在宅酸素療法における火気の取扱いについて
この発表の要点
- 在宅酸素療法中の火気使用は、重度の火傷や住宅火災、死亡事故につながる危険性があるため、厳重な注意が必要である。
- 酸素濃縮装置等の周囲2m以内には火気を置かず、特に酸素吸入中の喫煙は絶対に避けるべきである。
- 厚生労働省は、都道府県衛生主管部局や日本産業・医療ガス協会に対し、医療機関や販売店を通じた継続的な注意喚起と指導を依頼している。
企業・自治体への影響
医療機関、医療機器メーカー、販売店、介護サービス事業者、および在宅酸素療法を受けている患者とその家族に直接的な影響があります。特に、医療機関や販売店は、患者への安全指導や情報提供の徹底が求められ、関連企業は製品の添付文書や取扱説明書に加え、啓発資材の配布や説明方法の見直しが必要となる可能性があります。
対応すべきこと
- 在宅酸素療法に関連する製品・サービスを提供している企業は、本注意喚起の内容を関係部門に共有する。
- 患者やその家族への安全指導・情報提供体制を再確認し、必要に応じて強化する。
- 自社製品の添付文書や取扱説明書、啓発資材が最新かつ分かりやすい内容であるかを確認する。
- 厚生労働省や関連団体(日本産業・医療ガス協会等)が提供する最新の安全情報を継続的に確認する。
対象部門: 経営者 総務 法務 広報
対応期限:速やかに確認
基本データ
| 企業・団体 | 厚生労働省 |
|---|---|
| 業界 | 医療 |
| 発表日 | 2026-07-07 |
| 分類 | リコール・製品安全 |
発表された内容
令和8年7月7日(火)
照会先
医薬局 医薬安全対策課 安全使用推進室
(代表電話) 03-5253-1111(内線2748)
(夜間直通) 03-3595-2435
在宅酸素療法における火気の取扱いについて
(令和8年7月7日「3.重篤な健康被害事例について」更新)
*この対策について、わかりやすくまとめた啓発リーフレットを作成いたしました。
「在宅酸素療法時は、たばこ等の火気の取扱いにご注意下さい。」[279KB]
1.概要
酸素は、燃焼を助ける性質が強いガスです。このため、在宅酸素療法に使用する酸素濃縮装置、液化酸素及び酸素ボンベ(以下「酸素濃縮装置等」という。)については、その添付文書や取扱説明書等において、火気を近づけてはならない旨が記載されている他、酸素吸入時の火気の取扱いについて、一般社団法人日本産業・医療ガス協会がパンフレットや動画を作成・配布するなど、様々な注意喚起が実施されております。
しかしながら、酸素濃縮装置等を使用中の患者が、喫煙等が原因と考えられる火災により死亡するなどの事故が繰り返し発生しているため、改めて注意喚起を実施するものです。
なお、酸素濃縮装置等は適切に使用すれば安全な装置ですので、治療を受けている患者等へのご理解を宜しくお願いいたします。
2.在宅酸素療法を受けている患者やその家族等にご注意いただきたい事項
在宅酸素療法を受けている患者やその家族等は、酸素吸入時の火気の取り扱い等について、以下の点を十分に理解して、酸素濃縮装置等をご使用下さい。
1)高濃度の酸素を吸入中に、たばこ等の火気を近づけるとチューブや衣服等に引火し、重度の火傷や住宅の火災の原因となります。
2)酸素濃縮装置等の使用中は、装置の周囲2m以内には、火気を置かないで下さい。
特に酸素吸入中には、たばこを絶対に吸わないで下さい。
3)火気の取扱いに注意し、取扱説明書どおりに正しく使用すれば、酸素が原因でチューブや衣服等が燃えたり、火災になることはありませんので、過度に恐れることなく、医師の指示どおりに酸素を吸入して下さい。
3.重篤な健康被害事例について(日本産業・医療ガス協会 医療ガス部門まとめ(令和8年5月末時点))
No
発生年月日
場所
年齢(性別)
被害状況
原因(推定含)
厚労省HP掲載年月
1~111
平成15年~令和7年5月
死亡97件、重症12件
喫煙、漏電、ストーブ他
112
令和7年7月
神奈川県
70代(男)
死亡
不明(煙草か)
令和8年1月
113
令和7年11月
宮城県
70代(女)
死亡
不明
令和8年1月
114
令和7年12月
秋田県
80代(女)
死亡
不明
令和8年7月
115
令和7年12月
東京都
70代(男)
死亡
不明
令和8年7月
116
令和8年1月
滋賀県
80代(男)
重症(火傷)
喫煙
令和8年7月
117
令和8年3月
神奈川県
70代(男)
死亡
不明
令和8年7月
4.その他
本対策に関連して、在宅酸素療法を受けている患者やその家族等に対して、適切な注意喚起が継続的に実施されるよう、各都道府県衛生主管部(局)長等に対し、医療機関への周知及び指導を依頼しております。
