経済・産業トレンド

日本の7月の対中東貿易、輸出入とも前年同月比増加に転じる

財務省が発表した2026年7月の貿易統計(速報値)によると、中東との貿易は輸入額が前年同月比11.9%増の9,948億円、輸出額が4.1%増の3,511億円となり、輸出入ともに前年同月比増加に転じた。貿易収支は6,438億円の赤字。ホルムズ海峡の混乱に伴い、サウジアラビアやオマーンなど代替ルートを持つ国からの輸入が大幅に増加した一方、クウェートやカタールからは減少した。

この発表の要点

企業・自治体への影響

製造業やエネルギー関連企業において、中東情勢およびホルムズ海峡の混乱に伴う原油・原材料の調達ルート変更やコスト変動の影響が生じる可能性がある。調達部門および経営企画部門での動向注視が必要。

対応すべきこと

対象部門: 経営者 総務 経理

対応期限:要確認

基本データ

企業・団体 財務省
業界 経済・貿易
発表日 2026-08-20
分類 経済・産業トレンド

発表された内容

2026年08月21日

日本の財務省が8月20日に発表した2026年7月の貿易統計(速報値)によると、日本の世界からの輸入額は前年同月比27.8%増の12兆1,463億円、世界向けの輸出額は23.2%増の11兆5,118億円だった。このうち中東(注)との貿易では、輸入額が11.9%増の9,948億円、輸出額が4.1%増の3,511億円となり、輸出入とも前年同月比増加に転じた。貿易収支は6,438億円の赤字だった。中東からの輸入額は6月の7,372億円(2026年7月27日記事参照)と比べて大幅に増加した。
ホルムズ海峡の混乱を受けて、クウェートやカタールからの輸入が前年同月比で大幅に減少した一方、代替ルートを持つサウジアラビアからの輸入は57.3%増加した。ホルムズ海峡外に位置し、ペルシャ湾内港の代替港としても機能するオマーンからの輸入は3.5倍と大幅に増加した。イランからの輸入は前年同月比約5倍に増加した。
7月の中東主要国からの輸入額と前年同月比増減率は次のとおり。

サウジアラビア:4,485億円、57.3%増

UAE:3,939億円、0.2%増

オマーン:585億円、3.5倍

クウェート:565億円、27.1%減

カタール:120億円、86.4%減

イラン:5億8,000万円、5倍

前月6月と比べると、アラブ首長国連邦(UAE)含め主要国からはいずれも輸入額が増加しており、特にサウジアラビア(前月比51.1%増)、オマーン(同68.1%増)、クウェート(同5.2倍)、イラン(同2.2倍)の伸びが大きかった。
中東からの輸入品目では、「原油および粗油」が8,423億円で輸入総額の84.7%を占めた。前年同月比では20.7%増加したが、輸入数量は前年同月比で32.8%減少している。中東からの輸入シェア6.8%の石油製品(主に揮発油)は19.2%減、シェア3.1%の液化天然ガスも34.9%減だった。
日本の世界からの原油輸入額は前年同月比87.8%増の1兆4,089億円に上った。輸入数量は前年同月比5.5%増だった。中東産原油の主な代替輸入先である米国からの「原油および粗油」の輸入は5,084億円で、前年同月比約16倍に上った。輸入数量も前年同月比の9倍以上だった。
UAE向け、オマーン向けの輸出が増加
7月の日本から中東向けの輸出は、UAE向けが国別で最大の輸出先で、前年同月比で8.7%増加した(1,517億円)。オマーン向けの輸出は前年同月比48.9%増の249億円だった。
7月の中東主要国向け輸出額と前年同月比増減率は次のとおり。

UAE:1,517億円、8.7%増

サウジアラビア:838億円、4.7%減

オマーン:249億円、48.9%増

クウェート:214億円、24.6%減

カタール:177億円、5.8%減

イラン:1億5,000万円、62.8%減

輸出品目別にみると、中東向け輸出額の52.9%を占める「輸送用機器」が1,856億円で前年同月比11.7%減となった。このうち、主力品目の「自動車」は1,706億円で12.7%減だった。自動車の内訳では、「乗用車」が1,407億円で9.4%減、「バス・トラック」が299億円で24.4%減となった。一方、「自動車の部分品」は128億円で3.3%増加した。
中東情勢は「イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報」、ホルムズ海峡や代替ルートの状況は「激動の中東情勢:中東各国への影響と展望」参照。
(注)財務省貿易統計での中東の定義は、イラン、イラク、バーレーン、サウジアラビア、クウェート、カタール、オマーン、イスラエル、ヨルダン、シリア、レバノン、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、ヨルダン川西岸とガザを含む。トルコは含まない。
(塩川裕子)

(日本、中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オマーン、クウェート、カタール、イラン、米国)

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日本の7月の対中東貿易、輸出入とも前年同月比増加に転じる

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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/928e4caab7ba7664.html

時系列

主な数値

世界からの輸入額 12兆1,463億円
世界向けの輸出額 11兆5,118億円
中東からの輸入額 9,948億円
中東向けの輸出額 3,511億円
貿易収支 6,438億円の赤字
サウジアラビアからの輸入額 4,485億円
UAEからの輸入額 3,939億円
オマーンからの輸入額 585億円
クウェートからの輸入額 565億円
カタールからの輸入額 120億円
イランからの輸入額 5億8,000万円
原油および粗油の輸入額(中東) 8,423億円
世界からの原油輸入額 1兆4,089億円
米国からの「原油および粗油」輸入額 5,084億円
UAE向け輸出額 1,517億円
オマーン向け輸出額 249億円
サウジアラビア向け輸出額 838億円
クウェート向け輸出額 214億円
カタール向け輸出額 177億円
イラン向け輸出額 1億5,000万円
中東向け輸送用機器輸出額 1,856億円
自動車輸出額 1,706億円
乗用車輸出額 1,407億円
バス・トラック輸出額 299億円
自動車の部分品輸出額 128億円

この事例から確認すべきポイント

財務省が発表した2026年7月の貿易統計(速報値)によると、ホルムズ海峡の混乱という地政学リスクが継続する中、中東からの輸入額は前年同月比で増加に転じました。しかし、国・地域によって影響の受け方に大きな差が出ており、代替ルートを持つサウジアラビアやオマーンからの輸入が急増した一方、クウェートやカタールからは大幅な減少が見られます。また、原油輸入において米国からの調達が急増するなど、サプライチェーンの多角化・変更が進んでいる点が実務上の重要なポイントです。企業の調達・貿易部門においては、特定の輸送ルートや国に依存しないリスク管理体制の構築および調達コストへの影響把握が求められます。

公式出典

更新履歴

公開日: 2026-08-21

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