トランプ米大統領、牛肉に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大、産業界は反発
この発表の要点
- 米大統領が牛赤身トリミングの関税割当(TRQ)を30万トン拡大する大統領布告を発表
- 30万トンは先着順で10万トンずつ3回(9月、10月、10月下旬〜11月)に分けて割り当てられる
- 米国内では牧場主や農業者団体から牧場主を弱体化させるとして反対の声が相次いでいる
企業・自治体への影響
食品・輸入に関連する企業や流通部門において、牛赤身トリミングの調達コストや市場価格への影響が生じる可能性がある。また、産地や業界団体からの反発に伴う追加的な政策見直しの動向に留意が必要となる。
対応すべきこと
- 対象となるHTSコード(0201.30.5091、0201.30.5097、0202.30.5091、0202.30.5097)の自社への該当性を確認する
- 先着順となる3回の割当スケジュール(第1回〜第3回)および申請・適用期限を管理する
- 米国内の市場価格監視動向や政権の追加政策見直しに関する最新情報を追う
対象部門: 総務 法務 経理
対応期限:2026-11-30
基本データ
| 企業・団体 | 米国大統領府 |
|---|---|
| 業界 | 食品 |
| 発表日 | 2026-08-28 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月28日
米国のドナルド・トランプ大統領は8月26日、牛肉の輸入に対する関税割当(TRQ)を拡大する大統領布告を発表した。同日、ファクトシートも発表した。トランプ氏は8月21日に、TRQを拡大する意向をSNSで示していた。一方で、米国内では反対する声が相次いでいる。
大統領布告によれば、「自然災害、疾病、国内市場における重大な混乱」により、適正な価格で牛ひき肉を含む牛肉製品の米国内需要を満たせていないとし、牛肉の赤身トリミング(注)に対して低関税が適用されるTRQを30万トン分拡大すると決めた。詳細は次のとおり。
今回拡大されるTRQは、米国関税分類番号(HTSコード)で0201.30.5091、0201.30.5097、0202.30.5091、0202.30.5097に分類される牛赤身トリミングにのみ適用される。
30万トンは先着順で、10万トンずつ3回に分けて割り当てられる。第1回分は9月1~30日、第2回分は10月1~30日、第3回は10月31日~11月30日。ただし、いずれの回も割当量に達し次第、TRQの適用を終了する。
農務長官および米国通商代表部(USTR)代表は、今回定められたTRQに基づき輸入された牛赤身トリミングが、市場価格を25%下回る価格で販売されているかを監視する。25%を下回る価格で販売されていないと判断した場合、大統領は本布告に基づく措置を停止できる。
なお、今回の措置は、2026年2月に拡大したアルゼンチン産牛赤身トリミングに対するTRQの拡大(2026年2月12日記事参照)には影響しない。
今回の措置に対して、米国内では反対する声が相次いでいる。連邦議会下院で通商を所管する歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は8月27日、X(旧Twitter)に「長年にわたる干ばつや、食料、燃料、肥料の高騰に耐えてきた牧場主たちに、牛肉価格引き下げの負担を強いることは、問題の解決にはつながらない」とし、割引価格での外国産輸入肉を増やすのではなく、米国の牛の頭数を増やし、食肉加工業者間の競争を促進し、飼料、燃料、肥料、および資金調達のコストを引き下げるべきだと投稿した。また、米国最大の農業者団体であるアメリカン・ファーム・ビューロー連合(AFBF)は8月26日、「『市場価格を下回る』25%の割引価格で30万トンの外国産牛肉の輸入を許可することは、たゆまぬ努力を続けて米国の家庭のために食料を生産している米国の牧場主たちを弱体化させることになる」などとして、トランプ氏に措置の再考を求める書簡を送ったと声明で明らかにした。
一方で、政治専門紙「ポリティコ」(8月26日)によれば、トランプ政権は牛肉業界や一部の共和党議員からの反発を和らげるため、TRQの拡大と並行して、「業界に配慮した別の政策見直し」を検討しているという。ただし、どのような措置が検討されているかは現時点で明らかでない。
(注)ブロック肉を切り出して成形する際に生じる端材で、主にひき肉などに利用される。
(赤平大寿)
(米国)
ビジネス短信 b348c3e5fd175a8b
関連情報
dummy
もっと見る
ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
トランプ米大統領、牛肉に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大、産業界は反発
ジェトロ公式SNSアカウント
出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/b348c3e5fd175a8b.html
時系列
- 2026-08-21 トランプ米大統領がSNSで関税割当(TRQ)を拡大する意向を示した。
- 2026-08-26 トランプ米大統領が牛肉の輸入に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大する大統領布告とファクトシートを発表した。
- 2026-08-27 米連邦議会下院歳入委員会のジェイソン・スミス委員長が反対の意向を投稿した。
- 2026-09-01 第1回分の割当期間が開始(9月1~30日)。
主な数値
| 関税割当(TRQ)の拡大数量 | 300,000トン |
|---|---|
| 第1回割当の数量と期間 | 100,000トン |
| 第2回割当の数量と期間 | 100,000トン |
| 第3回割当の数量と期間 | 100,000トン |
| 市場価格を下回る監視基準値 | 25% |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、米国大統領による大統領布告を通じた牛肉の関税割当(TRQ)拡大という貿易・経済政策の変更である。食品業界や輸入に関わる企業にとっては、特定のHTSコードに該当する牛赤身トリミングの輸入枠やスケジュール(先着順で10万トン×3回)に直接影響を与える。また、国内生産者や議員からの反発が大きく、政権側の追加政策検討や今後の市場価格の動向(25%未満での販売監視など)によっては運用方針が変更される可能性もあるため、関連企業は公式動向や調達コストへの影響を注視する必要がある。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-28
関連事例
- ドバイ市政庁、食用油・油脂の品質検査時間を2時間から2分に短縮
- イランとインドネシア、環境分野の協力強化で協議
- 金属塑性加工展示会「MF INDIA 2026」がチェンナイで初開催
- 米カリフォルニア州、ZEV充電・水素供給インフラに9,520万ドル投資
- 投資促進3機関を統合、インベスト・バングラデシュ庁が発足
自社のプレスリリースをPRazeに掲載しませんか?
無料でプレスリリースを掲載する