イラク石油省、バスラ製油所近代化事業の作業再開で日揮との合意を発表
この発表の要点
- イラク石油省と日揮グローバルがバスラ製油所近代化事業の作業再開で合意した。
- 地域情勢の悪化により日揮が現地要員を退避させて作業が中断していたが、要員の帰還により最終作業が再開された。
- 本事業はJICAの円借款総額約5,700億円で、ガソリンや軽油等の増産による輸入削減とイラク側への運転技術引き継ぎを目指す。
企業・自治体への影響
海外プラント建設やインフラ輸出を手がける企業・関連部門において、地政学リスク発生時のプロジェクト中断・再開管理および現地要員の安全確保体制の見直しに関する重要な参考事例となる。関係業種は建設、エンジニアリング、エネルギー、商社など。
対応すべきこと
- 公式出典を確認し、自社の海外事業における地政学リスクおよび安全管理体制を再点検する。
- 海外案件の進捗管理部門や法務・総務部門において、類似プロジェクトの契約上のリスク分担や中断・再開時の対応手順を共有する。
対象部門: 経営者 総務 法務 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | イラク石油省 |
|---|---|
| 業界 | 建設・エンジニアリング |
| 発表日 | 2026-08-28 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月28日
イラク石油省は8月14日、同国南部のバスラ製油所における近代化事業について、日揮グローバルと作業再開で合意したと発表した。石油省は、設備が本格稼働すれば、日量でガソリンを500万リットル、軽油を約700万リットル、液化石油ガス(LPG)を400トン生産する能力が加わるとしている。
同事業は、石油省傘下の南部精製公社(SRC)が運営する既存のバスラ製油所に隣接するかたちで、ガソリンや軽油などの石油製品の生産量と品質を高める各種設備を新設するものだ。設備には、原油を精製した後に残る油からガソリンなどを作る流動接触分解装置などが含まれる。
この取り組みは、2012年に国際協力機構(JICA)による円借款事業として始まり、総額約5,700億円で、中東地域向け円借款としては最大規模となっている。日揮は2020年、設計・調達・建設・試運転を約4,000億円で受注した。流動接触分解装置は1日に約3万5,000バレルを処理でき、国内で需要の高いガソリンや軽油などの増産を可能にする。イラクは世界有数の産油国にもかかわらず、戦災や既存設備の老朽化により、石油製品を輸入している。今回の事業により、輸入を減らすことも可能になる。
日揮はまた、2025年2月に、完成後の設備を安定して動かせるよう、イラク側に運転方法を引き継ぐ業務もSRCから約300億円で追加受注した。日揮の要員がSRCの要員と共同で設備の稼働と安定運転を支援するもので、受注時点で2026年12月の完了が予定された。
2025年10月には、ムハンマド・シヤーウ・スーダーニー首相(当時)らが出席して完成式典が行われた。流動接触分解装置は同月に試運転を始め、一時はガソリンを1日約150万リットル生産した。しかし、その後の地域情勢の悪化を受けて日揮が現地要員を退避させ、作業は中断した。SRCは2026年7月末、設備そのものは完成し、損傷や運転上の問題もないものの、本格稼働には日揮が現地に戻り、最終作業を行う必要があると説明していた。今回、日揮の要員が現地に戻ったことで、その最終作業が再開した。
作業再開により、日本の大型円借款を活用した同事業は、本格稼働とイラク側への運転技術の引き継ぎに向けて再び動き出した。
(大野晃三)
(イラク)
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イラク石油省、バスラ製油所近代化事業の作業再開で日揮との合意を発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/0ef58cdd6da8471a.html
時系列
- 2020-01-01 日揮が設計・調達・建設・試運転を約4,000億円で受注
- 2025-02-01 日揮が運転方法を引き継ぐ業務を約300億円で追加受注
- 2025-10-01 ムハンマド・シヤーウ・スーダーニー首相(当時)らが出席して完成式典が行われ、流動接触分解装置が試運転を開始
- 2026-07-31 SRCが、本格稼働には日揮の最終作業が必要であると説明
- 2026-08-14 イラク石油省が日揮グローバルと作業再開で合意したと発表
主な数値
| 円借款総額 | 5,700億円 |
|---|---|
| 日揮受注額(設計・調達・建設・試運転) | 4,000億円 |
| 流動接触分解装置の処理能力 | 35,000バレル/日 |
| 追加受注額(運転方法の引き継ぎ業務) | 300億円 |
| 追加受注業務の完了予定時期 | 2026-12月 |
| 試運転時のガソリン生産量(一時) | 1,500,000リットル/日 |
| 本格稼働時のガソリン生産能力 | 5,000,000リットル/日 |
| 本格稼働時の軽油生産能力 | 7,000,000リットル/日 |
| 本格稼働時のLPG生産能力 | 400トン/日 |
この事例から確認すべきポイント
本件は、中東地域最大規模の円借款事業であるイラクのバスラ製油所近代化事業において、地域情勢の悪化により一時中断していた日揮グローバルの現地作業が再開されたというものである。海外インフラプロジェクトにおいては、地政学リスクや治安情勢の変化が工事の進捗や現地要員の安全確保に直接影響を与えることが示されている。企業実務および危機管理広報の観点からは、海外展開案件におけるセキュリティ情報の収集、現地要員の安全管理体制の維持、および発注者側(本件では南部精製公社:SRC)との進捗状況に関する正確な情報共有の重要性が確認できる。現時点で取得できた本文からは、詳細を確認できませんでした。詳細は公式出典をご確認ください。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-28
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