米税関、自動車・トラック部品の232条関税の相殺制度に関するガイダンス発表
この発表の要点
- CBPが自動車・トラック部品の232条追加関税相殺制度に関するガイダンスを発表した。
- 相殺制度は商務省の承認を得た輸入者に限り、許可された金額の範囲内で232条関税の支払いに充当できる。
- 日本など特定の国からの輸入には緩和措置があり、相殺制度は232条関税分にのみ適用されるため、適用範囲の正確な理解が必要である。
企業・自治体への影響
米国へ自動車やトラック部品を輸出入する自動車メーカーや部品サプライヤーは、関税コストに直接影響するこの制度を正確に理解し、適切に活用することで、貿易コストを最適化できる可能性があります。特に、貿易実務、経理、法務部門は、制度の適用条件や手続きについて確認し、対応を進める必要があります。
対応すべきこと
- 自社が相殺制度の対象となるか、また、関係する自動車メーカーが商務省への申請を完了しているかを確認する。
- 自動車メーカーから通知されるライセンス番号を把握し、輸入申告時に正確に入力できるよう準備する。
- 税関の電子申請システム(ACE)内のTR-015レポートを通じて、自社の相殺可能額を定期的に確認する。
- 日本など特定の国からの輸入の場合、既存の緩和措置と相殺制度の適用範囲を正確に理解し、関税計算に誤りがないか確認する。
対象部門: 経営者 法務 経理
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | 日本貿易振興機構(ジェトロ) |
|---|---|
| 業界 | 自動車製造業, 自動車部品製造業, 貿易・物流 |
| 発表日 | 2026-07-01 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
発表された内容
2026年07月01日
米国税関・国境警備局(CBP)は6月29日、自動車と中・大型トラックの部品に対する1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の相殺制度に関するガイダンスを発表した。
米国は2025年5月から、232条に基づき、自動車部品の輸入に対して25%の追加関税を課している。ただし、「外国での製造と輸入への依存を迅速に減らし、米国内の生産能力を拡大し、製造を米国に移転させることを目的」に、自動車部品輸入に対する232条関税の相殺制度も設けた。利用にあたっては、自動車メーカーが商務省に対して、米国で組み立て予定のモデルや工場所在地、相殺制度を利用する輸入者のリストなどの必要書類を提出し、同省から承認を得る必要がある(2025年6月13日記事参照)。承認が得られれば、2030年4月30日まで1年ごとに、米国で組み立てられる自動車の希望小売価格(MSRP)の年間合計額の3.75%に相当する金額を、232条関税の支払いに充当(相殺)できる。そのため、一定金額までは、輸入時に232条関税を支払う必要はない。商務省は、2025年11月から申請を受け付けている(2025年11月4日記事参照)。同省は中・大型トラック部品に対しても同様の制度を設け(2025年10月21日記事参照)、2026年5月15日から申請を受け付けると官報で発表した。
今回発表されたガイダンスでは、関税相殺制度は、商務省から承認を受けた輸入者に限り、許可された金額の範囲内でのみ請求できることをあらためて強調した。輸入者が相殺可能額を超えて利用しないよう注意喚起も行い、相殺に利用可能な金額を税関の電子申請システム(ACE)内のTR-015レポートを通じて確認するよう促した。
なお、日本、英国、EU、韓国、台湾からの自動車部品の輸入に対しては、米国との合意の下で、232条関税に対する緩和措置を設けている。例えば日本で生産された自動車部品の輸入に対しては、一般関税率(MFN税率)が15%未満の場合は一般関税率と232条関税を合計して15%、一般関税率が15%以上の場合は、232条関税は課さないと定めている(注1)。この点に関しガイダンスでは、相殺制度は232条関税分にのみ適用されるとあらためて記載した。従って日本製品を輸入する場合は、15%と一般関税率の差分が、相殺の対象となる(注2)。
また、相殺制度を利用する場合は、商務省から付与されたライセンス番号(注3)を輸入申告の際に入力する必要がある点もガイダンスで明記した。自動車部品を輸入するサプライヤーに対しては、自動車メーカーが商務省に対する申請時に登録した輸入者のリストに基づき、自動車メーカーからライセンス番号が通知されるとみられる。自動車メーカーが主体となって申請する制度であるため、一部のサプライヤーの間では、同制度を把握していないケースがみられた。ジェトロに対しては、複数のサプライヤーから、商務省による自動車メーカー向けの承認プロセスが完了し始めたとみられる2026年1月以降、同制度の詳細に関する問い合わせが相次いだ。米国では追加関税が常態化しているため、利用可能な制度を漏れなく活用できるよう制度に対する理解を深めておくことが重要だ。
(注1)米国との合意内容について、日本は2025年9月16日記事、英国は2025年6月18日記事、EUは2025年9月25日記事、韓国は2025年12月9日記事、台湾は2026年5月29日記事参照。
(注2)仮に一般関税率が3%だった場合、12%分が232条関税として上乗せされることから、相殺金額は輸入金額の12%となる。
(注3)番号は、アルファベット(A)2文字と数字(N)6桁の合計8文字で構成される(例:AANNNNNN)。
(赤平大寿)
(米国)
ビジネス短信 a60100e81a70af37
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米税関、自動車・トラック部品の232条関税の相殺制度に関するガイダンス発表
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/07/a60100e81a70af37.html
時系列
- 2025-05 米国が232条に基づき自動車部品の輸入に対して25%の追加関税を課し始める
- 2025-06-13 自動車部品輸入に対する232条関税の相殺制度に関する記事が参照される
- 2025-09-16 日本との合意内容に関する記事が参照される
- 2025-09-25 EUとの合意内容に関する記事が参照される
- 2025-10-21 商務省が中・大型トラック部品に対しても同様の制度を設けた記事が参照される
- 2025-11 商務省が自動車部品の相殺制度の申請受付を開始する
- 2025-11-04 商務省が申請を受け付けている記事が参照される
- 2025-12-09 韓国との合意内容に関する記事が参照される
- 2026-01 商務省による自動車メーカー向けの承認プロセスが完了し始めたとみられる
- 2026-05-15 商務省が中・大型トラック部品の相殺制度の申請受付を開始する
- 2026-05-29 台湾との合意内容に関する記事が参照される
- 2026-06-29 米国税関・国境警備局(CBP)が自動車と中・大型トラックの部品に対する232条関税の相殺制度に関するガイダンスを発表する
- 2030-04-30 相殺制度の利用期限
主な数値
| 追加関税率 | 25% |
|---|---|
| 相殺可能額 | 3.75% |
| ライセンス番号の構成 | 8文字 |
この事例から確認すべきポイント
米国税関・国境警備局(CBP)が発表した自動車・トラック部品の232条関税相殺制度に関するガイダンスは、米国への自動車部品輸出入に関わる企業にとって重要な情報です。この制度は、米国内の生産能力拡大を目的としており、商務省の承認を得た自動車メーカーが、特定の条件の下で追加関税を相殺できる仕組みです。ガイダンスでは、相殺制度の利用条件、相殺可能額の確認方法、輸入申告時のライセンス番号入力の必要性などが明確にされています。特に、日本を含む特定の国からの輸入には緩和措置が適用されるため、相殺制度との併用における適用範囲を正確に理解することが求められます。一部のサプライヤーが制度を把握していないケースがあるとの指摘もあり、関連企業は制度内容を深く理解し、適切な手続きを行うことで、関税コストの最適化を図る必要があります。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-07-01
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