米テネシー州で原子力産業イベント開催、小型モジュール炉・核融合技術商業化の取り組み進む
最終確認日: 2026-08-08
この発表の要点
- 米テネシー州で原子力産業イベント「NOW」が開催され、SMR・核融合技術の商業化に向けた取り組みが活発化している。
- テネシー州は原子力基金や規制整備を通じて、原子力関連企業の誘致と産業基盤の拡大を推進している。
- 京都フュージョニアリング・アメリカが米国本社をオークリッジに移転するなど、研究機関との連携強化による事業拡大が進む。
企業・自治体への影響
原子力関連産業(SMR、核融合、関連サプライチェーン)に属する企業は、テネシー州の動向を注視し、新たな事業機会やパートナーシップの可能性を探るべきです。特に、次世代原子力技術の研究開発や商業化を目指す企業は、同州の規制整備や企業誘致策が事業展開に与える影響を評価する必要があります。
対応すべきこと
- 原子力関連技術(SMR、核融合等)に関わる企業は、テネシー州の原子力産業クラスター形成動向を継続的に情報収集する。
- 関連する規制動向、特に核融合技術に関するテネシー州の規制枠組みについて詳細を確認する。
- 自社の事業と関連する可能性のある企業誘致策やパートナーシップ機会について調査する。
- 研究開発部門や事業開発部門と連携し、テネシー州への進出や連携の可能性を検討する。
対象部門: 経営者 広報 経理 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | エネルギー・環境 |
| 発表日 | 2026-08-07 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月07日
米国東部テネシー州のテネシー経済協議会は8月4~5日、同州ノックスビルで、同地域の原子力産業に関する年次イベント「Nuclear Opportunities Workshop (NOW)」を開催した。1,200人以上が参加登録し、小型モジュール原子炉(SMR)開発企業や地元エンジニアリング会社など原子力産業に関連する約80社がブースを出展した。
テネシー州は、原子力基金(注1)を活用した原子力関連企業の誘致や教育・訓練プログラムの提供などにより、州の原子力開発・製造基盤の拡大を目指しており、9社が同基金を活用して同州に進出している(注2)。ノックスビル近郊のオークリッジには、原子力関連産業が集積しているほか、米国エネルギー省(DOE)傘下のオークリッジ国立研究所(ORNL)があり、原子力関連の研究も盛んだ(注3)。
NOWには産業界、政府機関、大学・研究機関など幅広い分野のステークホルダーが参加した。ビル・リー州知事(共和党)をはじめ、多くの地元政府関係者が参加したほか、同州選出のチャック・フレイシュマン連邦下院議員(共和党)が登壇した。また、マーシャ・ブラックバーン連邦上院議員とウィリアム・ハガティ連邦上院議員(いずれも共和党)からのビデオメッセージも放映された。
リー知事は、同州が原子力ルネサンスの中心地になりつつあると述べ、人材育成も含む州内産業基盤の重要性を強調したほか、同分野での韓国や日本とのパートナーシップ構築の重要性にも言及した。
リー知事の講演の様子(ジェトロ撮影)
会見の様子、左からブランドン・ウィリアムスDOE核安全保障担当次官兼国家核安全保障局(NNSA)長官、リー知事、フレイシュマン連邦下院議員(ジェトロ撮影)
会場では、オークリッジ近郊でSMR建設を進めるGEベルノバ日立ニュークリアエナジーが登壇するセッションや、ORNLとのパートナーシップを発表している京都フュージョニアリングなどが登壇する核融合関連セッションなどが開催された。核融合セッションに登壇したタイプ・ワン・エナジーの渉外担当シニア・バイス・プレジデント、マット・マイルズ氏は、核融合は新しい技術分野であり、規制の枠組みはなお発展段階にあると指摘した。一方で、テネシー州は全米で初めて核融合向けの規制制度を整備しており(注4)、同社プロジェクトが許認可を取得する見込みだと述べた。
講演会場の様子(ジェトロ撮影)
展示会場の様子(ジェトロ撮影)
また、京都フュージョニアリング・アメリカのビベイク・ウッパル社長は、ORNLとの官民連携の重要性について説明した。同氏は、現在、ワシントン州シアトルに置く同社の米国本社をオークリッジへ移転する予定であることを明らかにし、ORNLとの連携強化を通じて事業拡大を図る考えを示した。
テネシー州は、ORNLやテネシー川流域開発公社(TVA)を中心とする研究開発基盤に加え、原子力関連企業やスタートアップが集積する米国有数の原子力クラスターとして発展している。SMRや核融合といった次世代原子力技術の商業化に向けた取り組みが進む中、州政府による企業誘致や規制整備も後押しとなり、同州は研究開発から実証、製造までを担う拠点として、今後さらなる関連投資やサプライチェーンの集積が期待される。
(注1)州議会は、2023~2024会計年度予算で5,000万ドル承認し、2024~2025会計年度予算では2,000万ドル、2025~2026会計年度で2,500万ドルを追加配分し、基金総額は9,500万ドルに達した。
