マレーシアへの米301条関税10%、政府が声明を発表
最終確認日: 2026-08-07
この発表の要点
- 米国はマレーシアからの輸入品に対し、強制労働産品に関する懸念を理由に10%の追加関税を課した。
- マレーシア政府は、強制労働産品の輸入禁止措置導入・施行を米国に約束しており、省庁横断タスクフォースを立ち上げ制度構築を進める方針。
- 今回の追加関税では一部の半導体計測・試験装置やマレーシア産品(パーム油等)が除外対象に追加されたが、過剰生産能力に関する追加関税の可能性も残る。
企業・自治体への影響
製造業、特に米国向け輸出を行うマレーシア企業およびそのサプライチェーンに関わる企業は、追加関税によるコスト増とサプライチェーンの再編リスクに直面します。強制労働に関する新たな国内規制導入の可能性があり、関連する製造・貿易企業はコンプライアンス体制の見直しが求められます。
対応すべきこと
- 自社が米国向けに輸出する製品や原材料が、今回の追加関税の対象品目や除外品目に該当するか確認する。
- マレーシア政府による強制労働産品に関する新たな制度構築の動向を注視し、サプライチェーンにおける人権デューデリジェンスを強化する。
- 過剰生産能力に関するUSTRの調査結果と追加関税の可能性について情報収集を継続し、事業計画への影響を評価する。
- 関係部門(貿易、調達、法務、経営企画など)と情報を共有し、潜在的なリスクと対応策を検討する。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | マレーシア投資貿易産業省(MITI) |
|---|---|
| 業界 | 製造 |
| 発表日 | 2026-08-06 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年08月06日
マレーシア投資貿易産業省(MITI)は7月24日、米国通商代表部(USTR)による追加関税措置を受け、声明を発表した。この措置は、1974年通商法301条に基づき、強制労働産品の輸入を禁止していない、あるいは輸入を禁止するための効果的な措置を講じていないことを理由に、マレーシアからの輸入品に10%の追加関税を課すものだ(2026年7月24日記事参照)。MITIは追加関税率が相対的に低かった点について、マレーシアが強制労働産品の輸入禁止措置の導入・施行を米国側に約束している点が考慮されたためとした。また、301条に基づき別途調査が進められている過剰生産能力(注1)については、USTRが関税率を決定次第、MITI関係者に通知するとともに、米国との協議を継続するとした。
USTRは6月2日、強制労働産品の輸入禁止措置の実施に関する301条調査結果を発表し、併せて追加関税措置を提案していた(2026年6月3日記事参照)。これを受けてMITIは6月4日、調査結果は国内の強制労働慣行や労働環境を反映したものではなく、「第三国からマレーシアに輸入される物品や原材料のうち、強制労働によって生産されたものを審査し、輸入を禁止するための特定の法律が、現時点では整備されていないことを明らかにしたものだ」とする声明を発表した。6月23日の国会で、MITIのジョハリ・アブドゥル・ガニ大臣が、強制労働に関する省庁横断タスクフォース(注2)の立ち上げを発表し、強制労働産品の輸入を禁止する制度の構築を進める方針を示した。また、今回の追加関税措置の発表に先立つ7月22日に、同大臣がUSTRのジェミソン・グリア代表と会談し、通商法301条や通商拡大法232条に基づく調査の進展や両国の貿易関係強化に向けた取り組みを議論していた。
なお、追加関税提案に対して、マレーシア製造業者連盟(FMM)もUSTRに書簡を提出済みで、強制労働の排除に賛同する一方、追加関税が法令を順守する製造業者に不利益を与えたり、両国間の既存の貿易関係やサプライチェーンを混乱させたりすべきではないと強調していた(7月5日付FMMプレスリリース)。
今回の追加関税では、それまで122条に基づく追加関税(注3)と比べ、除外品目の範囲が拡大した。全対象国・地域の除外品目として、一部の半導体計測・試験装置が追加されたほか、マレーシアではパーム油、パーム核油、オレオケミカル製品、合板などが新たに除外対象となった(注4)。CIMBリサーチは、米国関税の実質的な負担は一定程度、軽減されたとみる一方、過剰生産能力に関して追加関税が課された場合、マレーシアの関税率は15~19%に上昇し、相互関税の水準に近づく可能性があると指摘する(ザ・エッジ7月27日)。
(注1)マレーシアを含む16カ国・地域を対象に、製造業における過剰生産能力や過剰生産に関連する政策や慣行について調査を行うというもの。調査結果によっては、対象国・地域の製品に対して追加関税などの輸入制限措置が講じられる可能性がある。詳細は2026年3月12日記事参照。
(注2)タスクフォースはMITIを議長とし、財務省、外務省、内務省、人的資源省、運輸省が参加する(ザ・エッジ6月23日)。
(注3)相互関税を含む国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置の停止を受けて導入された、122条に基づく10%の追加関税措置。2月24日から施行され7月24日が期限となっていた。詳細は2026年2月24日記事参照。
(注4)詳細はUSTRの官報254~259ページを参照。
(山口あづ希)
(マレーシア、米国)
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マレーシアへの米301条関税10%、政府が声明を発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/08/ab332fc4cfefa995.html
時系列
- 2026-06-02 米国通商代表部(USTR)が強制労働産品の輸入禁止措置の実施に関する301条調査結果を発表し、追加関税措置を提案
- 2026-06-04 マレーシア投資貿易産業省(MITI)がUSTRの調査結果に対し声明を発表
- 2026-06-23 MITIのジョハリ・アブドゥル・ガニ大臣が強制労働に関する省庁横断タスクフォースの立ち上げを発表
- 2026-07-24 米国通商代表部(USTR)がマレーシアからの輸入品に10%の追加関税を課す措置を発表
- 2026-07-24 マレーシア投資貿易産業省(MITI)が米国通商代表部(USTR)による追加関税措置を受け、声明を発表
主な数値
| 追加関税率 | 10% |
|---|---|
| 過剰生産能力調査の対象国・地域数 | 16カ国・地域 |
| 過剰生産能力による追加関税率予測 | 15~19% |
この事例から確認すべきポイント
本事例は、国際貿易における強制労働や過剰生産能力といった非市場的慣行への対応が、企業活動に直接的な影響を与えることを示しています。マレーシアから米国への輸出を行う企業、およびそのサプライチェーンに関わる企業は、米国通商代表部(USTR)の動向とマレーシア投資貿易産業省(MITI)の対応を継続的に監視する必要があります。特に、マレーシア政府が強制労働産品の輸入禁止に向けた制度構築を進める方針を示していることから、国内法規の変更やサプライチェーンにおける人権デューデリジェンスの強化が求められるでしょう。また、過剰生産能力に関する追加関税の可能性も残されており、企業は潜在的なコスト増とサプライチェーンの再編リスクを評価し、事業継続計画に反映させることが重要です。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-08-06 / 最終確認: 2026-08-07
執筆・確認主体
この記事は、上記の公式出典を一次情報として PRaze編集部(株式会社スキルマーク)が構造化・要約したものです。 要約と分類の生成にはAIを使用しています。
数値・日付・組織名・金額は公式発表の原文から転記しており、 原文に記載のない事項を補って書くことはしていません。 内容の正確性は公式出典をご確認ください。
編集・公開: PRaze編集部(株式会社スキルマーク) / 出典確認日: 2026-08-07
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