欧州産業界、次期中期予算計画における研究開発予算の拡充をEUに要請
この発表の要点
- 欧州の86産業団体がEUに対し、次期中期予算計画における研究開発予算の大幅拡充を共同声明で要請した。
- 産業界は、EUの競争力強化に向けた欧州委員会の現行提案が不十分であり、年間8,000億ユーロの追加投資が必要と指摘している。
- FP10とECFの連携によるイノベーション創出と産業基盤強化が、EUのグリーン化・デジタル化・戦略的自律の実現に不可欠であると強調された。
企業・自治体への影響
欧州連合(EU)域内で事業を展開する、またはEUとの取引がある製造業、IT、研究開発関連企業は、EUの将来的な研究開発投資の動向に注目する必要があるでしょう。特に、EUの補助金や研究支援プログラムを活用している企業は、予算規模の変動が事業戦略に影響を与える可能性があるため、関連部門は情報収集を強化すべきです。
対応すべきこと
- EUの次期中期予算計画(MFF)および関連する研究開発プログラム(FP10、ホライズン・ヨーロッパ、ECF)の動向を継続的に監視する。
- 自社の事業がEUの研究開発支援の対象となり得るか、またその条件について情報収集を行う。
- EUの政策変更が自社の研究開発投資や事業戦略に与える影響を評価し、必要に応じて計画を調整する。
- 関連する業界団体や専門家ネットワークを通じて、最新の情報を共有し、意見交換を行う。
対象部門: 経営者 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)など欧州の86産業団体 |
|---|---|
| 業界 | 多岐にわたる産業 |
| 発表日 | 2026-07-17 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | 欧州連合(EU) |
発表された内容
2026年07月17日
ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)など欧州の86産業団体は7月7日、大規模な研究開発関連予算の確保をEUに要請する共同声明を発表した。具体的には、2028~2034年までの次期中期予算計画案(MFF、2025年7月22日記事参照)における「第10次研究イノベーション枠組みプログラム(FP10)」(2026年7月2日付地域・分析レポート参照)予算の大幅な増額や、生産性向上に向けた官民連携の強化などを求めた。
EUでは生産性の伸び悩みに加え、イノベーション分野での米国や中国との格差拡大が指摘されている。こうした状況を打開するため、欧州委員会は「競争力コンパス」(2025年2月6日記事参照)において、研究開発・イノベーションを競争力強化戦略の中核に位置付けた。MFF案では、研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」に現行予算のほぼ2倍の1,753億ユーロを計上し、産業支援プログラム「欧州競争力基金(ECF)」(4,508億ユーロ)と合わせ、企業の事業構想から研究成果の実用化・スケールアップまでを一貫して支援する方針を示した。
一方、ドラギ報告書(2024年9月19日記事参照)は競合国との競争力格差を縮小し、生産性を持続的に向上させるためには、年間8,000億ユーロの追加投資が必要と指摘している。86団体は、EUの研究開発関連支出の対GDP比率が競合国を下回る中、欧州委員会の提案は不十分と警鐘を鳴らした。また、EUのグリーン化やデジタル化、開かれた戦略的自律の実現に向け、FP10が民間投資の促進や国境を越えた研究・イノベーションエコシステムの構築などで中核的な役割を果たすと強調。FP10とECF双方が確実に機能し、相乗効果を生み出すことはイノベーション創出や産業基盤の強化に不可欠と述べ、MMFの議論が終盤を迎える中、最大限の財源確保を要請した。
(滝澤祥子)
(EU)
ビジネス短信 91b7fff6b32f1205
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欧州産業界、次期中期予算計画における研究開発予算の拡充をEUに要請
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/91b7fff6b32f1205.html
時系列
- 2024-09-19 ドラギ報告書に関する記事が参照される
- 2025-02-06 競争力コンパスに関する記事が参照される
- 2025-07-22 次期中期予算計画案(MFF)に関する記事が参照される
- 2026-07-02 第10次研究イノベーション枠組みプログラム(FP10)に関する地域・分析レポートが参照される
- 2026-07-07 ビジネスヨーロッパなど欧州の86産業団体が共同声明を発表
- 2026-07-17 本記事が発表される
主な数値
| 共同声明を発表した産業団体数 | 86団体 |
|---|---|
| ホライズン・ヨーロッパ計上予算 | 1753億ユーロ |
| 欧州競争力基金(ECF)計上予算 | 4508億ユーロ |
| 競争力向上に必要な年間追加投資額 | 8000億ユーロ |
この事例から確認すべきポイント
欧州産業界がEUに対し、次期中期予算計画における研究開発予算の大幅な拡充を要請したことは、欧州全体の競争力強化に向けた強い危機感の表れである。EUは生産性の伸び悩みやイノベーション分野での米国・中国との格差拡大に直面しており、欧州委員会も研究開発・イノベーションを競争力強化の中核と位置付けている。しかし、産業界は現行のMFF案における研究開発支援予算が不十分であると指摘し、ドラギ報告書が示す年間8,000億ユーロの追加投資の必要性を強調している。これは、EUのグリーン化やデジタル化、戦略的自律の実現には、FP10やECFといったプログラムが民間投資を促進し、国境を越えた研究・イノベーションエコシステムを構築する上で不可欠であるとの認識に基づいている。MFFの議論が終盤を迎える中で、産業界からのこの要請は、EUの将来的な経済成長と国際競争力維持のための財源確保の重要性を改めて浮き彫りにしている。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-17
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