また、日本産業・医療ガス協会会長に対して、医師が在宅酸素療法を実施する患者やその家族等に対して本注意喚起を行うために必要な資材を提供するとともに、患者の居宅等を訪問する際に、販売店等からも注意を呼びかけるよう通知しております。(参考資料(1))
(参考資料)
(1)平成22年1月15日付け医政総発0115第1号・医政指発0115第1号・薬食安発0115第1号
厚生労働省医政局総務課長・医政局指導課長・医薬食品局安全対策課長連名通知
「在宅酸素療法における火気の取扱いについて(注意喚起及び周知依頼)」[PDF形式:506KB]
※通知内の神戸市消防局ホームページのリンクについては、ページが閉鎖されたため使用不可となっています。
(2)独立行政法人医薬品医療機器総合機構
医薬品医療機器情報提供ホームページ PMDA医療安全情報No.4
「在宅酸素療法時の喫煙などの火気取扱いの注意について」
http://www.info.pmda.go.jp/anzen_pmda/file/iryo_anzen04.pdf
※資料内の神戸市消防局ホームページのリンクについては、ページが閉鎖されたため使用不可となっています。
(3)一般社団法人 日本産業・医療ガス協会ホームページ
http://www.jimga.or.jp/front/bin/ptlist.phtml?Category=7041
※上記のHPには「携帯用酸素ボンベの取扱いの注意」及び「在宅酸素療法における火気取扱い注意」の動画も掲載されていますので、適宜ご参照ください。
PDFファイルを見るためには、Adobe Readerというソフトが必要です。Adobe Readerは無料で配布されていますので、こちらからダウンロードしてください。
出典: 厚生労働省
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003m15_1.html
時系列
- 2003-XX-XX 在宅酸素療法における重篤な健康被害事例の発生が確認され始める(平成15年~)
- 2025-05-XX 日本産業・医療ガス協会による重篤な健康被害事例の集計期間(~令和7年5月)
- 2025-07-XX 神奈川県で在宅酸素療法中の死亡事例(112件目)が発生
- 2025-11-XX 宮城県で在宅酸素療法中の死亡事例(113件目)が発生
- 2025-12-XX 秋田県と東京都で在宅酸素療法中の死亡事例(114件目、115件目)が発生
- 2026-01-XX 滋賀県で在宅酸素療法中の重症(火傷)事例(116件目)が発生
- 2026-03-XX 神奈川県で在宅酸素療法中の死亡事例(117件目)が発生
- 2026-05-31 日本産業・医療ガス協会による重篤な健康被害事例のまとめが更新される(令和8年5月末時点)
- 2026-07-07 厚生労働省が「在宅酸素療法における火気の取扱いについて」を更新し、注意喚起を実施
主な数値
| 重篤な健康被害事例の総件数 | 117件 |
|---|---|
| 死亡事例の総件数 | 102件 |
| 重症事例の総件数 | 13件 |
| 火気厳禁の距離 | 2m |
この事例から確認すべきポイント
厚生労働省による在宅酸素療法における火気取扱いに関する注意喚起の更新は、医療機器の安全使用における継続的なリスクコミュニケーションの重要性を示しています。既存の注意喚起や啓発活動にもかかわらず、死亡を含む重篤な事故が繰り返し発生している事実は、情報伝達の徹底と患者側の理解・遵守の課題を浮き彫りにしています。本発表では、患者やその家族への直接的な注意喚起に加え、都道府県衛生主管部局や日本産業・医療ガス協会を通じて、医療機関や販売店への周知・指導を依頼しており、多層的なアプローチで安全確保を図る姿勢がうかがえます。医療機器メーカー、販売店、医療機関、介護サービス事業者などは、この事例から、製品の添付文書や取扱説明書だけでなく、患者への説明方法、啓発資材の有効性、そして継続的なフォローアップ体制について再評価し、改善策を講じる必要があるでしょう。特に、在宅医療環境におけるリスクは、患者の生活習慣に深く関わるため、単なる情報提供に留まらない、より実践的で個別化された指導が求められます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-07
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