米カリフォルニア州の拡大生産者責任法(SB54)を17州が提訴
この発表の要点
- カリフォルニア州の拡大生産者責任法(SB54)に対し、全米17州と全米卸売業者・流通業者協会が提訴した。
- 同法は州外企業や消費者への負担、州境を越えた事業活動への影響が問題視されている。
- カリフォルニア州内の環境保護団体も、最終規則の適用除外やリサイクル基準の不整合を指摘し提訴している。
企業・自治体への影響
米国で包装材や使い捨てプラスチック製品を製造・販売する企業は、EPR制度の導入や運用コスト、製品設計の見直しに影響を受ける可能性があります。特に、カリフォルニア州だけでなく、同様の制度を導入している他州での事業展開にも影響が及ぶため、広範な業界(製造業、小売業、物流業など)の経営層、法務、経理、広報部門は動向を注視する必要があります。
対応すべきこと
- カリフォルニア州SB54および他州のEPR制度に関する司法判断の進捗を継続的に監視する。
- 自社の製品がEPR制度の対象となるか、またその場合の費用負担やリサイクル義務について確認する。
- 関係部門(法務、経理、製造、広報など)と連携し、制度変更が事業に与える影響を評価し、対応戦略を検討する。
- 包装材や製品設計の見直しが必要となる可能性に備え、情報収集と準備を進める。
対象部門: 経営者 法務 経理 広報
対応期限:要確認
基本データ
| 企業・団体 | ジェトロ |
|---|---|
| 業界 | 製造 |
| 発表日 | 2026-06-26 |
| 分類 | 経済・産業トレンド |
| 地域 | カリフォルニア州 |
発表された内容
2026年06月26日
米ネブラスカ州のマイク・ヒルガース司法長官(共和党)は6月22日、全米17州(注1)の司法長官および全米卸売業者・流通業者協会(NAW)と連携し、カリフォルニア(CA)州が導入した拡大生産者責任(EPR、注2)法「プラスチック汚染防止および包装の生産者責任に関する法(SB54)」を提訴した。
SB54は、ギャビン・ニューサムCA州知事(民主党)が2022年6月に署名し、成立した(2022年7月15日記事参照)。同法は、包装材や使い捨てプラスチック製品を対象にEPR制度を導入するものだ。CA州の制度では、生産者に対し州が指定した生産者責任組織(PRO)への参加を求めるとともに、廃棄物処理やリサイクルに関わる費用の負担や包装材の削減を義務付けており、それによって包装材やプラスチックの削減、リサイクルの促進を図る。また、2032年までに対象包装をリサイクルまたは堆肥化が可能な設計とすることなどが目標として設定されている。同法に基づく最終規則は2026年5月1日に承認され、今後、段階的に実施される予定だ。
今回の訴訟では、原告側は、同法が州外企業や消費者にも実質的な負担を課し、州境を越えて事業活動に影響を及ぼす(注3)点を主に問題視している。特に、包装材に係るリサイクル費用などを生産者が負担する仕組みが、最終的に製品価格に転嫁され、消費者の負担増につながる可能性があると主張している。ヒルガース司法長官は、「CA州はまだしも、全米に悪影響を及ぼすような政策を導入しようとしている。これを放置すれば、消費者は生活必需品に対してより高い価格を支払わされることになる」と批判した。
一方、CA州内の3つの環境保護団体の連合(注4)も6月2日、SB54の最終規則を提訴している。同連合は、広範な種類のプラスチック包装が無期限の適用除外となっていることや、リサイクル基準が法の内容と整合していない点を指摘し、制度に「抜け穴」があるため十分に効果を発揮しない可能性があると指摘している。
このように、SB54を巡っては、規制の影響や実効性を巡り、異なる立場から訴訟が提起されており、制度設計の妥当性は司法判断に委ねられている。
同様のEPR制度はCA州のほか全米6州(コロラド州、メーン州、メリーランド州、ミネソタ州、オレゴン州、ワシントン州)で導入されており、CA州の制度設計と今回の訴訟の行方は、他州の制度設計や企業の対応戦略にも影響を与える可能性がある。
(注1)原告団にはネブラスカ州のほか、アラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、アイダホ州、インディアナ州、アイオワ州、ルイジアナ州、ミズーリ州、モンタナ州、ノースダコタ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、サウスダコタ州、テキサス州、ユタ州、ウェストバージニア州が名を連ねる。
(注2)製品の製造・販売を行う事業者に対し、使用後の廃棄やリサイクルに至るまで物理的・金銭的な責任を負わせる制度。
(注3)SB54では、対象となる生産者がCA州外の企業であっても、同州で対象製品を販売する場合は同法の適用対象となるとしている。
(注4)天然資源防衛協議会(NRDC)、廃棄物に反対するカリフォルニア州民財団(CAWF)、海洋保全団体のオセアナ(Oceana)。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国)
ビジネス短信 5996f4f01a50d772
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ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
米カリフォルニア州の拡大生産者責任法(SB54)を17州が提訴
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出典: www.jetro.go.jp
URL: https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/06/5996f4f01a50d772.html
時系列
- 2022-06 ギャビン・ニューサムCA州知事がSB54に署名し、成立
- 2026-05-01 SB54に基づく最終規則が承認
- 2026-06-02 CA州内の3つの環境保護団体の連合がSB54の最終規則を提訴
- 2026-06-22 ネブラスカ州司法長官を含む全米17州の司法長官および全米卸売業者・流通業者協会がSB54を提訴
主な数値
| SB54を提訴した州の数 | 17州 |
|---|---|
| SB54の最終規則を提訴した環境保護団体の数 | 3団体 |
| 対象包装のリサイクルまたは堆肥化が可能な設計とする目標年 | 2032年 |
| CA州以外で同様のEPR制度を導入している州の数 | 6州 |
この事例から確認すべきポイント
本発表は、米カリフォルニア州の拡大生産者責任(EPR)法「SB54」を巡る複数の訴訟について報じており、EPR制度の導入が企業活動に与える影響の複雑性を示しています。全米17州および業界団体からの提訴は、州境を越えた事業活動への負担増と製品価格への転嫁の可能性を問題視しており、州法が広範な経済圏に及ぼす影響の大きさを浮き彫りにしています。一方、環境保護団体からの提訴は、制度の「抜け穴」や実効性の不足を指摘しており、環境規制の設計におけるバランスの難しさを示唆しています。企業は、この訴訟の行方が、カリフォルニア州だけでなく、同様のEPR制度を導入している他州の制度設計や、自社の製品戦略、サプライチェーン、コスト構造に与える影響を慎重に評価する必要があります。特に、包装材や使い捨てプラスチック製品を扱う製造業、小売業、物流業は、法務、経理、製品開発部門と連携し、将来的な規制強化やコスト増に備えた対応策を検討することが求められます。
公式出典
更新履歴
公開日: 2026-06-26
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