2026年上半期の台湾の対外直接投資額は前年同期比94.1%増、TSMCの大型投資が牽引
この発表の要点
- 2026年上半期の台湾対外直接投資額は前年同期比94.1%増の366億ドル超に達した。
- 半導体大手TSMCの英領バージン諸島への300億ドル増資が、全体の投資額の84.1%を牽引した。
- 日本向け投資ではTSMC子会社JASMが3nm製品の生産計画変更を認可され、2028年量産開始を予定している。
企業・自治体への影響
本発表は、半導体製造業やITハードウェア(サーバー等)関連企業、および台湾から投資を受ける国・地域(米国、日本、東南アジア等)の経済に影響を与えます。特に、半導体サプライチェーンに関わる企業は、TSMCのグローバルな投資戦略や生産能力の変化が、部品調達や市場競争に与える影響を注視する必要があります。
対応すべきこと
- 台湾からの対外直接投資動向を継続的に監視し、自社の事業戦略への潜在的影響を評価する。
- 半導体サプライチェーンに関わる企業は、TSMCのグローバル投資戦略を注視し、協業機会やリスクを検討する。
- 日本国内の半導体関連企業は、JASMの生産計画変更がサプライチェーンに与える影響を確認し、対応を検討する。
対象部門: 経営者 経理 広報 法務
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 台湾経済部投資審議司 |
|---|---|
| 業界 | 半導体製造 |
| 発表日 | 2026-07-30 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月30日
添付資料(98 KB)
台湾経済部投資審議司が7月15日に発表した統計によると、2026年上半期(1~6月)の対外直接投資額(中国大陸を含む、認可ベース)は前年同期比94.1%増の366億5,814万ドルとなった(添付資料表参照)。このうち、中国大陸向けを除く対外投資額は98.0%増の362億5,780万ドルだった。一方、中国大陸向け投資は30.3%減の4億34万ドルとなり、対外投資総額に占める中国の割合は前年同期の3.0%から1.1%に低下した。
投資額順に国・地域別でみると、1位は英領中米(主にケイマン諸島、バージン諸島)で308億4,513万ドル(シェア84.1%)、2位は米国で14億9,364万ドル(同4.1%)、3位はシンガポールで10億4,563万ドル(同2.9%)、4位はベトナムで4億3,244万ドル(同1.2%)、5位はタイで4億2,685万ドル(同1.2%)だった。日本は9位で1億4,307万ドル(同0.4%)だった。
英領中米向けの投資は、半導体ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の大型投資が牽引した。TSMCは300億ドルを英領バージン諸島のTSMC GLOBALに増資した。理由は為替ヘッジ費用を低減するためとしている。
米国向けでは、サーバー事業強化に向けた増資案件が引き続き目立った(注1)。緯穎科技服務(ウィウィン)が米国子会社に対し5億ドルを増資し、高密度サーバーおよびストレージ設備の販売などの事業を強化する。そのほか、英業達(インベンテック)が3億500万ドルを米国持株会社に増資し、その資金を米国のINVENTEC(USA)とメキシコ子会社へ再投資して、サーバーやコンピュータ製品の組み立て事業を拡大するとした。
日本向けでは、TSMCが2026年3月、日本子会社のJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)の投資計画変更について投資審議司から認可を取得した。市場や顧客の需要に対応するため、生産プロセスを3ナノメートル(nm)製品へ変更するとともに、生産能力を12インチウエハー月産1万5,000枚とするとした(注2)。設備導入および量産開始は2028年を予定している。同社は7月16日に開催した2026年第2四半期(4~6月)決算説明会において、台湾、米国アリゾナ州、日本でそれぞれ3nm工場を追加するグローバル計画を着実に実行していると言及した。
なお、7月にはTSMCによるTSMCアリゾナへの200億ドルの増資について投資審議司が承認していることから、2026年通年ベースでは、米国向け投資額の大幅増が見込まれる。増資資金はアリゾナ州での12インチウエハー工場や先進パッケージング工場の建設に充てられる(注3)。
(注1)台湾EMSなどのサーバー産業の生産拠点配置の動向については、調査レポート「変化する通商環境と台湾EMS産業の生産拠点配置およびサプライチェーン移転に関する調査(2026年4月)」および2026年4月13日付地域・分析レポート参照。
(注2)熊本第2工場では当初、2027年末から自動車や工業および消費製品、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)など向けの40nm、22/28nm、12/16nm、6/7nm製品の生産を計画していた。また、第1工場と第2工場を合わせた生産能力は12インチウエハー月産10万枚超を予定していた(2024年2月9日記事参照)。
(注3)TSMCは2025年3月に米国アリゾナ州への1,000億ドルの追加投資計画を発表しており(2025年3月4日記事参照)、今回、投資審議司が承認した増資案件は同計画の一部とみられる。なお、2026年7月16日にはTSMCが米国における先端半導体製造および先端パッケージング事業向け投資を追加で1,000億ドル積み増し、総投資額が2,650億ドルに達すると発表した(2026年7月22日記事参照)。
(早川麻理)
(台湾)
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2026年上半期の台湾の対外直接投資額は前年同期比94.1%増、TSMCの大型投資が牽引
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/969243279f7eccf8.html
時系列
- 2026-03-01 TSMCが日本子会社Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)の投資計画変更について投資審議司から認可を取得
- 2026-07-01 TSMCによるTSMCアリゾナへの200億ドルの増資について投資審議司が承認
- 2026-07-15 台湾経済部投資審議司が2026年上半期(1~6月)の対外直接投資統計を発表
- 2026-07-16 TSMCが2026年第2四半期(4~6月)決算説明会を開催
- 2028-01-01 JASMの設備導入および量産開始を予定
主な数値
| 2026年上半期対外直接投資額 | 366億5,814万ドル |
|---|---|
| 対前年同期比増加率 | 94.1% |
| 中国大陸向けを除く対外投資額 | 362億5,780万ドル |
| 中国大陸向け投資額 | 4億34万ドル |
| 英領中米向け投資額 | 308億4,513万ドル |
| TSMC英領バージン諸島への増資額 | 300億ドル |
| 米国向け投資額 | 14億9,364万ドル |
| 緯穎科技服務の米国子会社への増資額 | 5億ドル |
| 英業達の米国持株会社への増資額 | 3億500万ドル |
| 日本向け投資額 | 1億4,307万ドル |
| JASMの3nm製品生産能力 | 1万5,000枚/月 |
| TSMCアリゾナへの増資承認額 | 200億ドル |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、台湾企業のグローバルな事業展開、特に半導体産業における戦略的投資の加速を示しています。TSMCによる英領中米への巨額投資は、為替ヘッジ費用低減を目的とした財務戦略の一環であり、企業の国際的な資金運用戦略の重要性を浮き彫りにします。また、米国や日本への投資は、地政学リスクの分散とサプライチェーンの強靭化を目指す動きと解釈できます。特に日本におけるJASMの3nm製品への生産プロセス変更は、日本の半導体産業エコシステムへの貢献と、先端技術分野での国際協力の深化を示唆しています。中国大陸向け投資の減少は、台湾企業の投資戦略における中国依存度低減の傾向を裏付けており、今後の国際経済情勢と企業の投資判断に影響を与える可能性があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-30
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