チリ中銀、2026年成長率見通しを0.25~0.75%へ大幅下方修正、景気減速が鮮明に
この発表の要点
- チリ中銀は2026年の実質GDP成長率見通しを0.25~0.75%へと大幅に下方修正した。
- 第2四半期以降の国内支出の伸び低下や失業率の悪化(5~7月9.5%)、総固定資本形成のマイナス転落(0.3%減)など景気減速が鮮明となっている。
- 政策金利は4.5%に据え置かれ、2027年以降は復興法等による景気回復が見込まれている。
企業・自治体への影響
チリに進出している製造業、鉱業、不動産、建設業などの企業において、現地需要の伸び悩みや投資案件の延期・見直しを迫られる可能性がある。経営企画部門や海外事業部門における事業計画・予算の再精査が必要となる。
対応すべきこと
- チリにおける現地法人の事業計画および需要予測を最新の経済見通しに照らして見直す。
- インフレ動向や政策金利(4.5%据置)が現地調達コストや資金繰りに与える影響を評価する。
- 関連部門へチリ経済の減速リスクおよび中長期の回復見通し(2027年以降)を共有する。
対象部門: 経営者 総務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | チリ中央銀行 |
|---|---|
| 発表日 | 2026-09-11 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年09月11日
チリ中央銀行は9月9日、金融政策報告書(IPoM)を公表し、2026年の実質GDP成長率見通しを0.25~0.75%へと大幅に引き下げた。前回6月のIPoMでは1.0~1.75%としていたが(2026年6月18日記事参照)、国内需要の減速や労働市場の悪化、鉱業生産の低迷などを反映し、成長予測を大幅に下方修正した。
中央銀行によると、年初の景気低迷は主として供給側要因によるものだったが、第2四半期(4~6月)以降は需要の弱さが鮮明になった。国内支出の伸びは第1四半期(1~3月)の前年同期比2.3%から第2四半期には0.1%へ低下し、民間消費や総固定資本形成(投資)がともに勢いを失った。企業・家計の景況感も悪化しており、5~7月の失業率は9.5%(季節調整済み9.3%)に達した。さらに、鉱業生産の減少や豪雨などの悪天候も経済活動の重荷となった。
投資見通しも大幅に引き下げられた。2026年の総固定資本形成は6月時点で前年比2.2%増と見込まれていたが、今回は0.3%減へ修正された。不動産市場の低迷や大型案件の終了、新規投資案件の延期に加え、公共投資の減少が影響した。一方、民間消費は1.5%増と見込まれるものの、従来予測を下回る水準となっている。
インフレ見通しについては大きな変更はなかった。年間総合インフレ率は足元で4%前後、コアインフレ率は3.2~3.4%で推移しており、中東情勢を背景とした燃料価格の上昇が主な押し上げ要因となっている。中央銀行は2026年末のインフレ率を4%強と予測し、2027年第2四半期には3%の目標水準程度に収束するとの見方を維持した。
もっとも、中央銀行は2027年以降の景気回復を見込んでいる。現在調整が進む復興法(経済社会復興・開発法)が主に投資を押し上げることで、2027年の成長率は2~3%、2028年は2.25~3.25%になると予測した。
金融政策では、政策金利は4.5%に据え置かれた。中央銀行は中東紛争の長期化や国内景気の低迷が予想以上に続く可能性を指摘し、マクロ経済環境には「通常以上に高い不確実性」が存在すると警告した。専門家の間でも2026年の成長率見通し引き下げは共通認識となっており、中央銀行が9月に発表した経済見通し調査では2026年のGDP成長率予測中央値が0.7%まで低下した。市場では、インフレ動向を見極めながら、当面は政策金利が4.5%で据え置かれるとの見方が優勢だ。
(橋爪優太)
(チリ)
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チリ中銀、2026年成長率見通しを0.25~0.75%へ大幅下方修正、景気減速が鮮明に
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/09/e55b4c528870e417.html
時系列
- 2026-06-18 前回6月のIPoM(金融政策報告書)で2026年の実質GDP成長率見通しを1.0~1.75%としていた。
- 2026-09-09 チリ中央銀行が金融政策報告書(IPoM)を公表し、2026年の実質GDP成長率見通しを0.25~0.75%へ下方修正、政策金利を4.5%に据え置いた。
主な数値
| 2026年の実質GDP成長率見通し(修正後) | 0.25~0.75% |
|---|---|
| 2026年の実質GDP成長率見通し(前回6月時点) | 1.0~1.75% |
| 国内支出の伸び(第1四半期・1~3月) | 2.3% |
| 国内支出の伸び(第2四半期・4~6月) | 0.1% |
| 失業率(5~7月) | 9.5% |
| 失業率(季節調整済み・5~7月) | 9.3% |
| 総固定資本形成見通し(2026年・6月時点) | 2.2%増 |
| 総固定資本形成見通し(2026年・今回修正) | 0.3%減 |
| 民間消費見通し(2026年) | 1.5%増 |
| 年間総合インフレ率(足元) | 4%前後 |
| コアインフレ率 | 3.2~3.4% |
| 2026年末のインフレ率予測 | 4%強 |
| 2027年第2四半期のインフレ目標水準 | 3% |
| 実質GDP成長率予測(2027年) | 2~3% |
| 実質GDP成長率予測(2028年) | 2.25~3.25% |
| 政策金利 | 4.5% |
| 2026年のGDP成長率予測中央値(経済見通し調査) | 0.7% |
この事例から確認すべきポイント
チリ中央銀行による2026年成長率見通しの大幅な下方修正は、同国市場へ展開する企業や対外投資を行う企業にとって、中短期的な需要縮小や投資延期リスクを再評価する重要な材料となる。鉱業生産の低迷、不動産市場の停滞、失業率の悪化など複数の下押し圧力が複合的に働いており、サプライチェーンや現地法人の経営計画への影響を慎重に見極める必要がある。一方で、2027年以降は復興法による投資押し上げ効果で景気回復が見込まれており、中長期的な視点を持った事業戦略の維持・構築が求められる。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-09-11
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