英政府、太陽光発電所3件の開発を許可、サイズウェルB原子力発電所の運転も延長
この発表の要点
- 英国政府は、合計出力1,210MWの太陽光発電所3件の開発を許可した。
- サイズウェルB原子力発電所の運転期間を20年間延長し、2055年まで運転を継続する。
- 国家重要インフラプロジェクト(NSIP)の承認プロセス迅速化のため、申請前協議義務を撤廃した。
企業・自治体への影響
英国でエネルギー関連事業を展開する企業、特に再生可能エネルギー開発企業や電力供給事業者は、新たな投資機会や市場環境の変化に直面します。政府の承認プロセス迅速化は、大規模インフラプロジェクトの計画・実行に影響を与える可能性があります。
対応すべきこと
- 英国のエネルギー政策動向を継続的に監視し、事業戦略への影響を評価する。
- 再生可能エネルギーや原子力関連の新規プロジェクトへの参入機会を検討する。
- 国家重要インフラプロジェクト(NSIP)の承認プロセス変更点を把握し、今後の申請計画に反映させる。
- 英国の電力市場における長期的な価格変動リスクと安定供給の動向を分析する。
対象部門: 経営者 広報 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 英国政府 |
|---|---|
| 業界 | エネルギー・電力 |
| 発表日 | 2026-07-16 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月16日
英国政府は7月2日から8日にかけて、3件の太陽光発電プロジェクトの開発許可を発表した。各プロジェクトの概要は次のとおり。
ペアツリー・ヒル・ソーラーファーム(Peartree Hill Solar Farm)、7月2日発表:ドイツのエネルギー大手RWEの子会社RWEリニューアブルズUKソーラー・アンド・ストレージ(RWE Renewables UK Solar and Storage)が申請。出力320メガワット(MW)の太陽光発電所およびバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を建設。
ディーン・ムーア・ソーラーファーム(Dean Moor Solar Farm)、7月2日発表:再生可能エネルギー開発企業フィルマ・エナジー(Firma Energy)とアイビー・フォークトUK(ib vogt UK)の共同事業であるFVSディーン・ムーア(FVS Dean Moor)が申請。太陽光パネル、系統接続設備、関連インフラなどで構成される出力150MWの太陽光発電所の建設・運営・廃止を含む。
ワン・アース・ソーラーファーム(One Earth Solar Farm)、7月8日発表:再生可能エネルギー開発企業ペリガス(Perigus、旧オーステッド)とPSリニューアブルズ(PS Renewables)が提携するワン・アース・ソーラーファームが申請。出力740MWの太陽光発電所およびBESSを建設し、英国で2番目に大きな太陽光発電所となる(注)。
今回の承認で、労働党政権が発足した2024年7月以降、政府が承認した国家重要インフラプロジェクト(NSIP)は計42件となった。なおNSIPに関連して、政府は7月2日、申請前協議義務を撤廃し、承認プロセスの迅速化を行うと発表している(2026年7月7日記事参照)。
また、政府は7月8日、イングランドサフォーク州にあるサイズウェルB原子力発電所の運転期間を20年間延長し、2055年まで運転を継続すると発表した。同発電所は英国の総電力需要の約3%を供給しており、需要者が変動の激しい化石燃料市場のリスクにさらされるのを防ぐことになるという。
政府と同発電所の所有者であるフランス国営電力会社EDFは、当初、運転を予定していなかった2035年以降に発電した電力に対し、2025年価格ベースで1メガワット時当たり70.50ポンド(約1万5,299円、1ポンド=約217円)とする20年間の差額決済契約(CfD)の条件に合意した。同発電所の維持に必要な追加投資は主にEDFが負担し、エネルギー大手セントリカはEDFの既設の英国原子力発電所群の持ち分比率に応じて、その20%を負担する。
(注)政府は2026年4月、発電能力の点で英国最大の太陽光発電プロジェクトである800MWのスプリングウェル・ソーラーファーム(Springwell Solar Farm)を承認した。
(バリオ純枝)
(英国、ドイツ、フランス)
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英政府、太陽光発電所3件の開発を許可、サイズウェルB原子力発電所の運転も延長
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/2934cc52f61e4011.html
時系列
- 2024-07 労働党政権が発足
- 2026-04 英国最大の太陽光発電プロジェクトである800MWのスプリングウェル・ソーラーファームを承認
- 2026-07-02 ペアツリー・ヒル・ソーラーファーム、ディーン・ムーア・ソーラーファームの開発許可を発表
- 2026-07-02 国家重要インフラプロジェクト(NSIP)の申請前協議義務撤廃を発表
- 2026-07-08 ワン・アース・ソーラーファームの開発許可を発表
- 2026-07-08 サイズウェルB原子力発電所の運転期間を20年間延長し、2055年まで運転継続すると発表
- 2035 サイズウェルB原子力発電所の当初運転予定期間終了
- 2055 サイズウェルB原子力発電所の運転継続期間終了
主な数値
| 太陽光発電プロジェクト開発許可件数 | 3件 |
|---|---|
| ペアツリー・ヒル・ソーラーファーム出力 | 320MW |
| ディーン・ムーア・ソーラーファーム出力 | 150MW |
| ワン・アース・ソーラーファーム出力 | 740MW |
| 労働党政権発足(2024年7月)以降の国家重要インフラプロジェクト(NSIP)承認件数 | 42件 |
| サイズウェルB原子力発電所の運転期間延長 | 20年間 |
| サイズウェルB原子力発電所の運転継続期間 | 2055年まで |
| サイズウェルB原子力発電所の英国総電力需要供給割合 | 約3% |
| 差額決済契約(CfD)の期間 | 20年間 |
| 差額決済契約(CfD)の価格(2025年価格ベース) | 70.50ポンド/MWh |
| 1ポンドあたりの円換算 | 217円 |
| セントリカのEDF既設英国原子力発電所群の持ち分比率に応じた負担割合 | 20% |
| スプリングウェル・ソーラーファーム出力 | 800MW |
この事例から確認すべきポイント
英国政府による今回の発表は、エネルギー供給の安定化と脱炭素化を両立させるための多角的なアプローチを示しています。大規模太陽光発電プロジェクトの迅速な承認と原子力発電所の運転延長は、再生可能エネルギーの導入加速とベースロード電源の確保という、英国のエネルギー政策における二つの主要な柱を強化するものです。特に、国家重要インフラプロジェクト(NSIP)の承認プロセス迅速化は、今後の大規模インフラ開発を加速させる政府の強い意図を反映しており、関連産業に大きな影響を与える可能性があります。差額決済契約(CfD)の導入は、発電事業者への長期的な投資インセンティブを提供し、電力市場の安定化に寄与すると考えられます。これらの動きは、英国のエネルギーミックスの変化と、それに伴う産業構造への影響を継続的に注視する必要があることを示唆しています。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-16
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