(注2)これまで同基金を活用し同州への投資を発表したのは、ステラレータ型核融合技術を開発するタイプ・ワン・エナジーやフランスの原子力燃料大手オラノの8社(2026年1月26日記事参照)のほか、先進的な核燃料製造に取り組むTRISO-Xは2026年7月、同基金を活用した投資を発表した。
(注3)オークリッジには、1942年に開始された国家軍事プロジェクト「マンハッタン計画」の3つのオリジナルサイトの1つとして、ウラン濃縮施設が立地していた。
(注4)2023年、米国原子力規制委員会(NRC)は、核融合装置を商用核分裂炉と同様の「利用施設」としてではなく、既存の副産物物質(Byproduct Material)規制の枠組みで管理する方針を決定した。これに伴い、核融合装置の許認可・規制の運用については、NRC協定州(Agreement State)が担うこととなった〔米国原子力学会(ANS)のニュースサイト「Nuclear Newswire」6月11日〕。NRC協定州のテネシー州は2026年6月、全米で初めて、核融合装置に関する独自の規制枠組みを整備し、核融合装置および核融合関連活動の許認可要件を定めた。オークリッジ市近郊のタイプ・ワン・エナジーの商業施設は、この新しい枠組みの下で最初の認可取得施設の1つになると見込まれている。
(檀野浩規)
(米国)
ビジネス短信 37f3559a4322a393
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米テネシー州で原子力産業イベント開催、小型モジュール炉・核融合技術商業化の取り組み進む
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/37f3559a4322a393.html
時系列
- 1942-XX-XX 国家軍事プロジェクト「マンハッタン計画」開始、オークリッジにウラン濃縮施設が立地
- 2023-XX-XX 米国原子力規制委員会(NRC)が核融合装置を既存の副産物物質規制の枠組みで管理する方針を決定
- 2023-XX-XX テネシー州議会が2023~2024会計年度予算で原子力基金に5,000万ドルを承認
- 2024-XX-XX テネシー州議会が2024~2025会計年度予算で原子力基金に2,000万ドルを追加配分
- 2025-XX-XX テネシー州議会が2025~2026会計年度予算で原子力基金に2,500万ドルを追加配分
- 2026-01-26 ステラレータ型核融合技術を開発するタイプ・ワン・エナジーやフランスの原子力燃料大手オラノなど8社が原子力基金を活用しテネシー州への投資を発表(記事参照日)
- 2026-06-XX テネシー州が全米で初めて核融合装置に関する独自の規制枠組みを整備し、許認可要件を定める
- 2026-07-XX 先進的な核燃料製造に取り組むTRISO-Xが原子力基金を活用した投資を発表
- 2026-08-04 テネシー経済協議会が年次イベント「Nuclear Opportunities Workshop (NOW)」を開催(初日)
- 2026-08-05 テネシー経済協議会が年次イベント「Nuclear Opportunities Workshop (NOW)」を開催(最終日)
主な数値
| NOW参加登録者数 | 1200人以上 |
|---|---|
| NOW出展企業数 | 約80社 |
| 原子力基金総額 | 9500万ドル |
| 原子力基金活用企業数 | 9社 |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、米テネシー州が原子力産業、特に小型モジュール原子炉(SMR)や核融合といった次世代技術の商業化に向けた強力な推進体制を構築していることを示しています。州政府は原子力基金による企業誘致、教育・訓練プログラムの提供、そして核融合技術向けの規制整備を先行して行うことで、研究開発から実証、製造までを一貫して担うクラスター形成を目指しています。企業実務においては、このような政府主導の産業育成策や規制動向を継続的にモニタリングし、自社の技術や事業との関連性を評価することが重要です。特に、京都フュージョニアリング・アメリカの米国本社移転の事例は、研究機関との連携強化を通じた事業拡大戦略の有効性を示唆しており、関連企業は新たなパートナーシップや進出機会を検討する際の参考とすべきです。広報担当者は、こうした産業トレンドや政策動向を社内外に適切に伝え、ステークホルダーとの関係構築に努める必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-07 / 最終確認: 2026-08-08
執筆・確認主体
この記事は、上記の公式出典を一次情報として PRaze編集部(株式会社スキルマーク)が構造化・要約したものです。 要約と分類の生成にはAIを使用しています。
数値・日付・組織名・金額は公式発表の原文から転記しており、 原文に記載のない事項を補って書くことはしていません。 内容の正確性は公式出典をご確認ください。
編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-08-08
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