判断が下されている。一方で、風力タービンに加え、重要鉱物(2026年1月16日記事参照)、民間航空機(2026年7月13日記事参照)については、各国と交渉を継続するとの指示にとどまり実質的な輸入制限措置は取られていない。なお、調査が終了していない残る3件のうち、2025年に調査が開始されたロボット・産業機械、医療用消耗品・機器については(2025年9月26日記事参照、注4)、商務省が調査を完了するための法定期限である270日を大幅に超過していると指摘されている(政治専門紙「ポリティコ」10月22日)。
(注1)調査報告書は大統領布告発表日から過去90日以内に、商務長官から大統領に提出された。ただし、具体的な日付は明らかにしていない。大統領は報告書を受け取ってから、90日以内に対応策を発表する必要がある。
(注2)交渉相手国は、大統領布告では「外国の貿易相手国」とのみ記載されており、具体的には指示されていない。
(注3)大統領布告では、風力タービンの部品(parts)・構成部品(components)・下位構成部品(subcomponents)の定義はされていない。232条鉄鋼・アルミ関税の対象品目には、鉄鋼派生品の風力タービンブレード〔米国関税分類番号(HTSUSコード) 8412.90.9070〕やアルミ派生品の風力発電用タワー(HTSUSコード 7308.20.00.35)などが含まれている。
(注4)残る1件は石炭で、2026年7月に調査が開始された(2026年7月3日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国)
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公開日: 2026-10-26 / 最終確認: 2026-10-26
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編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-10-26
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