英政府、7月1日から適用の鉄鋼セーフガード措置を決定、関税割当枠を51%削減
この発表の要点
- 英国政府は7月1日から鉄鋼製品に対するセーフガード措置を適用し、関税割当枠を51%削減する。
- 未使用割当枠の次四半期への繰り越し(キャリーオーバー)制度が復活する。
- 7月1日から9月30日までの期間、特定の条件を満たす既存契約に基づく輸入貨物には移行措置が適用され、超過関税が免除される。
企業・自治体への影響
英国へ鉄鋼製品を輸出する企業、特に製造業や商社は、関税割当枠の削減と超過関税の導入により、輸出戦略の見直しやコスト増の影響を受ける可能性があります。また、英国国内の鉄鋼製品を調達する企業は、国内産業保護の恩恵を受ける一方で、一部製品の供給や価格に変動が生じる可能性を考慮する必要があります。
対応すべきこと
- 英国政府ウェブサイトで、自社の製品がセーフガード措置の対象となる鉄鋼製品に該当するか詳細を確認する。
- 移行措置の適用条件(契約締結日、輸入期間など)を確認し、該当する場合は必要な証明資料を準備する。
- 関税割当枠の削減が自社の輸出入計画に与える影響を評価し、必要に応じてサプライチェーンや価格戦略を見直す。
- 関係部門(貿易、調達、法務、経理など)へ本発表の内容を共有し、連携して対応方針を検討する。
対象部門: 経営者 法務 経理
対応期限:施行日まで
基本データ
| 企業・団体 | 英国政府 |
|---|---|
| 業界 | 製造 |
| 発表日 | 2026-06-25 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月02日
英国政府は6月25日、7月1日から適用する鉄鋼製品に対するセーフガード措置を決定した。関税割当枠を51%削減し、超過分に対する関税率を50%に引き上げる。対象は英国で製造可能な全ての鉄鋼製品(対象製品などの詳細は英国政府ウェブサイト参照)。自由貿易協定(FTA)締結国を含む全ての国・地域に一律適用する。ただし、ウクライナ産製品については対象外とする。関税割当枠は、2026年3月19日発表の鉄鋼戦略(2026年3月25日記事参照)では60%削減としていた。鉄鋼戦略の発表後、産業界や、サプライチェーンを密接に共有し新たな鉄鋼貿易措置の発効を控えたEUと緊密に協議するなどした結果、最終的に51%削減となった。
2025年7月1日施行の措置で廃止された、未使用の割当枠を次の四半期に持ち越す「キャリーオーバー」制度が復活する(2025年7月16日記事参照)。ただし同割当年度内に限られ、割当年度(7月1日から翌年の6月30日まで)をまたぐ繰り越しはできない。繰り越しは該当の四半期終了後、20営業日目に有効となる。
移行措置も設けられている。期間は7月1日から9月30日までで、対象品目は次の条件に合致する場合、割当超過関税全額(50%)が免除となる。
2026年7月1日から9月30日の間に英国へ輸入
2026年3月14日よりも前に締結された契約の履行
なお、2026年7月1日から9月30日までの間に保税倉庫から英国市場へ投入された貨物についても、2026年3月14日よりも前に締結された契約を履行するために英国へ輸入された場合にはこの移行措置を利用できる。また、この移行措置を利用した貨物は、第1四半期の割当枠には算入されない。
移行措置を利用するための証明資料の例としては、次が示されている。
書面による契約書(販売契約を含む)
請求書
支払い証明書
保税倉庫記録
英国の鉄鋼業界団体UKスチールは6月25日、今回の政府のセーフガード措置を巡る決定は、世界的な過剰生産や不公正貿易による悪影響から英国の鉄鋼産業を守るための前進であると評価した。一方、新たな割当措置により英国の生産者の状況が悪化した部分もあるとして、亜鉛メッキ鋼や非合金ワイヤーを例示したほか、包装用鋼材や中空形鋼についても懸念が生じているとコメントした。
(野崎麻由美)
(英国)
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英政府、7月1日から適用の鉄鋼セーフガード措置を決定、関税割当枠を51%削減
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/d60667a0e7153b89.html
時系列
- 2025-07-01 未使用の割当枠を次の四半期に持ち越す「キャリーオーバー」制度が廃止された措置が施行
- 2026-03-14 移行措置の対象となる契約締結日の基準日
- 2026-03-19 鉄鋼戦略が発表され、当初60%の関税割当枠削減が提案された
- 2026-06-25 英国政府が7月1日から適用する鉄鋼製品に対するセーフガード措置を決定
- 2026-06-25 英国の鉄鋼業界団体UKスチールが政府のセーフガード措置決定について評価と懸念を表明
- 2026-07-01 鉄鋼製品に対するセーフガード措置が適用開始
- 2026-07-01 未使用割当枠の次四半期への「キャリーオーバー」制度が復活
- 2026-07-01 移行措置の適用期間が開始
- 2026-07-02 本発表に関する記事が公開
- 2026-09-30 移行措置の適用期間が終了
主な数値
| 関税割当枠削減率 | 51% |
|---|---|
| 超過分関税率 | 50% |
| 鉄鋼戦略での当初削減率 | 60% |
| 移行措置期間 | 3ヶ月 |
| キャリーオーバー有効化日数 | 20営業日 |
この事例から確認すべきポイント
英国政府が鉄鋼製品に対するセーフガード措置を決定し、関税割当枠を51%削減、超過分に50%の関税を課すことは、国際貿易における保護主義的な動きとして注目されます。当初の鉄鋼戦略で示された60%削減から51%に修正された背景には、産業界やEUとの緊密な協議があったとされており、政策決定プロセスにおけるステークホルダーとの対話の重要性を示唆しています。また、未使用割当枠のキャリーオーバー制度の復活や移行措置の導入は、急激な制度変更による混乱を緩和し、既存契約の履行を支援する意図が見られます。しかし、英国の鉄鋼業界団体が一部製品への懸念を表明しているように、国内産業保護とサプライチェーンへの影響のバランスは常に課題となります。企業は、自社の輸出入戦略やサプライチェーンに与える影響を詳細に評価し、英国政府ウェブサイトで対象製品や詳細情報を確認するなど、迅速な情報収集と対応が求められます。特に、移行措置の適用条件や証明資料の準備は、実務上の重要なポイントとなります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-02
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