経済・産業トレンド

5月のインフレ率、7カ月ぶりに目標上限を上回る

ブラジル地理統計院(IBGE)は、5月の拡大消費者物価指数(IPCA)が前月比0.58%上昇し、直近12カ月の上昇率が4.72%となったと発表しました。これは2025年10月以来7カ月ぶりにインフレ目標上限の4.5%を上回る水準です。飲食料品や住居関連が上昇を牽引し、特に電力料金の追加料金導入や燃料価格抑制補助金制度が影響しました。中央銀行による政策金利の高止まりが長期化する可能性が指摘されています。

この発表の要点

企業・自治体への影響

ブラジルのインフレ率上昇は、同国で事業を展開する日本企業や、ブラジルから原材料・製品を調達する企業に対し、調達コストや運営コストの増加をもたらす可能性があります。特に食品関連企業は原材料費、製造業やサービス業は光熱費や輸送費の変動に注意が必要です。また、政策金利の高止まりは、現地での資金調達コストや為替レートにも影響を与えるため、経理・財務部門は動向を注視する必要があります。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 経理 広報

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 ジェトロ
発表日 2026-08-03
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月03日

添付資料(177 KB)

ブラジル地理統計院(IBGE)は6月12日、同国の代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の5月の上昇率(前月比)を0.58%と発表した(添付資料表参照)。上昇率は前月(0.67%)から減速したものの、1~5月の累計上昇率は3.20%となった。直近12カ月の上昇率は4.72%で、2025年10月以来7カ月ぶりに、インフレ目標上限(目標値3.0%、上限4.5%)を上回った(注1)。目標上限の超過は、中央銀行による政策金利(Selic)の高止まりが長期化するとの見方を強める要因となる。

前月比を費目別でみると、交通・運輸(マイナス0.46%)を除く8項目が上昇(横ばいを含む)した。中でも、飲食料品は上昇率が1.33%、寄与度0.29ポイントと最も高かった。主な内訳では、ジャガイモ(44.69%増)、トマト(20.62%増)、タマネギ(16.80%増)などの価格上昇が目立った。

住居関連も上昇率1.22%、寄与度0.18ポイントと大きく伸びた。とりわけ家庭用電力は3.67%上昇し、個別品目では最大の寄与度(0.15ポイント)となった。IBGEのジョゼ・フェルナンド・ゴンサルベスIPCA担当マネジャーは、5月に導入された電力料金の追加料金が主な押し上げ要因と指摘する。ブラジルでは、「バンデイラ・タリファリア(旗印料金)」と呼ばれる電力料金の追加制度があり、追加料金の有無は、水力発電所の貯水量や火力発電所の稼働状況に基づき決定される。国家電力庁(ANEEL)が4月24日に発表したとおり、降雨量不足により貯水量が減少したため、5月は追加料金が適用され、電力料金が上昇した(注2)。

一方、交通・運輸の低下について、ゴンサルベス氏は現地紙「バロール」(6月12日付)のインタビューで、連邦政府が3月以降に導入した燃料価格抑制に向けた補助金制度(2026年3月18日記事と2026年4月16日記事参照)が主な押し下げ要因と説明した。

(注1)中銀は毎年、インフレ目標値を定めている。直近12カ月の上昇率が目標上限を6カ月連続で上回った場合、目標未達と判断される。
(注2)追加料金は「緑」「黄色」「赤1」「赤2」の4段階の色で示される。「緑」の場合には追加料金はないが、「黄色」は100キロワット時(kWh)当たり1.89レアル(約59円、1レアル=約31.2円)、「赤1」は4.46レアル、「赤2」は7.88レアルが追加で徴収される。4月は「緑」だったが、5月には「黄色」の追加料金が設定された。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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5月のインフレ率、7カ月ぶりに目標上限を上回る

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/d78d454b6e866e2d.html

時系列

主な数値

5月IPCA上昇率(前月比) 0.58%
前月IPCA上昇率(前月比) 0.67%
1~5月累計上昇率 3.20%
直近12カ月上昇率 4.72%
インフレ目標値 3.0%
インフレ目標上限 4.5%
目標上限超過期間 7カ月
飲食料品上昇率 1.33%
飲食料品寄与度 0.29ポイント
ジャガイモ価格上昇率 44.69%増
トマト価格上昇率 20.62%増
タマネギ価格上昇率 16.80%増
住居関連上昇率 1.22%
住居関連寄与度 0.18ポイント
家庭用電力上昇率 3.67%
家庭用電力寄与度 0.15ポイント
交通・運輸低下率 -0.46%
黄色追加料金 1.89レアル
黄色追加料金(円換算) 59円
レアル円レート 31.2円

この事例から確認すべきポイント

ブラジルの5月インフレ率が目標上限を上回ったことは、企業活動においてコスト管理の重要性を再認識させるものです。特に飲食料品や電力料金の上昇は、製造業やサービス業など幅広い業種で原材料費や光熱費の増加に直結します。中央銀行の政策金利高止まりが長期化するとの見方は、資金調達コストの上昇や消費マインドの冷え込みにつながる可能性があり、事業計画や投資判断に影響を与えるでしょう。一方で、燃料価格抑制のための補助金制度は、運輸関連コストの抑制に寄与しており、政府の政策動向が企業経営に与える影響の大きさが示されています。企業は、サプライチェーン全体のコスト変動要因を定期的に分析し、価格転嫁の可能性や代替調達先の検討、省エネルギー化など、多角的な対策を講じる必要があります。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-03

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