ラフバラ大学が「日英水素サミット」を開催、AIによるエネルギー需要増加と水素の役割について議論
この発表の要点
- ラフバラ大学が「日英水素サミット」を開催し、AIによるエネルギー需要増加と水素の役割を議論した。
- サミットでは、水素貯留への投資拡大、データセンターの自給自足化、産業規模での水素専焼技術など、多岐にわたる提案がなされた。
- 水素は単一技術ではなく、送電網や輸送インフラ、政策、社会的受容性を含む広範なエネルギーミックスの一部として捉えるべきとの総括がされた。
企業・自治体への影響
エネルギー関連企業、IT企業(データセンター運営)、製造業は、AIによるエネルギー需要増加への対応として水素技術の動向を注視する必要がある。特に、水素貯留、自家発電型データセンター、水素専焼技術、燃料電池などの開発・導入が加速する可能性がある。
対応すべきこと
- AIのエネルギー需要増加と水素技術の関連性について、自社の事業への影響を評価する。
- 水素貯留、燃料電池、水素専焼ガスタービンなど、関連技術の最新動向を継続的に情報収集する。
- データセンターのエネルギー自給自足化や、地域住民との共存に関する議論を参考に、事業計画を検討する。
- 水素関連の政策動向やインフラ整備計画について、国内外の情報を確認し、事業戦略に反映させる。
対象部門: 経営者 情シス 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | エネルギー / IT |
| 発表日 | 2026-08-03 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月03日
英国のラフバラ大学は7月14日、「日本・英国水素サミット」を開催した。両国の産業界、学識関係者、政策関係者ら60人が出席した。同大学は、ミッドランド地方における水素の産業化を目指す取り組みのHyDEXや、グリーン水素などを通じてネットゼロの実現を目指す博士課程教育センターのEnerHYに参画するなど、水素の産業化に注力している。本サミットでは、人工知能(AI)によるエネルギー需要の増加に対応する上での水素の役割に焦点を当て議論が行われた。
サミットの様子(ジェトロ撮影)
サミットの前半では、基調講演が行われた。英国工学技術学会(IET)のジェームズ・バンバラ氏とジヤド・シェリフ氏は、IETの概要および同機関が発表したグリーンペーパー(水素経済の実現に向けた提言事項をまとめた報告書)について説明。再生可能エネルギー(再エネ)の変動性と産業が必要とする一定の需要とのギャップを埋める水素貯留への投資拡大を優先事項の1つとした。デロイトのラナ・ゴーシュ=ロイ氏は、各地で地域住民によるデータセンターへの反対運動が発生していることを踏まえ、郊外の広大な未使用地をデータセンターと自家発電による自給自足型の施設へ転換することを提案した。川崎ガスタービンヨーロッパのヌレッティン・テキン氏は、同社のガスタービンにおける水素への対応について説明し、2026年内にドイツで同社のタービンを用いた世界初の産業規模水素専焼が実現予定とした。
後半では、ラフバラ大学発の技術について3者からピッチが行われた。再エネシステム技術センター(CREST)のダニー・ストリックランド氏は、蓄電池と電解装置を組み合わせたバトライザー(Battolyser)を紹介した。国立燃焼・空気熱技術センター(NCCAT)のダンカン・ウォーカー氏は、航空用ガスタービンにおける水素活用に向けた研究を説明した。同大学のスピンオフ企業インテリジェント・エナジーのクリス・ダッドフィールド氏は、ドローン用の小型軽量モデルから定置用の大型モデルまで多岐にわたる同社の燃料電池を紹介した。
同大学の工学博士で、エネルギー移行分野の日英連携を支援するゲッコーアドバイザリーサービスのインドラニル・ナータ氏は、本サミットの議論を総括し、水素を単一技術ではなく、広範なエネルギーミックスの一環として捉えるべきであるとした。その上で、送電網、水素の輸送・貯蔵インフラ、一貫した政策、社会的受容性を醸成するための枠組みの重要性に言及した。
(齊藤圭)
(英国、日本)
ビジネス短信 6f0e76ef2bb73c39
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ラフバラ大学が「日英水素サミット」を開催、AIによるエネルギー需要増加と水素の役割について議論
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/6f0e76ef2bb73c39.html
時系列
- 2026-07-14 ラフバラ大学が「日本・英国水素サミット」を開催
- 2026年内 川崎ガスタービンヨーロッパのタービンを用いた世界初の産業規模水素専焼がドイツで実現予定
主な数値
| サミット出席者数 | 60人 |
|---|
この事例から確認すべきポイント
本発表は、AIの急速な発展に伴うエネルギー需要の増加に対し、水素が果たすべき役割と、その実現に向けた具体的な技術的・政策的課題を浮き彫りにしています。サミットには産業界、学術界、政策関係者が一堂に会し、水素貯留、データセンターのエネルギー自給自足化、産業用ガスタービンにおける水素専焼、ドローンから定置用までの燃料電池技術といった多角的な視点から議論が展開されました。これは、水素が単一の技術に留まらず、送電網、輸送・貯蔵インフラ、一貫した政策、そして社会的受容性といった広範な要素と連携して初めてその真価を発揮するという認識が共有されていることを示唆します。企業は、エネルギーミックスにおける水素の位置付けを再評価し、関連技術への投資や研究開発、政策提言への参画を通じて、将来のエネルギー戦略を構築する上で重要な示唆を得られるでしょう。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-03
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