経済・産業トレンド 決定済

アルゼンチン政府、段階的な最低賃金の引き上げ発表も一部に不満の声

アルゼンチン政府は労働・雇用・社会保障庁決議第4/2026号を公示し、2026年9月から2027年4月までの段階的な最低賃金引き上げを発表した。国家雇用・生産性・最低賃金評議会での合意に至らず政府決定となったものであり、各月の具体的な金額や時給、労働組合や経営者団体の提案、インフレ影響に関するシンクタンクの報告書内容などが報じられている。

この発表の要点

企業・自治体への影響

アルゼンチン国内で事業を展開する企業の人事・労務・経理部門において、給与水準だけでなく社会保障制度や各種給付金・補助金の基準指標に影響を及ぼすため、コスト試算や賃金体系の確認が必要となる。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 総務 人事 経理

対応期限:施行日まで

基本データ

企業・団体 アルゼンチン政府
業界 経済・労働
発表日 2026-09-10
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年09月10日

アルゼンチン政府は、9月2日付官報に労働・雇用・社会保障庁決議第4/2026号を公示し、2026年9月~2027年4月までの段階的な最低賃金の引き上げを発表した。最低賃金は給与水準もさることながら、社会保障制度、各種給付金および補助金などの見直しにおいて基準指標として用いられている点でも重要だ。8月28日に政府、労働組合、経営者団体により構成される国家雇用・生産性・最低賃金評議会が、最低賃金について協議したが合意に至らなかった。このため、2026年8月時点で月額37万6,600ペソ(約3万7,660円、1ペソ=約0.10円)だった最低賃金が、同決議によって次のとおりに段階的に引き上げられることになった。

2026年9月1日からは月額38万3,800ペソ、時給の場合は1,919ペソ。

2026年10月1日からは月額39万1,200ペソ、時給の場合は1,956ペソ。

2026年11月1日からは月額39万8,800ペソ、時給の場合は1,994ペソ。

2026年12月1日からは月額40万6,400ペソ、時給の場合は2,032ペソ。

2027年1月1日からは月額41万4,200ペソ、時給の場合は2,071ペソ。

2027年2月1日からは月額42万2,000ペソ、時給の場合は2,110ペソ。

2027年3月1日からは月額42万9,600ペソ、時給の場合は2,148ペソ。

2027年4月1日からは月額43万7,000ペソ、時給の場合は2,185ペソ。

引き上げ発表も一部に不満の声が残る。9月2日付現地紙「インフォバエ(電子版)」は、評議会で合意に至らなかった(注)理由について、労働組合側が2026年12月までに最低賃金を月額99万3,000ペソまで引き上げるべきと訴えていたのに対し、経営者団体側は月に1.7~1.8%引き上げ2027年4月までに46万8,000ペソとする額を提案したためと報じている。経営者団体側は主に、アルゼンチン工業連盟(UIA)、商業会議所(CAC)、建設会議所、中小企業連盟、銀行協会、ブエノスアイレス証券取引所のほか、ホテル・飲食業および農業分野に関連する各業界団体によって構成されている。

ハビエル・ミレイ政権は「労働者ではなく経営者だけ優遇している」として、同政権の政策に批判的なシンクタンク「アルゼンチン政治経済センター(CEPA)」がまとめた2026年9月の報告書によれば、2023年11月~2026年9月の間に最低賃金の購買力は40.8%低下した。失われた購買力を取り戻すには、最低賃金を月額27万1,315ペソ引き上げる必要があるとしている。さらに、この間に最低賃金は158%しか引き上げられなかったのに対し、電気、天然ガス、燃料などの価格は856%上がり、公共交通機関の料金は地下鉄が2,005%、バスが1,510%、電車が1,090%値上がりしたと、大きな差異を強調した。

(注)最終的に政府が労働・雇用・社会保障庁決議第4/2026号を通じて一方的に段階的な金額を定めた。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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アルゼンチン政府、段階的な最低賃金の引き上げ発表も一部に不満の声

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出典: www.jetro.go.jp
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時系列

主な数値

2026年8月時点の最低賃金 376,600ペソ
2026年9月1日からの最低賃金(月額) 383,800ペソ
2026年9月1日からの最低賃金(時給) 1,919ペソ
2026年10月1日からの最低賃金(月額) 391,200ペソ
2026年10月1日からの最低賃金(時給) 1,956ペソ
2026年11月1日からの最低賃金(月額) 398,800ペソ
2026年11月1日からの最低賃金(時給) 1,994ペソ
2026年12月1日からの最低賃金(月額) 406,400ペソ
2026年12月1日からの最低賃金(時給) 2,032ペソ
2027年1月1日からの最低賃金(月額) 414,200ペソ
2027年1月1日からの最低賃金(時給) 2,071ペソ
2027年2月1日からの最低賃金(月額) 422,000ペソ
2027年2月1日からの最低賃金(時給) 2,110ペソ
2027年3月1日からの最低賃金(月額) 429,600ペソ
2027年3月1日からの最低賃金(時給) 2,148ペソ
2027年4月1日からの最低賃金(月額) 437,000ペソ
2027年4月1日からの最低賃金(時給) 2,185ペソ
労働組合側の主張額(2026年12月まで) 993,000ペソ
経営者団体側の提案額(2027年4月まで) 468,000ペソ
最低賃金の購買力低下率(2023年11月~2026年9月) 40.8%
購買力回復のための必要引き上げ額 271,315ペソ
最低賃金の引き上げ率(2023年11月~2026年9月) 158%
電気・天然ガス・燃料などの価格上昇率 856%
地下鉄料金の値上がり率 2,005%
バス料金の値上がり率 1,510%
電車料金の値上がり率 1,090%

この事例から確認すべきポイント

本事例は、アルゼンチン政府が国家雇用・生産性・最低賃金評議会での合意に至らなかったことを受け、労働・雇用・社会保障庁決議第4/2026号により最低賃金を一方的に決定・公示したものである。2026年9月から2027年4月にかけて月額38万3,800ペソから43万7,000ペソまで段階的に引き上げられる一方、労働組合側が主張した月額99万3,000ペソや、シンクタンク(CEPA)が指摘する大幅なインフレ・公共料金の高騰(地下鉄2,005%増など)との乖離が大きく、労使間や社会的な不満が残る結果となっている。現地進出企業や関係部門においては、給与水準だけでなく社会保障制度や各種給付金・補助金の基準指標への影響を正確に把握し、コスト管理や労務管理の見直しを行う必要がある。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-09-10

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