英政府機関、長期エネルギー貯蔵プロジェクト16件を暫定選定
この発表の要点
- 英国Ofgemは長期エネルギー貯蔵(LDES)支援スキームの暫定選定結果として16件のプロジェクトを発表した。
- 選定プロジェクトの合計容量は7,645MWで、リチウムイオンBESSが件数で最多、揚水発電が容量で最大を占める。
- Ofgemは8月7日まで意見公募を行い、2026年秋に最終決定する予定であり、2027年までの第2回スキーム実施も視野に入れている。
企業・自治体への影響
英国のエネルギー貯蔵市場への参入を検討している企業や、関連技術(バッテリー、揚水発電、CAES、レドックスフロー電池)を開発・提供する企業は、このスキームの動向を注視する必要がある。特に、英国での大規模エネルギープロジェクトへの投資を検討する金融機関や、エネルギーインフラ建設に関わる企業にも影響がある。
対応すべきこと
- Ofgemの公式発表を確認し、選定されたプロジェクトの詳細やスキームの具体的な条件を把握する。
- 自社の技術やサービスがLDESスキームの対象となり得るか評価し、将来的な参入機会を検討する。
- 意見公募期間(8月7日まで)に、関連する意見を提出することを検討する。
- 2026年秋の最終決定、および2026年中に協議される第2回スキームの設計に関する情報を継続的に収集する。
対象部門: 経営者 広報 経理
対応期限:公募締切まで
基本データ
| 企業・団体 | ガス・電力市場局(Ofgem) |
|---|---|
| 業界 | エネルギー |
| 発表日 | 2026-06-26 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月03日
英国政府機関のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は6月26日、長期エネルギー貯蔵(LDES)支援スキームの暫定的な選定結果を発表した。本スキームは、特定のLDESプロジェクトの事業者の収入に上下限を設定するキャップアンドフロアスキームを導入するもので、Ofgemにより運営されている(2024年10月18日記事参照)。収入がフロア(下限)を下回る場合は需要家がLDES事業者に下限水準に達するまでの差額を支払い、収入がキャップ(上限)を上回る場合はLDES事業者が需要家に対してその超過分を還元する。一定の収益を保証することでLDESへの投資を促進しつつ、需要家の負担を低減することが狙いだ。
これまでに171件のプロジェクトが本スキームに申請し、うち77件が最終審査へ進んでいた(2025年10月6日記事参照)。今回選定されたプロジェクトは16件(詳細はOfgem資料13ページ参照)で、合計容量は7,645メガワット(MW)。件数では、リチウムイオンのバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)が11件と最多だが、容量ベースでは、スコットランド北部における揚水発電(注1)3件が3,900MWを占め最大となった。そのほか、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES、注2)とレドックスフロー電池技術を用いるもの(注3)が1件ずつ選ばれた。Ofgemは8月7日まで選定結果について意見公募を行い、その結果を踏まえて2026年秋に最終決定する見込みだ。
Ofgemはあわせて、第1回のスキームの結果を踏まえ、2027年までに本スキームの第2回を行うという方針を確定すべく、2026年中に第2回以降の設計について協議すると発表した。開設時期は、今後実施されるエネルギー空間戦略(SSEP、2024年10月23日記事参照)におけるシステム要件、および第1回からの教訓を踏まえて実施の有無を判断するとした。
(注1)夜間など電気の使用量が少ない時間帯に余剰電力で揚水ポンプを動かし、水を低いところから高いところにくみ上げ、日中など電気が必要な時間帯にくみ上げておいた水を落として、水車を回して発電する方式。
(注2)地下空間やタンクに電力で圧縮した高圧の空気を貯蔵し、電力が必要な際に圧縮した空気で発電機を回転させて発電する技術。
(注3)電解液を循環させ、イオンの酸化還元反応を利用して充電、放電する蓄電池の一種。
(齊藤圭)
(英国)
ビジネス短信 d35620be7971ae2a
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英政府機関、長期エネルギー貯蔵プロジェクト16件を暫定選定
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/d35620be7971ae2a.html
時系列
- 2026-06-26 Ofgemが長期エネルギー貯蔵(LDES)支援スキームの暫定的な選定結果を発表
- 2026-08-07 選定結果に関する意見公募の締め切り
- 2026年秋 Ofgemが選定結果の最終決定を行う見込み
- 2026年内 Ofgemが第2回以降のスキーム設計について協議を開始
- 2027年まで Ofgemが第2回スキームを行う方針を確定する目標時期
主な数値
| 申請プロジェクト数 | 171件 |
|---|---|
| 最終審査進出プロジェクト数 | 77件 |
| 暫定選定プロジェクト数 | 16件 |
| 暫定選定プロジェクト合計容量 | 7645MW |
| リチウムイオンBESS選定数 | 11件 |
| 揚水発電選定数 | 3件 |
| 揚水発電合計容量 | 3900MW |
| 圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)選定数 | 1件 |
| レドックスフロー電池技術選定数 | 1件 |
この事例から確認すべきポイント
英国のエネルギー政策において長期エネルギー貯蔵(LDES)が果たす役割の重要性を示す発表です。キャップアンドフロアスキームは、LDES事業者への投資促進と需要家負担軽減を両立させる先進的な制度設計であり、その運用状況は他国のエネルギー政策立案者にとっても参考となるでしょう。暫定選定された16件のプロジェクトは、リチウムイオンBESS、揚水発電、圧縮空気エネルギー貯蔵、レドックスフロー電池と多岐にわたり、技術中立的なアプローチがうかがえます。特に揚水発電が容量ベースで最大を占めることは、大規模かつ安定的な貯蔵能力への期待が高いことを示唆しています。意見公募と段階的な最終決定プロセスは、政策の透明性と関係者の意見反映を重視する姿勢を表しており、今後の動向が注目されます。また、第2回スキームの計画は、LDESが英国のエネルギーミックスにおいて継続的に拡大する可能性を示唆しており、関連技術開発や投資機会を模索する企業にとって重要な情報源となるでしょう。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-03
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