経済・産業トレンド 実施中・措置発表

トランプ米大統領、牛肉に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大、産業界は反発

米国のトランプ大統領は、牛肉の輸入に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大する大統領布告を発表した。自然災害等による国内需要のひっ迫を理由に、牛赤身トリミングを対象に先着順で10万トンずつ3回に分けて割り当てる。米国内では牧場主や農業者団体から反発の声が相次いでいる。

この発表の要点

企業・自治体への影響

食品・輸入に関連する企業や流通部門において、牛赤身トリミングの調達コストや市場価格への影響が生じる可能性がある。また、産地や業界団体からの反発に伴う追加的な政策見直しの動向に留意が必要となる。

対応すべきこと

対象部門: 総務 法務 経理

対応期限:2026-11-30

基本データ

企業・団体 米国大統領府
業界 食品
発表日 2026-08-28
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月28日

米国のドナルド・トランプ大統領は8月26日、牛肉の輸入に対する関税割当(TRQ)を拡大する大統領布告を発表した。同日、ファクトシートも発表した。トランプ氏は8月21日に、TRQを拡大する意向をSNSで示していた。一方で、米国内では反対する声が相次いでいる。

大統領布告によれば、「自然災害、疾病、国内市場における重大な混乱」により、適正な価格で牛ひき肉を含む牛肉製品の米国内需要を満たせていないとし、牛肉の赤身トリミング(注)に対して低関税が適用されるTRQを30万トン分拡大すると決めた。詳細は次のとおり。

今回拡大されるTRQは、米国関税分類番号(HTSコード)で0201.30.5091、0201.30.5097、0202.30.5091、0202.30.5097に分類される牛赤身トリミングにのみ適用される。

30万トンは先着順で、10万トンずつ3回に分けて割り当てられる。第1回分は9月1~30日、第2回分は10月1~30日、第3回は10月31日~11月30日。ただし、いずれの回も割当量に達し次第、TRQの適用を終了する。

農務長官および米国通商代表部(USTR)代表は、今回定められたTRQに基づき輸入された牛赤身トリミングが、市場価格を25%下回る価格で販売されているかを監視する。25%を下回る価格で販売されていないと判断した場合、大統領は本布告に基づく措置を停止できる。

なお、今回の措置は、2026年2月に拡大したアルゼンチン産牛赤身トリミングに対するTRQの拡大(2026年2月12日記事参照)には影響しない。

今回の措置に対して、米国内では反対する声が相次いでいる。連邦議会下院で通商を所管する歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は8月27日、X(旧Twitter)に「長年にわたる干ばつや、食料、燃料、肥料の高騰に耐えてきた牧場主たちに、牛肉価格引き下げの負担を強いることは、問題の解決にはつながらない」とし、割引価格での外国産輸入肉を増やすのではなく、米国の牛の頭数を増やし、食肉加工業者間の競争を促進し、飼料、燃料、肥料、および資金調達のコストを引き下げるべきだと投稿した。また、米国最大の農業者団体であるアメリカン・ファーム・ビューロー連合(AFBF)は8月26日、「『市場価格を下回る』25%の割引価格で30万トンの外国産牛肉の輸入を許可することは、たゆまぬ努力を続けて米国の家庭のために食料を生産している米国の牧場主たちを弱体化させることになる」などとして、トランプ氏に措置の再考を求める書簡を送ったと声明で明らかにした。

一方で、政治専門紙「ポリティコ」(8月26日)によれば、トランプ政権は牛肉業界や一部の共和党議員からの反発を和らげるため、TRQの拡大と並行して、「業界に配慮した別の政策見直し」を検討しているという。ただし、どのような措置が検討されているかは現時点で明らかでない。

(注)ブロック肉を切り出して成形する際に生じる端材で、主にひき肉などに利用される。

(赤平大寿)

(米国)

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トランプ米大統領、牛肉に対する関税割当(TRQ)を30万トン拡大、産業界は反発

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/b348c3e5fd175a8b.html

時系列

主な数値

関税割当(TRQ)の拡大数量 300,000トン
第1回割当の数量と期間 100,000トン
第2回割当の数量と期間 100,000トン
第3回割当の数量と期間 100,000トン
市場価格を下回る監視基準値 25%

この事例から確認すべきポイント

本事例は、米国大統領による大統領布告を通じた牛肉の関税割当(TRQ)拡大という貿易・経済政策の変更である。食品業界や輸入に関わる企業にとっては、特定のHTSコードに該当する牛赤身トリミングの輸入枠やスケジュール(先着順で10万トン×3回)に直接影響を与える。また、国内生産者や議員からの反発が大きく、政権側の追加政策検討や今後の市場価格の動向(25%未満での販売監視など)によっては運用方針が変更される可能性もあるため、関連企業は公式動向や調達コストへの影響を注視する必要がある。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-28

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